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CROSS-A 邪悪なる魔術師 ジョゼフ・カーウィン

遊☆戯☆王5D’sオープニングテーマ::BELIEVE IN NEXUS遊☆戯☆王5D’sオープニングテーマ::BELIEVE IN NEXUS
(2010/05/12)
遠藤正明

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 ジョゼフ・カーウィンは、「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」(H・P・ラブクラフト著)に登場するキャラを元にしています。

 マサチューセッツ州の北部中央。キングスポートからミスカトニック川を、はるか西へと遡っていく。運がよければ、呪われた廃墟に出会えるかもしれない。いや、運が悪ければかもしれないが。ダンウィッチと呼ばれた寒村。ラウンド山の急斜面と、ミスカトニック川に挟まれた荒地。そこには、腰折屋根の家屋が軒を連ねていた。近親結婚を繰りかえしていた住人は退廃を極めていき、ある事件を過ぎてからは、人口も減りつづけたという。21世紀を過ぎた今では、誰も住んではいない。ダンウィッチへの道標は、アイルズベリイ街道から掃われている。

 夜闇が舞いおりると、センティネル丘は心寂しい狂気に包まれていく。覆い茂っている異形の植物群。不規則なリズムで鳴きつづける牛蛙。乱雑に飛びまわる奇形蛍。足を踏みいれた者から、正気を削っていく。頂上には環状列石の跡が、丈高い雑草により隠されている。

 1912年の五月祭前夜。センティネル丘。魔術師ノア・ウェイトリーがヨグ・ソトースを召喚するための儀式を遂行した。娘のラヴィニア・ウェイトリィと旧支配者を結ばせたようだ。

 1913年2月2日。ウィルバー・ウェイトリィが産まれた。悪魔山羊のような形相である少年は、知能と体格ともに異様な速度で成長していった。それにより、村人から怪訝な視線を集めた。

 15歳になったウィルバーは、父親を呼びだそうとしたのだろう。ミスカトニック大学に忍びこみ、魔導書ネクロノミコンを盗みだそうとしたようだ。目的は果たせなかった。番犬たちに噛まれて、命を落としてしまう。ウィルバー・ウェイトリィの衣服はずたずたに裂かれ、人間離れした姿を晒していた。ヘンリー・アーミティッジ教授らが確認したようだ。異常色が広がっており、下半身には触手すらもが密生していた。グロテスクな遺体は、泡となって消えていったと記録されている。ウィルバーが死んだとき、夜鷹のウィップアーウィルがけたたましく哂っていたという。

 ウィルバー・ウェイトリィには、双子の弟がいたと伝えられている。名も無きヨグ・ソトースの仔。父親の血をより濃く受けつぎ、人間の姿をとどめていなかったという。例えるのなら、ぶよぶよと触手を躍らせる肉隗。ウェイトリィ家に隔離されていたそれは、兄の死をきっかけに暴走しだした。ダンウィッチに連なる家屋を破壊し、人や家畜を食べていった。それまでに大量の牛を餌として与えられていたのだが、その供給を失ってしまったのだ。無理はないだろう。ダンウィッチを破壊していく彼を、ヘンリー・アーミティッジは魔導書の知識で殺した。異次元物質により構成されていた肉体を分解したのだ。最期には父親を求めて泣きさけんでいたと言われている。



 21世紀の初頭にて。ノア・ウェイトリィを名乗る老錬金術師により、ホムンクルスであるラヴィニア・ウェイトリィが造られた。星の知恵派教団。その支配者であるナイ神父は、彼女を大いなる計画のために擁した。旧支配者アザトースの加護を受けており、ヨグ・ソトースと交わる母体としては最高なる逸材であった。センティネル丘にて、狂いきった儀式が始められる。



 旧支配者の中でも、ナイアーラトテップだけは特殊な位置にある。旧神に封印されたという旧支配者。ナイアーラトテップだけは呪縛から逃れられた。世界の外側から、同胞どもを解放するために動いている。世界内に存在する知的生命体に、特殊な能力を与えている。不完全ながらも指令を組みこみ、旧支配者を放つための駒としているようだ。星の知恵派教団の幹部は、ナイ神父をはじめとする【ナイアーラトテップの使徒】により構成されている。ジョゼフ・カーウィンもその1人だ。

