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CROSS-C アルマ・ウェイトリィ

遊戯王5D's SOUND DUEL 03遊戯王5D's SOUND DUEL 03
(2011/02/16)
TVサントラ

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 ダルクの性別については、当初通り。経緯は変わっていますけど。

 ママの体内にいた頃。生温かい羊水に浮きながら、お兄ちゃんと寄りそっていた。早く産まれたいな。すぐ近くにいる片割れを感じながら、2人で楽しみにしていた。そんな願いも叶わなかった。捕食本能に負けたダルク・ウェイトリィにより、私は吸収されてしまったのだ。何となく覚えている。たくさんの触手に絡めとられて、頭から丸呑みにされてしまった恐怖を。アルマ・ウェイトリィは生を受けられなかった。怨んではいない。私だって、お兄ちゃんを食べようとしていたのだから。

 気がつけば、お兄ちゃんの肉体に沈んでいた。表面に浮かびあがっては、お兄ちゃんの肉体を使用したこともしばしば。あまりの豹変ぶりに、多重人格を疑われた。魔術師たちによる精密検査により、産まれてくるはずであった妹のソウルだと判明した。魂って何だろう? ここで考えこんでも仕方がないか。お兄ちゃんは罪悪感を抱いていたみたいだけど、何年にもわたる対話の結果、私たちは気軽に話しあえる仲になった。肉体を共有しているという、不思議な兄妹だ。身体がくっついたままの双子がいるらしいけど、私たちの場合は分離手術も不可能なんだね。


 ぺタリ。ぺタリ。ねっとりした触手が、肩を這っている。


 私はダルク・ウェイトリィを、お兄ちゃんと呼んでいる。人見知りをしてしまう私は、どっちかといえば妹系なのだろう。居候している体は、性別上は男性ということらしい。でもね。骨格からして、まるまる女性なのです。身体を囲んでいるラインは、ぽにぽにと柔らかい。喉からは、鈴を鳴らしたような声が奏でられる。ママの胎内にいた頃は、れっきとした女の子だった。ジョゼフ・カーウィンが魔術操作したおかげで、お兄ちゃんは少年でも少女でもなくなったんだ。姉妹の片割れを雄にして、ヨグ・ソトースの子孫を繁殖させようとしたらしい。私たちは、家畜でないのですよ。ジョゼフの意図から外れてしまったようだけど。成長するにつれて、歪みは拡大した。そんな経緯を知っているせいか、お兄ちゃんは自分を男子と認めるはずもない。

 お兄ちゃんは、遊星さんに恋しているようだ。化物扱いされて泣きそうになったところを助けてくれた。私だって嬉しい気分でいっぱいだけど、お兄ちゃんは惚れるまでに昇りあげてしまった。どこからか手にいれた遊星動画を眺めては、乙女ティックに微笑んでいる。恋愛対象は男性であり、女性には興味を抱いていない。男性として産まれながら、中身は女性のままなんだ。叶うはずのない想いを抱きながら、使命を果たそうと全力燃焼している。振りきるためにも、デュエルに没頭している面もあるかもしれない。もしかしてだけど。切ないものを感じてしまうのです。


 生温かい肉隗が、唇へと押しつけられた。


 暗闇に漂いながら、お兄ちゃんについて黙考していた。とても優しい人だけど、私を食べてしまった頃の残酷さは残っている。理性の真下に広がっている、大洋のごとき破壊本能。ゾーク・ネクロファデスに攻撃を仕掛けたとき、わずかながらも弾けていた。相手を傷つけるたびに、快楽が全身を駆けめぐる。鼓動は早鐘となり、息も荒くなっている。光彩も大きく開いていたであろう。そんなとき、胎内での恐怖がこみあげてくる。理解しあえたのは表面だけで、心底ではダルク・ウェイトリィが怖いのかもしれない。まっしろい胎児が、幾本もの触手を振りあげながら迫ってきた。


