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CROSS-D ファラオの使徒

遊戯王 デュエルモンスターズ Vol.23 [DVD]遊戯王 デュエルモンスターズ Vol.23 [DVD]
(2002/07/17)
風間俊介、津田健次郎 他

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 番外編でも、ちょっとだけデュエル・シーンがあったり。顔芸さんの。

 ファラオが暮らしていた宮殿が、冷たい砂漠の上にそびえだっている。巨石が幾層にも積みあげられ、圧倒的な威容を誇っている。建ちならぶオベリスク。それらすらも凌いでしまうほどの巨体が、砂上で静養していた。大邪神ゾーク・ネクロファデス。破壊欲をたぎらせながら、ゆったりとエナジーを溜めこんでいる。近いうちに訪れるカタストロフィに向けて、口元で笑みを浮かべている。虚無のみが広がっている暗黒空には、星すらも瞬かない。この場所は、特殊な力により創られた亜空間である。暗黒のファラオは、ここを活動拠点としているようだ。

 玉座では、ファラオが傲慢なる態度で見下ろしていた。その隣には、仮面の大神官アクナディンが控えている。広大なるディアハの間では、2人の決闘者が向かいあっている。マリク・イシュタール。松明により照らしだされ、より不気味な表情へと揺れている。



【2ターン目:闇マリク】LP4000、ドローフェイズ後の手札6枚

(フィールド)
??:モンスター1体を裏側守備表示でセットしている。魔法&罠カードゾーンにカード2枚をセットしている。


「俺のターン、ドロー。《ギル・ガース:攻撃力1800・Lv4》を攻撃表示で召喚し、裏守備モンスターを攻撃する。ただし、これは闇のデュエルだ。モンスターが傷ついたとき、そのプレイヤーも同じ痛みを味わうのさ。苦痛の呻きで、俺を楽しませるがいい」

 マリクの顔輪郭が、不安定に揺らいだ。殺戮マシーンがソードを振りあげて、相手モンスターを斬りおとす。細長い胴体から脚のみが生えたような生物が、奇怪な悲鳴をほとばしらせた。それを伏せた、細身の青年。眼鏡の奥で、理知的な双眸が歪んでいく。ぐふっと呻いて、逆立った髪を揺らせた。苦しむ様子をしげしげと眺めおろし、マリクがニヤリと哂う。

「これが、闇のデュエルか。僕はプロデュエリストになるべき男だ。伝説の決闘者マリク・イシュタールが相手といえども、負けるわけにはいかない。《封印獣イヌン:守備力300・Lv1》が墓地に送られたことにより、デッキから永続魔法《封印の真言》を手札に加える」

 アモン・ガラムがマントをひるがえし、石畳を踏みかためた。首に巻いている数珠を握りしめ、集中を取りもどす。本来ならば、この場所にいること自体が異常であるだろう。本人は、その事実に疑問を抱く様子もない。己が使命を果たすかのごとく、ひたすらデュエルを進めていく。

「我慢強そうだが、顔色が悪くなっているぞ。ライフが0になるまで、じわりじわりと苦しめてやる。それまで倒れるなよ。カード2枚をセットして、ターンエンドだ」



【3ターン目:アモン】LP4000、ドローフェイズ後の手札4枚

(フィールド)
アモン:魔法&罠カードゾーンにカード2枚をセットしている。

マリク:《ギル・ガース:攻撃力1800・Lv4》が攻撃表示。魔法&罠カードゾーンにカード2枚をセットしている。


「僕のターン、ドロー。永続魔法《封印の真言》を発動。このカードが場に存在することより、手札から《封印獣ヌヌラオ:攻撃力500・Lv2》2体を攻撃表示で特殊召喚する」

 両目のない蛇モドキが、大口を開けている。ぐりぐりと動いており、どこか不気味である。

「《封印獣ヌヌラオ》2体をリリースして、《封印獣ニブヌ:攻撃力2700・Lv8》を攻撃表示でアドバンス召喚する。このモンスターの召喚により、《おろかな埋葬》により墓地へ送った《封印獣ブロン:攻撃力2700》を攻撃表示で特殊召喚! 2体のモンスターで攻撃する」

