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CROSS-11 仕掛けられた罠! バクラの企み

遊・戯・王 16 (集英社文庫―コミック版)遊・戯・王 16 (集英社文庫―コミック版)
(2007/12/13)
高橋 和希

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 いろいろな世界からのキャラが集合していきます。

 ダルク・ウェイトリィについて、詳細に調べてみた。自動車に轢かれそうになったルアを、間一髪のところで助けてくれたそうだ。大切な仲間を救ってくれたことに感謝したい。カーリーさんが取材しているようだけど、大仰な雑誌掲載は控えているようだ。あちらこちらに出没しては、デュエルを挑んでいるらしい。名状しがたき恐怖をもたらす双瞳に、癒してくれるような微笑。相反する性質を持ちあわせている少女である。とても穏やかな性格のようで、好印象を抱かれているという。ディックという路上決闘者は、狂怖に当てられながらも再会したがっているようだ。遊星も、幾度か会っているという。シティにぽつぽつと湧きだしている異変と、何かの関係がある。そう、遊星は言っていた。ウィン・カーウィンについても、つながりがあるだろうか?

 シェリーとライディング・デュエルをした直後。追いかけてみたけど、ダルクらしい少女は消えていた。気のせいだろうか。写真で目にした印象とは、どこか違うものがある。卑屈さがにじみでている表情をしていた。何かに怯えるように、歩道の端っこに縮こまっている。そんな感じだった。デュエル・アカデミアの長期休暇は続いている。翌日も、ウィンやダルクについて調べまわっていた。こんなに広い街だ。ばったりと会えるわけがない。期待していなかったけど……。

「あなた。ダルク・ウェイトリィだね?」

「わ、わたしですか!? え、えっと……私はダルクじゃないのです。妹のアルマ・ウェイトリィっていいます。あのぅ。誰だか知りませんけど、腕を放してください」

 逃げられてしまいそうな予感がして、反射的に腕をつかんでしまった。あまりにも木目細かい白肌をしている。感触といい、弾力感といい、とても人間のものとは思えない。人通りの寂しい路地裏に、2人きり。かすかに震えている。うつむいて、つぶやくような話し方をしている。いきなり迫るようにして、驚かせてしまったのだろうか。それにしても、妹までいるとは初耳だ。

「ごめんなさい。まずは、自己紹介するわね。私は、十六夜アキ」

「思いだしました。テレビでインタビューに答えていた人なのですね。昨日、見たような……」

 つい最近、ウィン・カーウィンについて訊かれたのを思いだす。わずかに私を見上げて、すぐに両目を伏せた。濁りが渦巻いている瞳が、ときおり赤みを輝かせている。グロテスクな怪物に、正気を食べられているようだ。気持ち悪さが、私を蝕んでいく。

「あ、あのう。私から離れた方がいいですよ。この瞳は毒なのです。ハネクリボーたちが薄めてくれていますけど、それでも汚いものです。私みたいな化物には、近づかない方がいいよ」

 ハネクリボー? 彼女の肩近くに、モヤモヤした何かが漂っている。化物か。そんな言葉を聞いてしまうと、ほおっておけなくなる。腕を開放する前に、そぉっと手を握った。温もりは、しっかりと人間らしい。アルマ・ウェイトリィが小首を傾げながら、深く吐息を吹きだした。



「私たちは、旧支配者ヨグ・ソトースの仔。人間じゃないのです。パパから、こんな両眼を継いじゃいました。みんなに迷惑をかけちゃいますし、怖がられるのです。ダルク兄さんも、デュエル相手を探すのに苦労しましたよ。自分から話しかけられるだけ、凄いのですけどね」

 自動販売機でアイスティーを買い、片方をアルマに手渡した。こくんと礼をしてから、ステイオンタブを傾ける。両手で抱えながら飲む姿は、愛らしいものがあった。つい撫でようとする右手を抑えて、建物に挟まれた青空を見上げていく。陰になっており、ここらは涼しい場所だ。

「その旧支配者というのが、よく分からないわね」

「あ、あらゆる世界を創造した者たちですよ。本来ならば、世界の外側にいるはず。だけど、旧神に封印されてしまいました。世界の狭間で、精神のみが眠っています。ヨグ・ソトースは、別格の存在なのですよ。ナイアーラトテップは、旧支配者を蘇らせようとしています」

 消えいきそうな声が、ぽつりぽつりと地面に落ちていく。冷たい紅茶を、喉奥へと流しこんだ。壮大すぎる神話を、頭の片隅へと留めておいた。見知らぬ神話用語に囚われてしまい、思考停止するわけにはいかない。会話を進めていこう。あれっ? 違和感が、頭中に引っかかった。