 とある深夜。星の知恵派教団の幹部たちが、センティネル丘へと上っていた。夜闇に溶けてしまいそうなほどの黒。ローブを纏ったモノたちが、列をなしている。明らかに人間でないモノも少なくない。松明の中で、不安定に揺れていく炎。異形の植物群が、橙色に染めあげられていく。はるか先頭。ナイ神父が、少女の手を引いている。鉄仮面により隠されており、その表情は伺えない。ラヴィニア・ウェイトリィはアルビノであろうか? 髪肌ともに純白で、薄桃色の瞳をしている。成人年齢に達しているはずだが、幼女のごとき容姿をしている。あどけなすぎる表情。好奇心にあふれた視線で、巨大蛍を追いかけている。ジョゼフ・カーウィンは、間近でまじまじと観察していた。

 正しい位置へと、星辰が重なっている。ゆえに、ヨグ・ソトースと交わるための儀式が行なわれようとしている。石祭壇にラヴィニア・ウェイトリィが寝転んだ。彼女は利用されていることを知らない。暢気に笑顔を浮かべている。ウルタールが尖塔から見下ろしてくる。あいかわらず無表情で、何を考えているのか理解できない。ナイ神父が詠唱していく。黒髪が後方で跳ねあがっている。幾重もの光魔法陣が出現していく。ナイアーラトテップの使徒たちが続くように、輪唱しだした。

『イア イア フグタン! イア イア ヨグ・ソトース!』

 その数ヵ月後。ヨグ・ソトースの仔、ダルク・ウェイトリィが産まれた。



【時は現在へと至る】



 木々に囲まれた円形広場。ジョゼフ・カーウィンが手をかざした。ベンチから眺めていたカップルたちが、眠りへと落ちていく。駆けつけてきたステファニーも、膝を崩して倒れこんだ。すやすやと気持ちよさそうに、寝息を立てている。ダルクを抱えながら、ジョゼフが話しかけてきた。

「話は聞いているよ。君たちはシグナーといったね。不思議な力を受けている、実に興味深い存在だ。6人もいるのだから、2人ぐらいは実験台にさせてもらっても問題はなかろう。サインのついた腕は、溶液倉庫に保存しておきたい。残りの肉体は捨てておく。もっとも、ウルタールに禁止されているから手はだせないのだがね。まったくもって、残念なことだ」

 人間を人間と思わぬような眼差しだ。夜闇に浮かぶ青年は、邪悪さにあふれていた。ダルクに意識が残っているのか、遊星へと手を伸ばしている。微風がさらりと吹きこんで、濡れた植物の香りを広げていく。怒りを含ませながら、遊星が尋ねる。

「あんたは何者だ? ダルク・ウェイトリィとは、どういう関係にある?」

「頭が高いぞ。下郎が。私に声をかけるときは、へりくだった姿勢をとりたまえ。貴様らクズごときにも、いちおうは名乗ってあげるよ。ジョゼフ・カーウィン。高貴なる、ナイアーラトテップの使徒だ。ヴルトゥーム・ウェイトリィとは旧知の仲でね。5歳までは、我らが教育してやったようなものだ。もっとも、クトゥグァの化身に奪われてしまったのだがな。おかげで、本来の気質を活かせない性格になってしまった。ダークネスを喰えずに、みすみす逃がしてしまうとはね。困ったクソガキだよ」

「おいっ! あんた、何様のつもりだ!?」

 たんと芝生を踏みたたいて、クロウが前乗りになった。フンと、ジョゼフが鼻を鳴らす。

「同じシグナーとはいっても、少しばかり不動遊星はマシだ。箒頭の方は知性の欠片も感じられない。まさに、原始人。いや、ニワトリと同類か。それにすら達していないかもしれないな。私の視界に入るだけでも不愉快な存在だ。実験台にするしか価値がないであろう。消えたまえ」

 ジョゼフが腕を払った。衝撃波が走りぬけ、クロウを殴りつける。数メートルも吹きとばされたあげくに、大木へと後頭部を打ちつけた。クロウは地面に転がり、ぐったりと倒れこんだ。