 漆黒の怪獣というべき《封印獣ニブヌ》が、異形なる咆哮でわめきあげた。顔面を刃で覆いつくした《封印獣ブロン》が、呼応するかのように、石床を砕いて跳びあがる。そのままの勢いで、敵陣へと猛突進。四枚刃を開いて、《ギル・ガース》を掴みあげようとする。

「残念だが、その攻撃は通らないよ。永続罠《拷問車輪》を発動する。《封印獣ブロン》は攻撃と表示形式の変更ができなくなる。さらに、俺のスタンバイフェイズごとに、貴様は500ポイントのダメージを受けるのだ。削られるような激痛を、じっくりと楽しむがいい」

「そんなものを楽しむつもりはない! 《封印の真言》があるかぎり、《封印獣》のモンスター効果は解放される。《封印獣ブロン》により、《封印獣》を対象とするカード効果を無効にして破壊する」

 《封印獣ブロン》の顔前に、魔法陣が回転しだした。《拷問車輪》を輝きへと吸収していく。攻撃は続く。《ギル・ガース》のアイアン・ボディは、ばらばらに切断された。《封印獣ニブヌ》による直接攻撃。黒霧を凝縮したようなダーク・ブレスを撃ちこまれ、マリクは吹きとばされた。床へと全身を打ちつける。マリクの残りライフは、400ポイントへと減少した。不気味な笑声が反響していく。

「今の攻撃は刺激的だったぞ。そのお返しとして、究極の炎獄へと堕としてやるよぉ。《封印獣ニブヌ》の攻撃にチェーンをして、罠カード《邪心の大災害》を発動した。フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊だぁ! 《封印の真言》を破壊すれば、《封印獣》は力を発揮できなくなるのだな?」

 暗黒風が宮殿内を吹きあれる。裂かれようとする松明の炎も、ぎりぎりのところで消えずに踏んばった。対するアモンは、得意気に笑んでいる。

「それはどうかな? 破壊対策ぐらいは、十分なほどに練っているがな。永続罠《古文書の結界》を発動。このカードが存在するかぎり、《封印の真言》は破壊されない」

 アモンがセットしていた永続罠《真言の呪縛》は破壊された。800ポイントのライフを払い発動。相手モンスターの攻撃を封じて、その攻撃力を500ポイントずつ下げていくものである。

「ここまでライフポイントを削れば、《ラーの翼神竜》を活かすプレイングもできないはず。どうやら、このデュエル。僕の勝利で終るようだ。ターンを終了する」



【4ターン目:マリク】LP400、ドローフェイズ後の手札4枚

(フィールド)
アモン:《封印獣ニブヌ:攻撃力2700・Lv8》&《封印獣ブロン:攻撃力2700》が攻撃表示。永続魔法《封印の真言》が発動中。

マリク:無し。


「貴様ごときに、《ラーの翼神竜》を使うまでもないよ。俺のターン、ドロー。最高のプレゼントを贈ってやる。ありがたく、心身を焼き焦がすがいい。《封印獣ニブヌ》と《封印獣ブロン》をリリースして、相手フィールド上に《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム:攻撃力3000・Lv8》を特殊召喚」

 包みこまれるような灼熱に、アモンが振りかえった。その表情には、焦燥が侵入している。ぼたり、ぼたりと、マグマが落下した。溶岩で構成されたかのような魔神が、背後に立ちあがっている。

「いいカードを引いたぞ。手札から速攻魔法《ご隠居の猛毒薬》を発動し、自分ライフを1200ポイント回復する。ライフを800ポイント払い、魔法カード《洗脳-ブレインコントロール》を発動。《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》をエンドフェイズまで返してもらおう。《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》でダイレクト・アタックだ。どうだぁ? 灼熱のシャワーだぞ。たっぷりと浴びられて、気持ちがよかろう」

