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CROSS-B ウィン・カーウィンとハスター

遊戯王 デュエルモンスターズ Vol.21 [DVD]遊戯王 デュエルモンスターズ Vol.21 [DVD]
(2002/05/15)
風間俊介、津田健次郎 他

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 ジョゼフ・カーウィンの半生については、だいたい原作通り。

 1662年2月18日。港湾都市セイレムにて、ジョゼフ・カーウィンが産まれた。幼少時より豊かな好奇心を示しはじめ、世界の外側について知りたがっていたようだ。15歳に船乗りとなり、海外を流浪しだした。旅先で魔導書を手に入れたのが始まりであろうか。1681年に故郷へと帰還し、仲間とともに魔術研究に耽溺しだした。1692年にて魔女狩りが勃発し、ジョゼフはプロヴィデンスへと逃げていった。自らの使命を再確認し、新たなる道へと歩みはじめる。

 波止場の権利を買いあさり、回漕業で研究資金を稼いだ。著名人の墓を暴いては、魔術により蘇らせた。目的は知識を高めることである。拷問を使用してまでも、彼の得てきたものを吐きださせてきた。世界の根源について知るための材料を、ひたすらに貪りつくした。死者蘇生は完全ではなかったようだ。ときおり、人型を崩したモノが生まれた。理性も失われており、血肉をすするだけのグールとしか言いようがない。それらを地下牢に幽閉し、研究材料として利用した。有色人奴隷を大量入荷しては、実験台か、グールの餌として落としていった。

 魔術の成果により、ジョゼフは不老に達している。1世紀を生きているにもかかわらず、容姿は青年そのものだ。人々は不審を抱くようになった。有力者との結婚により信用を集めるしかないと判断したのだろうか。イザイラ・ティリンガーストと結婚した。彼女の父親に圧力をかけて、強引な婚約にありつけたのだ。イザイラのフィアンセであったエズラ・ウィードンが憤怒に燃えさかり、ジョゼフについて嗅ぎまわるようになった。露わとなる数々の証拠。逃げだした屍人は、50年もの昔に亡くなった男。エズラは有力者に訴えでて、ジョセフの研究施設を襲撃する計画を立てた。

 銃をかついだ男たち。開拓精神に溢れた獰猛なる集団である。表向きは農場であるが、その地下は広大であった。エジプトのミイラが並べられている。あふれるグールにより、兵たちは喰われていった。エズラが眉間を撃ちぬき、何とかジョゼフを葬りさることに成功した。死に際に、ジョゼフが呪いの詠唱をしていたという。施設で目にしたものは、あまりにもおぞましいモノ。ジョゼフ・カーウィンに関する物語は封印され、イザイラも実家へと逃げていった。

 1918年。チャールズ・デクスター・ウォードが、ジョゼフの子孫であることを知った。チャールズはジョゼフについて没頭し、肖像画と魔術遺稿を発見した。チャールズとジョゼフは双子のごとく、そっくりな容貌をしている。チャールズは墓を探しだし、死者蘇生に成功した。ジョゼフは実験の再開といく。最初こそは協力的であったものの、おぞましい魔術研究についていけなくなったようだ。チャールズが抗議をぶつけてきた。自らの子孫を殺害して、ジョゼフはチャールズに成り代わる。チャールズの主治医であったマリナス・ビクネル・ウィレット。見守ってきた若者の変化を察知して、ジョゼフについて疑いを抱きはじめた。旧地下施設までも探りだし、封印術までをも得たようだ。結果として、ジョゼフはマリナスにより冥府へと送りかえされた。



「やぁ、ジョゼフ・カーウィン! 目が覚めたかい? ボクはウルタールの猫。みんなはウルタールと呼ぶんだよ。隣に立っているのはナイ神父。鉄仮面をかぶっているけど、訳ありなんだ。気にしないであげてね。ボクたちは、ナイアーラトテップの使徒だよ」