 闇はだんだんと薄まっていき、目蓋が開いた。眠りの時間は終ったようだ。


 水の流れる音が、かすかに聞こえてくる。大窓は鈍鉄色により、もくもくと塗りつぶされている。雨でも降っているのかな? よいしょっと、上半身を起きあがらせた。悪夢を浴びたせいか、心臓がバクバクと混乱しきっている。ぼおっとする頭を傾けながら、視線を下ろした。純白のワンピースを着せられている。広々とした、落ちついた感じの部屋だ。天井では三枚羽根が、ゆったりと回転している。ここはどこだろう? ジョゼフ・カーウィンに抱えられながら、ホテルへと連れていかれた気がする。ベッドから下りると、絨毯の柔らかい感触が素足を包みこんだ。

 涎をたくさん垂らしてしまったのかな? ほっぺを撫でると、とろっとした液体が指にまとわりついた。みっともない。あれっ? 両肩にも、べったりとついている。こんな場所にまで? そわそわと悪寒が走ってきた。反射的にシーツで拭って、着替えを探した。革張りソファーに、お兄ちゃんのバッグが置いてある。急ぎながら、ブラウスとハーフパンツを取りだす。そういえば、お兄ちゃんはどこにいるんだろう? 心中に呼びかけるも、返事がない。だんだんと不安と吐気がこみあげてくる。くらりとふらついてしまい、テーブルにもたれてしまった。独りぼっちは嫌だよぅ。

 リモコンがあったので、何となくつけてみた。大型画面にニュースが映しだされる。アンジェラというリポーターが解説をしている。金髪をくりくり巻いている、きりっとした女性記者だ。緑地公園が痛々しく破壊されている。何があったのだろう? ジョゼフと遊星さんが対峙して、それ以降は眠りこんでしまった。記憶もあやふやだ。毅然と振舞っているが、アンジェラさんに不安が差している。

「……あの悪夢といい、再びネオ・ドミノで何かが起ころうとしているのでしょうか?」

 ネクタイを締めている間にも、ニュースは移りかわっていく。シティを騒がす【三眼の魔女】という仰々しいタイトル。監視カメラに映っているモノは、ホラー映画のごとしであった。こんなのを朝から放映してもいいのだろうか? 被害者はモザイクにより隠されている。どこかの路地裏なのかな。ポニーテイルの少女は背中向きで、顔が伺えない。ノイズ走る映像に、狂気が響きわたる。

「永続魔法《黒蛇病》の効果により、お互いに200ポイントのダメージを受けちゃうよ。これは闇のデュエル。痛みがリアルになります。そして、受けるダメージは倍々に増えていくのです。私たちは親友ですねっ。一緒に激痛を味わいましょう! さらに、魔法カード《火炎地獄》を発動。あなたは1000ポイントのダメージを受け、私は500ポイントのダメージを受けちゃうの。あはっ! あははっ! この焼けつくような感じがたまりませんね。もっと、もっと、愛しあおうよっ!」

 濁った悲鳴だけで、苦しみが伝わってきそうだ。無痛症の私には理解できないかもしれないけど。業火と黒蛇に絡まれながら、制服姿の少女がのたうちまわっている。あまりにも酷すぎる光景に、ハラハラと興奮してしまった。お兄ちゃん、どう思う? そう呼びかけても、何も返ってこない。胃が捻れてしまいそうな気分だ。あなたがいないと、怖くてどうしようもないのですよ。それよりも……早く、ここから出ていかなければ。嫌な予感が、びんびんとするのです。



「あれっ? ヴルトゥームちゃん。眼を覚ましたのですか?」

 がちゃりとドアが開いて、緑髪を下ろした少女が這入ってきた。ついさっき、耳にしたばかりの声音だ。ナチュラルで親しみやすい笑顔だけど、額にある眼球だけがグロテスクすぎる。ダークなワンピースを着こんでいる。濡れた髪からすると、風呂上りなようだ。スタイルがほどよくて、こんな相手にすらドキッとしてしまう。ふりかえった後姿は、さっき目にしたものと同じだ。三眼の魔女。どうして、ここに? 彼女が闇のデュエルにより、少女たちを苦しめているのだろうか。文句を切ってやりたいけど、視線が怖くてどうしようもない。両目を逸らしながら、やっと言葉を吐きだせる。