 両腕を広げた溶岩魔神が、前方へと倒れこんだ。かすかな悲鳴ごと、アモンが飲みこまれていく。攻撃力3000ポイントの直接攻撃。アモン・ガラムのライフは1000ポイントの灰となった。マリクはエンド宣言。もう、何かする必要すらもない。《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》のモンスター効果により、アモンはスタンバイフェイズに1000ポイントものダメージを受けるのだから。



「マリク・イシュタール。貴様の実力を認めてやろう。俺がいた世界のよりは、ずいぶんと強いようだ。我が駒としてふさわしい。存分に役立つがいい」

 傲慢さにあふれた声が、玉座から下った。苛立ちを含ませながら、マリクが視線を上げていく。武藤遊戯の姿をした、暗黒のファラオ。その形相は、マリクすらもが引いてしまうほどに歪みきっている。邪悪なる魂の所有者。こいつは何者であろうか? そんな疑問は転がっていき、残った嗜虐と殺意がファラオに向けられる。いつまでも従うわけがない。堪能しきったところで、最後にファラオを葬ってやろう。千年ロッドを握りしめて、マリクは哄笑をあげた。

 巨大な獣腕が振りおろされた。石床に叩きつけられて、宮殿中を振動させていく。時空が渦描くかのように揺らめいていき、その中心で倒れていたアモン・ガラムは消滅した。その高さは3mをも超えるかもしれない。三重冠を乗せたスフィンクスが、前足をそろえて座っていた。その顔は虚ろなる暗黒。宇宙の深遠を感じさせられるような黒で塗りつぶされていた。

「顔無きスフィンクス。異なる時代、異なる世界からデュエリストを召喚させられるのか。呼びだした決闘者は、不完全ながらに洗脳を与えられる。敗北すれば、元の世界へと戻っていく。貴様にそんな能力があったとはな。興が乗るものだ」

 この亜空間を創ったのも、顔無きスフィンクスである。マリクは一瞥したが、興味抱かずに、視線をアクナディンへと移した。武藤遊戯とのデュエルで消滅したはずだが、こいつの魔術により蘇れた。感謝の気持ちなど、微塵も抱いてはいない。都合が悪くなれば、アクナディンも殺すつもりでいる。倒すべき敵どもの情報は、映像魔術という形で見せられている。ダークネスを倒したというダルク・ウェイトリィ。大人しそうな小娘だ。気になるのは、ウィン・カーウィンという小娘。彼女のデュエルを観察するかぎり、自分側の存在ではないかと思われる。そのうち会ってみよう。



 同時刻。とある高層ビルの屋上で、バクラがシティを一望していた。風が強いせいか、白長髪がなびいている。落下防止柵にもたれると、千年リングが手すりにカランと当たった。

「ウィン・カーウィンか。いかれた女だったぜ。まぁいい。旧支配者ハスターの技は、ディアバウンドに吸収させてもらったよ。精霊獣へのダメージが大きすぎて、しばらく使えなくなったがな。さぁて。次はダルク・ウェイトリィの魂を喰わせてやるとするか。たっぷりと楽しませてもらうよ」

「楽しんで勝つか……。いいことだ。何事も楽しんだ者が勝者だと、俺は思うよ」

 コンクリートを革靴で踏みならす足音が、コツコツと近づいてくる。背後から、人影が忍びよってきた。眉の太い、オールバックの壮年男。その全身からは、白衣服とは対照的なダーク・オーラがほとばしっている。バクラに負けぬほどの、邪悪さに満ちた容貌だ。

「この世に退屈ほど、人間にとっての悪はない」

 オールバックの男も、嫌らしい笑みを浮かべた。

「ああ、退屈はさせないぜ。面白い祭りが始まるんだからなぁ。頼むぜ、クル・エルナ村の同志。トラゴエディアさんよぉ」

 バクラが黒いロングコートをひるがえし、振りかえった。新たなる悪夢が始まろうとする。





【エピソード・SP1-リバース・サイド その4】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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