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CROSS-E ダルクとアウス、とカーリーなのさ!

遊☆戯☆王ZEXAL SOUND DUEL1(仮)遊☆戯☆王ZEXAL SOUND DUEL1(仮)
(2011/09/28)
(アニメーション)、mihimaru GT 他

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 この番外編。修正後は3話分に縮小。

「ダルクくん。私はね。とっても、とっても心配したんだよ。急にいなくなって、吃驚したの。いくら書置きを残してくれても、少しだって不安は拭えないんだよ。すぐに帰ってくるから、安心して待っていてね? そんな真似を続けられると考えていたの? ダルクくんが、どこに行ってしまったのだろう? ちゃんと戻ってくるかな? もし、永久に会えなくなってしまったら……どうしよう? そんな絶望ばかりが脳内を占めてしまい、何もできなくなったんだ。研究も手につかない。明方に目覚めてしまい、心臓バクバク。睡眠薬を飲まなければ、寝られなくなったの」

 怒涛のごとく、アウスが不満をぶつけてくる。目尻に涙粒を溜めながら。無理もないだろう。アウスに黙って、異世界での冒険を始めたのだから。ウルタールに連れられて、ファラオを倒すためのRPGを始めた。ゾーク・ネクロファデスとの戦いを知れば、アウスもついてくるかもしれない。そうなれば、アウスを危険へと巻きこんでしまう。だから、嘘をついたんだ。

「起きあがっても、ベッドにダルクくんがいない。食事をとるにも、会話してくれるダルクくんがいない。まるで、拷問みたいな日々だった。気遣ってくれているのは、私だって嬉しい。でも、苦しかった。闇に吼えるもの。ナイアーラトテップに頼んでみたら、この世界にまで運んでくれたんだ。大変な状況になっているようだけど、あなたに逢えてホッとしているの」

「ごめんなさい。穏健派だとはいっても、ナイアーラトテップに接触するのは危険なのに……。ここまで来てくれるなんて、ボクだって嬉しいよ。アウスのいない毎日は、辛かったからね。でも、君のことが心配だよ。やっぱり、元の世界に帰ってほしいんだ。ボクの仲間だと知れば、ファラオはアウスを狙うかもしれない。アウスに何かあれば、ボクは生きがいを失ってしまう。ボクたちにとっては、それこそね。最悪の拷問だよ! アルマだって、気持ちは同じなんだよ!」

「嫌だね。ダルクくんがどう言おうと、あなたの隣りにいるから。それに、私を帰還させないようにも、ナイアーラトテップに頼んであるの。イースの科学力があれば、ダルクくんのサポートも行なえる。現に、トラゴエディアからの攻撃を防いだでしょ? デュエル・モンスターズというカードゲームを軸にして、この世界は構築されている。私はトレーディング・カードゲームのプレイヤー。違う種類のだけど、世界大会だって連続出場している。きっと、力になれるよ」

 真剣な眼差しだ。梃子でも動かないだろう。トラゴエディアの件については、よく分からない。肝心のアルマが眠りについているのだから。対人恐怖症を乗りこえて、頑張ったのだろう。妹の精神は、くたくただ。ダークネスが味方についてくれたらしいけど、いつの間にか消えていた。ポリスが駆けこんできたので、アウスはアルマを連れて逃げたという。テレビニュースによれば、その病院には、奇跡的に死傷者は出なかったらしい。元々からしての怪我人はいたようだけど。

「力になってくれて、ありがとう。これだけは言わせてくれる? ボクがアウスを守るからね」

 言葉に出してしまうのは恥ずかしいけど、アウスは親友だ。8年間も一緒に過ごしてきた、最愛の家族なんだ。全てを失ってしまっても、これだけは手放したくない宝物。こうやって言葉をぶつけあえるだけでも、幸せな気持ちで満ちてくる。喪失への不安と混じりあい、複雑な気分になってしまう。アウスが微笑を浮かべた。ボクの前以外では、絶対に魅せない表情だ。