「そ……その。私はアルマ・ウェイトリィといって……。人に迷惑をかけるのは、その……」

「会話するときは、しっかりと目を見て話してください。最低限のマナーですよ。私は、ウィン・カーウィン。血はつながっていないけど、ジョゼフ・カーウィンの娘です」

「は、はいっ。その……ご、ごめんなさい」

 ペコリと謝ってしまった。お兄ちゃん相手には、ハキハキと文句も投げられるのにね。初対面の人には、どうしても情けなさを露わにしてしまうのです。辛い経験は、お兄ちゃんに任せてきた。何かにつけて隠れてしまう私は、とても弱いのだろう。がくがくと、右手が小刻みに震えている。

「怖がらなくていいですよ。大きく深呼吸して。こうすれば、落ちつきますからね」

 笑顔を保ったままに、抱きしめてきた。セッケンの香りが、アロマのように癒してくれる。背中に右腕をまわしこんで、柔らかい胸を圧しつけてきた。頭をなでなでしてくる。テレビに映っていた怪少女と同一人物かと思ったけど、違うのかな? 温厚そうな声をかけられて、太陽のような笑顔を注がれて、ずりずりと惹かれてしまう。額眼が不気味なんだけど。

「そういえば、ヴルトゥームちゃんには妹さんの魂が入っているのでしたね。パパから聞いたわ。あなたも大好きだよ。とても可愛いからねっ。そうそう、伝言をしなきゃ。パパは天馬夜行を引きこむために、平行世界へと出かけました。ダークネスとの戦いで疲れているだろうから、しばらく休養をとるようにって。十分に回復しているようですね。よかったぁ」

「ゾーク・ネクロファデスとの戦いは、辛いものになると思います。バクラは、とても強かった。ハスターを相手にしても、立ちむかってくるなんて吃驚です。何度も攻撃を受けてから、ニヤニヤしながら逃げていったんだ。気持ちの悪い人ですよ。表情も危なかったですし。私も協力するから、一緒に頑張っていきましょう。愛を否定する悪い人たちなんだ。それだけでも、許せないものですよ」

 生温かい肉隗が、唇へと押しつけられた。死臭? 吐気がこみあげてくる。

「本当に可愛いっ。虐めたくなるぐらいに。ファースト・キスだったら、嬉しいなぁ。男子には興味ないけど、あなたは特別なものです。アルマちゃんって、人間とは違う味がするのですね。肩あたりがね。ほんのりと甘かったですよ。あははっ!」

 たしか、親友のアウスさんが初めての相手だった。映画の真似をして、お兄ちゃんにしてきたのだ。素敵な男性とのファースト・キスは不可能となり、お兄ちゃんは愚痴っていた。でも、満更でもない様子だったかな。そんな記憶が一瞬だけ流れていき、ぞっとした寒気が這いあがっていく。この女を突きはなそうとするも、上手く力が入らない。甘い吐息を吸いこんでしまう。テレビはつけっぱなしで、ニュースは流れつづけている。十六夜アキという女性へのインタビュー。WRGPに出場した経験もあるという。私にはない、強そうな意志が感じられる。

「三眼の魔女? 偽りの愛を語って、闇のデュエルで少女たちを苦しめていく。私の友達にも、多くの被害者がいる。ウィン・カーウィンと名乗っているそうだけど、許せないわ。だけど、彼女にも辛い過去があるような気がするの。とにかく、彼女にぶつかってみたい」

 ウィンがリモコンを握りつぶして、テレビにぶつけた。割れるような破壊音が響きわたる。

「偽りじゃない。いつだって本物ですよ。辛い経験なんて、何もない。パパはずっと優しくしてくれたんだ。十六夜アキという人は、愛を理解できないんだね。殺さなきゃいけない」