 気がつけば、半裸でベッドに寝転んでいた。カーテンから壁紙まで、白一色に包まれている。ジョゼフを見下ろしている修道服姿の男が、ナイ神父であろうか。テーブルの上に、奇妙な生物がちょこんと座っている。自称していたモノとは違い、猫から離れたフォルムをしている。大きな尻尾が、ゆぅらりと波打った。円らな紅瞳が、じっとジョゼフを見据えている。子供のような声を発してはいるが、かすかにも表情が変化しない。ブラック・ホールのごとき闇一色で覆われている。

「ナイアーラトテップについては知っているよ。世界を混沌へと導く旧支配者であろう。たしかに……君たちからは、ただならぬ気配がする」

「ナイ神父に頼んで、君を蘇生させてもらったんだ。ジョゼフ・カーウィンの開発した蘇生術を試してね。君は面白い魔法使いだ。とても興味がある。ぜひとも、ボクたちの仲間になってほしいんだ。星の知恵派教団に従うかぎり、研究への協力も惜しまない。悪くない話でしょ?」

 逆にいえば、服従しなければ殺す。そんなニュアンスを、それとなく読みとれた。マリナスにより滅ぼされて、使命を果たすチャンスはないはずであった。どちらにしろ、この機会を喪失したくない。そうジョゼフは考えて、呑みこむように首肯した。すると、ウルタールの尻尾がくるりと回った。両耳から触腕のようなものが伸びており、その先端をリングが囲んでいる。

「ボクと契約して、ナイアーラトテップになってよ」



【時は現在へと至る】



 ヴルトゥーム・ウェイトリィを背負いながら、ジョゼフは夜の公園を歩いている。ナイ神父がダルクというニックネームをつけだしてからは、そちらの方が浸透しているようだが。意識を失っており、ぐったりと眠りに堕ちている。独特な柔らかさと肌触りが、ジョゼフの右肩へと伝わってくる。研究対象として興味尽きないモノだが、ウルタールにより禁じられている。コレを宿屋にまで運んで、しばしの休息をとらせよう。下仕事を命じられていることへの苛立ちを、胃奥へと抑えていく。

 がさりと葉音が重なり、小鳥が逃げるように飛びだった。植物臭のしみこんだ水滴が、ぱらぱらと降ってくる。ふと、気配が立ちのぼった。視線を向けると、街灯に照らしだされている少年が見えた。白髪の羅刹といった容貌であろうか。どうやら、肉体だけは人間のようだ。その容器に入れられているものは、どうも怪しい。胸に下げられた黄金リングが、邪悪色に輝いている。

「ほぅ。それが千年アイテムというものか。どうやら、ファラオ側にいる下郎であろう。この通りだ。ヴルトゥーム・ウェイトリィは、戦えるコンディションにはない。いかにも愚鈍そうな悪人面をしているが、私の伝えた内容を理解するだけの知能程度は有しているであろう? 君の人生など捨てるほどしか価値はないだろうが、それすらも終らせたくなければ、今すぐにでも消えたまえ」

「はぁっ? てめぇの方が、よっぽど悪人面をしているぜ。ったくよぉ。好奇心でちょっと挨拶をかまそうかと思ったが、どうやら、このバクラ様に殺されたいようだな」

 額筋を浮かべているバクラに向かって、ジョゼフが左掌から衝撃波を繰りだす。不可視の触手群がバクラを叩きつぶそうとするも、千年リングの輝きにより消滅させられてしまった。すかさずに、ジョゼフが詠唱を開始する。いくつもの魔法陣が空中回転し、そこからグールどもが跳びだした。悪臭がどんよりと漂う。人のようで人にあらず。グロテスクな化物が、バクラを包囲していく。

「死者蘇生の失敗作だよ。だが、モノは使いようでね。魔術操作をすれば、死をも恐れぬ奴隷兵として利用できるものだ。エズラ・ウィードンやマリナス・ビクネル・ウィレットは、私を怒らせた愚者である。ゆえに、グールとして使役している。永遠の苦しみに蝕まれながら、我が道具として刻まれていく。それこそが、我が愉悦。もしよければ、君もグールの仲間に入れてあげてもいいんだよ」