「ダルク兄さん? その呼び方からすると、ダルクちゃんは男の子なの? 写真を見るかぎりでは、そうは見えなかったけど。胸もあったような気がするわ」

「魔術師ジョゼフ・カーウィンに弄られてしまい、性別があやふやのままに産まれたのです。私にとっては、頼れるお兄ちゃんなんですけどね。そんなダルク兄さんも、ぐっすりと眠りこんだままなのです。ダークネスとのデュエルによるダメージは、想像以上に大きすぎました」

「ダークネスとのデュエル……。ダルクちゃんは、どこにいるの?」

「す、すぐ近くとしか言いようがないのです。それ以上は教えられません」

「質問ばかり重ねて、ごめんなさいね。ウィン・カーウィンという少女について、何か知っていることはあるかな? 闇のデュエルで、たくさんの友達を傷つけた。私は彼女を探しているの」

「私も詳しくは分からないのですけど、彼女は異常者なのです。歪んだ愛情の持主ですよ。同じ世界から来たのは確実ですけど、それ以上は分かりません。……って、やっぱり唖然としちゃいますよね。私たちは、異世界から来たのです。宇宙の外にある、まったく別の宇宙から。世界というものは、ヨグ・ソトースが治める高次元空間上、無数に存在しているのですよ」

 私の顔色をちらちらと眺めながら、アルマが説明を紡いでいく。後半部分については、よく分からない。宇宙の外にあるという異世界か。現実離れした話だけど、過去を思いかえせば……地縛神に、未来からの来訪者。異世界人もありえるような気がしてきた。

「これで、最後の質問にするね。あなたたちは、この世界に何をしにきたの?」

「大邪神ゾーク・ネクロファデスを倒すためです。ファラオはゾークを使役して、あらゆる世界に厄災をもたらしています。それらと戦うために、ナイアーラトテップがゲームを挑みました。デュエル・モンスターズでファラオの使徒を倒していき、最後にはファラオと決闘するのです。RPG盤という形で、この世界を巻きこんでしまいました。ごめんなさい。ウィン・カーウィンも、名目上は仲間なんですけどね。あんな人と組むのは嫌なのです。顔も合わせたくない」

 大邪神を倒すために、ヨグ・ソトースの子供が、異世界から来訪してきた。そのために、デュエルを繰りかえしている。要約すると、そんな感じになるのだろうか。突拍子もない話が続いて、消化していくには時間がかかりそうだ。ウィン・カーウィンも邪神と戦っているのか。やっていることは、悪以外の何物でもないけど。最後の一滴になったアイスティーは生温い。飲みほして、自動販売機横のダストボックスに入れておく。建物による峡谷に、静風が舞いこんできた。短い会話だったけど、頭の整理に費やされたのか、疲れがうっすらと層をなしているようだ。

「そのカチューシャ。リボンもついているんだ。可愛いわね」

「えっ!? い、いきなり、何を言うのですか! ヒータという、育ててくれた女性ですけど。12歳の誕生日にプレゼントしてくれました。大切な宝物。6年近く、ずっとつけているのです」

 何となく零したセリフに、紅潮しながら返してくれた。あれっ?

「6年間って……あなた、18歳なの?」

「こんな外見ですけど、れっきとした成人なのですよ。12歳で身長が伸びなくなって、胸もこのまんま。アキさん、とっても羨ましいのです。テレビでちょこっと観ましたけど、WRGPに出場して人気者なのですね。ファンも大勢いるとか。凄すぎですよ」

「そうなのかな……」

 卑屈そうな表情は、だんだんと明るくなっている。信じられないけど、私よりも年上なのか。顔つきからして、12歳ぐらいかなと思っていた。嘘をついている様子は感じられない。アルマの視線が、私の胸元から遠くへと移動した。何となしに追ってみる。ここから見える通り。街路樹に手をついて、白髪少年が苦しんでいる。顔色酷く、嘔吐を繰りかえしている。すぐ近くに、ネオドミノ病院があるはずだ。アルマが息を呑みこみ、跳ぶように駆けだした。



 消毒臭が漂う、独特の空気。私たちは、病院のロビーに立っている。友人たちが入院しており、私自身もクラッシュ事故でお世話になったこともあり、馴染んだ光景である。周囲に気を遣ってだろうか。ローブから引張りだしたフードを深々とかぶりこんで、両眼を隠しているようだ。