「ありがとう、ダルクくん。異世界間を越える能力を、ナイアーラトテップは有している。闇に吼えるものに頼んだかいがあったの。これからも、ずっと一緒だよ」



 一段落したところで、ウェイトレスさんが近づいてきた。やっと、ディナーにありつけるぞ。アウスの手前に、グラタンセットが置かれる。ボクはハンバーグセット。丁寧に拭かれている木製テーブルの上に、料理がそろった。アウスと向かいあって食事なんて、20日ぐらいなかったかな。大窓は濃紺色に染まっており、レストランのにぎわう時間帯だと教えてくれる。いただきます。ナイフで柔らかいハンバーグを切って、フォークで刺していく。肉汁が流れでてきた。ジューシーな香りだ。チーズが絡みあって、デミグラスソースとの素敵なコンボを味あわせてくれる。一口で、ライフも800ポイント回復したようだ。アウスがニコニコと眺めてくる。手も動いていない。

「美味しそうに食べているね。その笑顔だけで、お腹いっぱいになるの。満腹」

「いや、料理を食べて胃を満たそうよ」

 病院での事件が終って、ボクは呆然としていた。何しろ、寝起きなんだ。入れかわるように、アルマが眠りについてしまった。事情を訊きたかったのに。アウスにシティ案内をしながら、いろいろと推理していった。ダークネスが味方についてくれたようだけど、何を企んでいるんだ? 白髪のお兄さんは、敵なのだろう。街を観察しながら、アウスはカルチャーショックを受けていた。

『バイクに乗りながら、カードゲーム? ホワイ? どういうこと? 立体映像の技術も凄すぎる。この科学雑誌に載っているのが不動遊星さんだね。変な髪形なの』

 驚愕しながらも、着実に飲みこんでいく。元々が宇宙生命体であるアウスには、異文化など手馴れているものだ。【ロード・オブ・ザ・元キング】という映画を観るころには、すっかりと順応していた。大通りにあるレストランに入ると、落ちついたせいなのか、一気に不満をぶつけてきた。これで回想は終わりにしておこう。コーンスープをすくって、喉へと流しこんだ。

「隣の芝生は青い。不思議だね。グラタンを食べたかったけど、ダルクくんのが美味しそうに見えるの」

「ちょっとだけ、食べてみる?」

「ありがとうなの」

 ナイフでハンバーグを切りわけて、フォークでぐっさり。差しだすと、アウスがばっくりと咥えた。満足そうに、頬を綻ばせている。ボクもアウスのを分けてもらった。20分かけて食べおわり、ソースのついちゃった口元を拭っていく。うーんと、背伸び。アウスが席を立ったかと思えば、隣に腰掛けてきた。2人分の体重により、クリーム色のソファが沈んでいく。身を寄せあっているので、体温が心地よく伝わってくる。最高に安堵できる居場所で、静かな休息をとっていた。



「ふーむぅ。とても仲のよろしいことで」

 どのぐらい時間が経過しただろうか。何者かが、対面席へと着いてきた。ぐるぐる眼鏡がトレードマーク。ロングヘアーのお姉さん。しつこく、ボクに対して突撃取材をしてきた記者さんだ。2人の時間を邪魔されたようで、ちょっとだけ苛ついてしまう。頬を膨らますと、つんつかれてしまった。もぅ、なれなれしいよぉ。オーダーしたメロンソーダを、豪快に飲みほしている。

「この眼鏡さんは、誰なの?」

「カレー何とかさん。ストーカーみたいに絡んでくるんだ。逃げまくったけど」

「カーリー渚だよ! 眼鏡さんって、自分だって眼鏡をかけているじゃない。それにしても、占いの結果は当たるものね。《占い魔女 ヒカリちゃん》の導きはすごいよ。おなかぺこぺこ。レストランに入れば、ダルク・ウェイトリィを発見したの。中央病院でも事件があったけど、何かを知っているでしょ? アキさんへの取材は、面会禁止で上手くいかなかったのかしら」