「マジでいかれた野郎だな。だけど、そんなもんで俺様を殺せると思ったら甘すぎるぜ!」

 崩れた顔面は、嗚咽しているかのように歪んでいる。べちゃりと粘液を垂らしながら、グールどもが行進していく。バクラが念じると、巨魔が飛翔しだした。周囲の木々が揺さぶられる。漆黒の筋骨隆々とした肉体。蝙蝠のような紅羽が、夜空を覆うように広がっていく。下半身は蛇状となっており、その先端からは蛇頭が威嚇をしてきた。

「紹介するぜ。俺様のカーである精霊獣ディアバウンドだ。神官団と戦ったときよりも、はるかにパワーアップしているぜ。たしか、てめぇはデュエル・モンスターズに興味がないんだったな? なら、こいつでぶっ殺してやるよ。俺様を侮辱したことを後悔するんだな!」

 千年リングが怪しく光った。周囲一帯へと噴きだした闇瘴気が、さらなる高まりで振動していく。ディアバウンドが両腕を広げた。莫大なるエネルギーの渦が、ディアバウンドを中心に急速回転していく。空間全体が嘆くかのように震えている。バクラが腹底から叫びあげた。


『螺旋波動!』


 破壊砲撃が叩きつけられた。吹きすさぶ爆風に、轟きわたる爆音。石畳が抉られて、木々と街灯が根こそぎに折られていく。ここまで激しく暴れられたら、人も集まってくるに違いない。グールたちは、跡形もなく消滅させられた。無傷で立っているジョゼフは、感心したかのように頷いている。左掌から広げた魔法陣を、シールドとしていたようだ。

「これまた興味深い存在だね。どうやら、君には研究素材とする価値がありそうだ。私のターンといきたいが、ここで我が愛娘であるウィンを紹介するとしよう」



 バクラが視線を傾けた。白雲流れる闇空から、少女が降りてきた。彼女を包みこんでいる竜巻が、落下速度を和らげているようだ。つま先から、つっと着地していく。ブラック・リボンで緑髪を括りあげて、ポニーテールとしている。そこそこ豊満な肉体を、ダークなゴズロリ衣装で包んでいる。笑顔がナチュラルに感じられる親しみやすい少女であるが、その異貌がバクラの表情を固めさせていた。額にも眼がある。ぎょろぎょろと、充血したソレが蠢いている。

「パパ。ごめんなさい。デュエル・モンスターズに熱中していたら、呼びだしに送れちゃいました。すごく楽しかったよ。闇のデュエルって。たっぷりと愛と痛みを伝えられて、相手の女の子を気絶させちゃいました。見てくださいよ。動画もばっちり撮れました。友情のメモリーです」

 華奢な左腕には、デュエル・ディスクが装着されている。えへへと笑みながら、タブレット・タイプのちっちゃなPCを取りだした。そこに映っているのは、白目をむいた少女。ピクピクリと痙攣しながら、異様な呻きを漏らしている。ディスクから零れたデッキが、風により散らされている。凄惨すぎる表情により、どのような拷問を受けたのか伝わってくるようだ。

「すっごく可愛いでしょ? 頼んだら親友になってくれたんだよ。あはっ! あははっ! 痛みが実感できるデュエルを始めたら、泣いて逃げようとするんだぁ。照れ屋さんだね。逃がすもんですか。ライフが0になったとたん、幸せの絶頂に達しちゃったようです。こんなに安らかな表情をしていますよ。どこまでも愛しあえて、とっても幸せです。私も思う存分に激痛を味わえましたし」

 どこまでも陽気な口調だ。指先で柔らかそうな頬をなぞっていく。そのまま、桜色の唇を押えた。温厚そうな眼差しをしているが、額眼のみが歪みきった性根を露わにしているようだ。ぱちくりと瞬きをしてから、眠っているダルクを凝視しだした。紅潮しながら、小首を傾けていく。

「この子がヴルトゥームちゃんですか。すっごく、可愛い。私の親友になってほしいなぁ。殴って、蹴って、目前で大切なモノを壊していく。徹底的に虐めてあげたいよ。素敵な泣声を聞きたいなぁ。そして、私もヴルトゥームちゃんに傷つけられたい。想像するだけで、興奮してきました」