 両目が前髪に隠れている。鎌のように広がった口だけが、歪に笑っていた。心臓が縮みあがりそうだ。溜息をつきながら、とことこと歩きだす。テーブルに置かれているデュエル・ディスクを左腕にはめて、満面の笑顔を花咲かせた。そこには、一滴の闇すらも感じとれない。

「ファラオの使者を、デュエルで倒さなければいけません。そのためには、もっと強くならなければ。今から練習をしましょう。悪い人たちに勝って、いっしょに世界を守っていこうよ!」

 きっと、闇のデュエルをするのだろう。ついさっき、目にしたばかりの恐怖光景。黒蛇と灼熱に包まれながら、少女が絶叫していた。胸をかきむしっている姿が、本当に苦しそうだった。思いだすだけでも、心臓が弾んでくる。無理矢理にでも、同情の言葉で脳裏を埋めつくしていく。

「何を想像しているのかな? 楽しそうな顔をしちゃって。私と愛しあえるのが嬉しいですか?」

「デ、デュエルはしませんよ。お兄ちゃんのを眺めていますので、ルールは理解できるけど。まともにやったことないから、きっと上手くできないと思うのです。自信ありませんし」

「私の目を見て、話してくれましたね。誰だって、初めてのことは上手くいかないよ。自信だって、最初からあるものじゃない。でも、それでいいじゃないですか。敗北しながらでも、少しずつ上達していこうよ。それにね。デュエルというものは、相手を制圧して悦に浸るものじゃない。相手をリスペクトして、心通わしていくものなの。何というのかな? 勝敗よりも、いかに相手と分かりあえるのかが大切だと思うんだ。アルマちゃんについて、もっと知りたい! 親友になってほしい!」

 ハッピー・スマイルを浮かべながら、柔らかそうな右手を差しだしてきた。

「だからね。闇のデュエルをしよう。苦痛という快楽を味わって、愛しあいましょう!」

 その瞬間、恐怖心が臨界点を越えてしまった。悲鳴をあげながら、虹色球体を撃ちだした。お兄ちゃんのように、雨嵐のごとく降らせられない。せいぜいが、単発を発射できるのみだ。それでも、威力は大砲並にあるつもりだけど。ウィンは壁に叩きつけられて、絨毯の上に転げまわった。ひび割れた壁。激痛を漏らして、胸を押さえている。その姿を見下ろしているだけで、胸中が熱くなってきた。くすくすと哂いを漏らしてしまう。顔は伏せられて、額眼のみが私を見上げてくる。視線が交差した。私だって、化物なんだね。鞄を手にとり、この異様な空間から逃げだした。





【エピソード・SP1-リバース・サイド その3】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

なんだこりゃ。こういう病んデレって萌えないよね。病みにも種類がある。
ウィンは初めからイメージにあったカードを使わせているわけね。
ダルクの出生をそう出してきたか。前より性的に表現がキツイことね。性器変えるとかジャンヌダルクの辱しめといい勝負。「ダルク」だけに。女にとって性器を酷く扱われるのは最大の恥辱。考えてみよう。
デュエルターミナルクロニクルのカード見た?第8期フォーマットでダサくなった上、パラレル加工がおかしい。
こう考えると欲しいカードは前の弾を探して手に入れたほうがいいかも。再録カードも6弾以降はまとも?だし。
レベル枠だけど魔法・罠もふりがながはみ出してやだね。イラストの拡大って誰特・・・。

No title

 majesticさん、感想ありがとうございます。

 間違いなく萌えないキャラですね。気持ち悪さがにじみでたキャラになっています。ちょっと闇マリクな部分も入っているかな。

 表現のきつい部分がありましたので、全体的に修正しました。あいまいにしたりして。このダルクの設定は、前の番外編(消してありますけど)にも書いたかな。本人無断で強制性転換させたという感じです。改造した本人は、ダルクを道具程度にしか考えていない設定で。胎児時代にやられて実感が薄い部分があるとはいえ、ダルクはジョゼフを嫌っています。

 画像検索してみました。もう慣れるしかないですね。
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