「ゴキブリを潰すと、気持ち悪い感触が残る。それと同類の気分だよ。間接的とはいえ、ゴミには触れたくないものだな。ウルタールの命令がなければ、助手に解剖させていたところだ」

 クロウに駆けより、遊星が無事を確かめる。一安心したところで、怒声を投げかけた。

「あんたが何者か、何を目的として動いているのか、よく分からない。だが、クロウにしたことは許せない! デュエルしろよ!」

「いやだね。私はマニアじゃないんだ。ガキが楽しむようなカードゲームをやる趣味はない。この世界は、デュエル・モンスターズを中心に回っているようだ。私がいた世界にも、こういったゲームはある。しかし、いい年こいた大人が堂々と遊べるものはない。ヴルトゥームやウィンは精神年齢が低いせいか、すんなりと熱中しているがね。私には恥ずかしくて、とても真似できないよ」

「あんた。何を言っているんだ?」

「私の言っている内容を理解できないのか? この世界の原理に染まっているようだ。気にするな。これ以上、アホウに説明する気もない。時間の無駄なのでな。私が言いたいことは、1つだけだ。我らナイアーラトテップは、大いなる計画を遂行している。シグナーごときが首を突っこんで、余計な邪魔をしてくれるなよ。そして、私には敬意を払いたまえ。人間風情が」

 そう吐きすてると、掌から衝撃波を繰りだした。空間そのものが触腕を伸ばして、遊星を掴んでいるようだ。地面へと大きく投げだされ、遊星は背中を打ちつけた。芝生が広がっていたのが幸いであろうか。クッション代わりとなり、スマートな肉体を包んでいく。弾けあがる水玉。むわっと、濡れた草香が揺れあがる。そんな遊星を見下し、ジョゼフが遠慮なく哂った。口が裂けたような錯覚を覚えてしまう。闇に染まった顔面に、歪んだ双眸のみが浮いているようだ。

「君に相応しい無様な姿だよ。それにしても、滑稽な髪型をしているね。仮装パーティーにでも出かけるつもりなのかい?」

 ダルクを担いだまま、ジョゼフ・カーウィンは去っていった。闇夜に吸いこまれていくかのように、哄笑が小さくなっていく。今にも閉じられようとしている目蓋を何とか支えながら、ダルクは遊星を見ている。ちょろちょろと、悲しみが流れおちていった。ゆっくりと意識を、深海へと潜らせていく。



「あれがヨグ・ソトースの仔か。想像していたのよりも大人しそうな小娘じゃないか。ダークネスに勝ったのには驚いたが、精霊たちが力を貸していたのだろうな。ま、アレを倒すのは楽勝ってことだ。トゥルーマンは俺様にまで絡んできたようだが、速攻で潰してやったよ。元々からして、俺様は闇そのものさ。こいつらがダークネスに誘おうとしても、無駄なんだよ。闇というものは、永遠に溶けあう安らぎじゃねぇっ! 憎悪と苦痛で、ぐつぐつと煮えたぎっているものなんだよっ!」

「暗黒のファラオか。遊戯そっくりだったけど、邪悪さにあふれた顔をしていた。何者だ? まぁ、いい。俺様を蘇らせたのには感謝してやるよ。ヨグ・ソトースの仔からエナジーを奪いつくし、ディアバウンドを強化する。そして、ファラオもぶっ潰してやるぜ!」

 悪鬼のごとき形相。白髪を伸ばした青年が、ブラック・コートをひるがえした。胸に下げられた黄金アクセサリーが揺れる。リングに囲まれたピラミッドに、ウジャトが浮かびあがっている。指針がリングから伸び、ちゃかちゃかと鳴っていた。千年リングが、ぼんやりと輝いている。

「ディアバウンドをステルス・モードにして観察していたが、ナイアーラトテップというのも気になる。ジョゼフ・カーウィンか。少しばかり、挨拶してやろう」

 木々に包囲された闇中。にたりと笑んだバクラが、足を進めだした。





【エピソード・SP1-リバース・サイド その1】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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