「今の人、大丈夫かなぁ? ふらふらしていて、心配なのです」

「アルマさん。男性を軽々とかついでしまうなんて、意外に力持ちなのね」

 目元を隠しても、照れているのは伝わってくる。ハンカチで反吐を拭って、少年をひょいと背負いだした。教えたとおりに、病院へと運んでいった。白髪少年は治療を受けているだろう。視線をキョロキョロさせたかと思えば、どこかへと歩きだした。手先が震えている。脳検査室前の通路には、人が少ない。胸を撫でおろしながら、安堵の溜息をついている。

「人が多いところは苦手なのです。お兄ちゃんの背後に隠れてばかりですから、すっかり対人恐怖症になっちゃいました。こんな年なのに、情けない駄目女ですね」

 弱々しい表情で、蔑むように笑っている。そんなことないのに……。患者たちが毒眼に当てられないように、気を効かせたのだろう。クリーム色の鉄扉が開き、男性医師が出てきた。真摯な表情のまま、リノリウム張りの通路を踏みしめていく。その光景に、将来を意識してしまう。

「明確に固まった夢じゃないけどね。医者になりたい。そういう気持ちが、日増に大きくなっているの。プロデュエリストへの憧れもあったけど、病気や怪我で困っている人を助けられる人になりたい。苦しんでいる友人たちを見ているうちに、そういう気持ちが膨らんできたわ」

「お医者さんかぁ。いいですね。カッコいい女医さんに、なりそうです」

「アルマさんは、どんな夢を抱いているの?」

「私なんて、お兄ちゃんの寄生虫みたいな存在ですよ。お兄ちゃんがいないと、すぐに気弱になって、何もできません。何のとりえもなくて、人に迷惑をかけてばかりの化物なんです。こんな私なんかにね。将来なんて、あるわけがないのですよ。永遠にダルク兄さんの陰なのです」

 また、化物か。自己評価も低すぎる。出会ってから時間も経っていないけど、アルマの長所がいくつも見つけられた。言葉をかけようとしたけど、妙な声が脳中へと侵入してきた。



【まんまと騙され、この屍の病院に入ったが最期。今ここで、お前らを葬ってやろう!】



 遠くの方で、看護士たちが膝を崩していった。意識を失ったのか、ぴくりとも動く様子がない。息苦しい。ざらついた瘴気に占められている。急速に腕を引かれて、床へと倒れてしまった。その上を死霊どもが通過していく。視線を横にずらすと、アルマが私の左手を握っていた。

「危なかったのです。アキさんが助かって、よかった。いったい、何が起こっているのでしょうか?」

 悪霊どもが、苦悶に満ちた表情で哂いあげながら、宙を舞っている。煙状で実体がなさそうであるが、触れるのは危険であろう。集中してくる視線。気絶している人には興味なく、私たちを狙っているようだ。突然にして、アルマが駆けだした。死霊雲に突っこんでいくかのごとく。

「私が囮になるのです。アキさんは、逃げてください」

「そんなこと。できるわけがないじゃない! 待って!」

 追いかけた。何という脚の速さだろうか。染みだしていく冷汗。瘴気が肺へと潜りこんできて、悪寒が全身へと広がっていく。アルマを喰らおうと、亡霊たちが集中している。通路を抜けて、緑あふれる中庭に跳びだした。晴天なのに、どんよりと薄暗い。ベンチに誰かが座っていることもなく、人はいないようだ。無数なる悪意が、白壁を背にしているアルマに噛みつこうとしていく。

 虹色球体!?

 ぽつりぽつりと宙に浮きだしたかと思えば、それらが死霊どもへと放たれた。視認できないほどの加速。時間もかからないうちに、仰々しい騒ぎが収まった。何が起こったのだろうか? 虹色球体が死霊を蒸発させたなんて。静かな空間に、不気味な笑みが広がっていく。

「サイコー。私自身が【ヨグ・ソトースの眼】をこんなに撃てちゃうなんて、初めてなのです。死霊相手でも、何かを壊すのは気持ちいいよぉ。私も、お兄ちゃんと同じなのですね」

 悲しそうに狂嬉している。嗜虐と罪悪がせめぎあっているようだ。どろりと渦巻く双眸が、視界中央に据えられていく。これまでにない気持ち悪さが、胃奥から込みあがってきた。溝へと嘔吐していく。昼食のサンドイッチは、まだ消化しきれていないようだ。

「見られちゃいましたね。これが、私の正体なんですよ。ヨグ・ソトースの仔。とっても快感だよ。誰かを傷つけるたびに、私は興奮しちゃうのです。アキさん。これ以上、こんな私にかかわらない方がいいですよ。こんな化物は、怖いでしょう? 気持ち悪いでしょう?」

 その悲しさを思いだす。望まないのに、異能を有してしまった悲劇。アルマが苦しんでいる。私を救ってくれた遊星。彼のように、立ちあがり歩いていった。距離を縮めていき、戸惑うアルマを抱擁する。どんなに抵抗されても、この腕だけは離さないから。