 右手を胸に当てながら、恍惚の溜息をついている。垂れきった口元から、とろりと涎が流れおちている。そんなウィンに一瞥もせず、ジョゼフが吐きだした。

「命令だ。このバクラというゴミを捕獲しろ。死なない程度の傷をつけるぐらいなら許可しよう」

「この殿方ですか? 嫌ですよぉ。ナイ神父とパパ以外の男性は、友情対象になりません。美しくありませんから。でも、パパの言いつけなら仕方がありません。指先からポキポキ折っちゃいます。顔面を磨りつぶしちゃいます。両耳を裂いてあげます。内蔵をぐっちゃぐちゃに混ぜこんであげます。四肢切断して、のたうちまわる胴を踏んであげます。仔猫さんは生贄になるのです。あはっ! あははっ! 絶叫するほどに愛してあげますよぅ」

 だんだんと息遣いが荒くなっている。三眼がピンポン玉のごとく、異様なほどに見開いている。左右に広がった口は、三日月のごとく。額眼のみに現れていた歪が、顔全体に拡散したようであった。ウィンの右手甲がぼやりと光りだし、奇妙なサインが浮かびあがった。丸点から3本もの触腕が伸びたかのようなデザインだ。ドクンドクンと脈動を繰りかえしている。

「これは、黄の印。パパからもらった大切な宝ものなんだ。これを植えつけられたとき、全身を激痛が駆けめぐり、たくさん血を噴出しちゃいました。三日三晩ほど悲鳴をあげつづけたと思います。思いだすだけで、気持ちいい。このような目に逢せてくれるなんて、本人の前で言うのも照れちゃいますけど、パパに愛されているんだなぁって実感できますよ」

 純粋無垢な笑顔は、すぐさまにも凶悪なる悪貌へと満開した。ウィン・カーウィンの手前に、黄色いローブに包まれた怪人が立ちのぼる。身長は2mを超えるほどであろうか。間違いなく人間ではないだろう。手足の代わりに、襤褸布からは幾本もの触手がはみでている。うねうねと、のたうっている。仮面の奥からは、屍者のごとき濁った双眸が覗かれる。

「黄衣の王だよ。旧支配者ハスターの化身であり、私の大切な相棒なの」

「親が親なら、その娘もいかれてやがるな。何が愛だ? 聞いていて、吐気がするぜ。てめぇが言った残虐行動。そっくりそのまま、返してやるよ。痛いのが大好きななんだろう? 黄衣の王か。やばいほどに力を感じる。こいつはディアバウンドでもきつそうだな。だが、それでいい」

 闇に浮かびあがる、悪鬼のごとき表情。バクラが、くつくつと哂っている。

「私の愛を否定するのですか? この世界で最も大切なものは、愛と友情なのですよ。それを否定するなんて、あなたは悪人ですね。あははっ! そんな悪い猫さんは、絶命させなきゃねっ!」

 ハスターが大量の触手を爆発させる。バクラを貫こうとするも、ディアバウンドがまとめて掴みあげた。吹きあれる風の瘴気。また1つ。ナイト・シティに喧騒が爆発した。





【エピソード・SP1-リバース・サイド その2】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

過去回想のあとには「そして現在」とか入れたほうがいい。そういえば時間経過の説明がなしに視点が切り替わる場面が今までいくつかあった。修正後は今のところなかったはずかな?
そういえばダルクの新デッキのコンセプト決まった?一番王道なのはギリシャ神話とかだが、ダルクに邪神を敵に回す戦いをさせるなら旧神に類するものは使わせないほうがいいし。

No title

 majesticさん、感想ありがとうございます。

 ありゃりゃ。分かりにくかったですね。気をつけなければ。番外編は、過去回想シーンと現代シーンに大きく分かれています。その境界に入れておきました。

 ダルクの新デッキ。旧神はアウトですか。セイクリッド(星座をイメージ)+聖刻龍(大型中心)というイメージで。
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