「苦しんでいた少年を、病院へと連れていったじゃない! 身を呈して、私を助けてくれたじゃない! 化物だったら、そんなことしないよ! あなたは、人と違った能力を持っているだけで、とても優しい人間。これ以上、自分自身を傷つけるようなことを言わないで!」

「知った風なことを……。化物に産まれてしまった気持ちが、あなたに分かるのですかっ!?」

「分かるよ……。あなたは強い人。自分の力にも負けないと信じているわ」

 その声は細くなっていき、代わりに嗚咽が大きくなった。私の胸元が、涙で濡れていく。小さな背中を、両掌で抱きしめた。周囲には、新たなる亡者どもが集まってきている。ダークシグナーと似たような屍臭。ネガティブな感情を溜めこみ、苦しそうに呻いている。シグナーサインが輝きはじめ、右腕が疼いた。あなたたちも救うわ。デュエル・ディスクに《ブラック・ローズ・ドラゴン》を置いて、実体化させた。赤薔薇を散らしながら、屋上まで飛翔していく。地上へと向けて、優しい輝きを注いでいった。冥界に戻るかのように、死霊が消えていく。その表情は安らぎを称えていた。



「おいおい。千年リングを使って、わざわざ冥界から死霊を召喚したのによぉ。全部台無しにしてくれちゃって。こりゃ、闇のデュエルで決着をつけるしかないよなぁ」

 揺れる黒コート。カチャリカチャリと、胸元の黄金リングが鳴っている。悪鬼のごとき双眸が、吊りあがっている。どういうことだろうか? アルマが助けたはずの白髪少年だ。

「不思議そうな顔をしているよな。貴様らを病院に引きずりこむために、苦しんでいる演技をしたのさ。病院と悪霊の相性は、なかなか良好なんでねぇ。てめぇらは、このバクラ様の罠に引っかかったというわけだ。死霊に喰われなかったことを後悔するぜ。闇のデュエルは、より苛酷だからよ」

 バクラが睨みつけてきた。憎悪のこめられた悪意をぶつけられ、退きそうになってしまう。負けるわけにはいかない。安心させるように、アルマを見つめた。気のせいだろうか。両瞳から濁りが消えようとしている。目を合わせても、それほどには気分悪くならない。今はデュエルだ。考えこむのは、後にしよう。しっかりと頷きあい、バクラへと立ちむかう。

「あなたは、絶対に許さない」

「別に許してもらおうとも思っていないさ。シグナーごときにな。てめぇを潰した後は、ヨグ・ソトースの仔とやらを、ディアバウンドの餌にさせてもらうよ」



『デュエル!』





【エピソード2-バクラの罠・その2】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

胸をつけるべきか否か。
難しいことに、12歳って遺伝や成長スピードの関係である子とない子がけっこう差がつく時期。
男性器をつけられて成長期に入った場合、ベースが女の体でも関係なく男性ホルモンで性器と身体の両方が男らしくなっていく。
この矛盾を解決したいなら、取り込んだアルマの性器は女のまま、あるいはダルクを両性の存在として男とも女とも交配できるから両方のホルモンが相殺されている・・・実際にはホルモンの相殺はないから、体毛が濃くなって体に丸みがでて筋肉質になる。・・ダメだ。
・・・一番納得のいく設定は、男のダルクと女のアルマは12歳の成長期まで子供だったから身体の成長過程に相違がなく成長できた。だが、成長期になって、平行的に重なっている身体が相違し始めたために崩壊の危険を防ぐために身体が自己防衛的に成長にストップをかけた。

8期のパックは地、水と来ているから11月は風か炎だね。どんな新しいテーマが出るか期待。

No title

 majesticさん、感想ありがとうございます。

 実は……ダルク&アルマのベースとなった、ラヴィニア・ウェイトリィを魔術で製造されたホムンクルスという設定に変えててあります。言ってしまえれば、人造人間というか、特定目的に造られた人形みたいなものです。ダルクは、ラヴィニア。ウェイトリィとヨグ・ソトースの仔。人間どころか、生物ですらない存在という設定です。成長の仕方も異なります。人間を真似ているのですが、大まかな所だけで、細部は全然違ったり。例えば、血液は流れていますけど、人間の模倣を大まかにしているだけで、栄養や酸素供給を全くしていなかったりします。ホルモンなども出ていないわけで。

 後、細かいところはキャラ設定で語っていきます。設定はあいまいにしておこうかと思います。

 個人的には、風を圧してほしいところですね。新種の鳥獣族でもほしいかな。小鳥ちゃん向けに。
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