「十六夜アキさんは、大丈夫なのかなぁ? アルマがお世話になったみたいだけど」

「精密検査を受けて、しばらく静養すれば、近くにも退院できるそうだよ。ところで、アルマって誰なの? ん? そういえば、ダルクちゃんって雰囲気が変わっていない? 瞳が変化している。紅黒くて、目にするだけで気分が悪くなった記憶があるけど……。すごく綺麗。澄んだマリン・ブルーだね。こうして眺めていると、癒された気分になるわ。どうなっているのかしら?」

「俺も、よく分からない。多分だけど、十六夜アキさんのおかげだと思う。シグナーのパワーが、奇跡を起こしたのかもしれない。結果的には嬉しいよ。街中を歩いていても、誰からも気持ち悪がられない。化物扱いもされないんだ。幸せすぎて、天国にいる気分だよ」

「そんな扱いを受けてきたなんて……うぅっ、本当に苦労してきたんだねぇ。たしかに、シグナーは奇跡を起こしてきたわ。ジャックたちは、世界の救世主なんだから。アーククレイドルが落ちてきたときも、ばばんと大活躍! 今の平和があるのも、ジャックや遊星のおかげなんだね」

「それ、詳しく知りたいなぁ」

「いいわよ。いいわよ。教えてあげる。その代わり、独占取材をさせてもらうのかしら」

「以前に追っかけてきたときは、とても苦しそうにしていたでしょ? 俺の両眼を見てしまって。人によって耐性差があるようだけど、少なくともカーリーさんは苦手みたいだね。正気を削られかけていた。それでも、無理して追いかけてきたのは吃驚したけど。これ以上に悪影響を与えるのはよくないから、逃げた面もあるんだ。今なら大丈夫みたいだね」

「私に気遣っていたんだ。優しい子なんだね……。ところで、そちらの女性は友達? 白衣を着ているけど……もしかして、研究者かな? 知的な感じがするわ」

 ふぅと息を吐きこんで、カーリーさんがアウスに顔向けた。無表情を固めたままに、アウスはむっつりと黙りこんでいる。さっきまでは、表情豊かだったのに。他人が割りこんでくると、こうなっちゃうんだ。ごく親しい人でないと、心を開こうとしない。必要最小限に、ボクが答えておこう。

「セーラ・ピースリー。普段は、アウスというニックネームで呼んでるけどね。次元空間についての研究者だよ。親友だけど、家族でもあるんだ。俺が10歳のころに出逢ってから、8年ぐらい一緒に暮らしているしね。姉妹みたいな感じになっている。もちろん、アウスがお姉さんだね」

「えぇっと……ダルクちゃんは18歳ということ? てっきり、13歳ぐらいかと思っていたけど」

「むぅーっ。みんな、そう言うね。アウスと同じ年齢なのに」

「同年齢には、とても見えないけど……。おっと、失礼しちゃった。セーラさんとは、初対面。自己紹介をしなきゃいけないわね。改めて、初めましてですね。私は、カーリー渚といいます。職業は新聞記者。とはいっても、下っ端ですけどね。さっそくですが、取材をさせてもらいますよ」

 以前なら、こういう接触を避けていたのかもしれない。拒絶しなくなったのも、ステファニーさんの影響だろうか。カーリーさんからも、気にかかる情報を引きだしたい。質問を受けることにした。チョコケーキを追加注文して、対話を深めていく。周囲では、家族連れが楽しそうにディナーを楽しんでいる。異世界の存在に、暗黒のファラオ。この世界を取りこんでいる状況を、たんたんと説明していく。固唾を飲みこみながら、メモを取りながら、カーリーさんは聞きこんでいる。

「大邪神が降臨するか。次から次へと、ネオドミノには事件が舞いこむものね」

 予想以上に、あっさりと受けいれてくれた。

「そうなんだ。この世界そのものが、危機に包囲されている。カーリーさんも、俺たちとの接触を控えないといけないよ。ファラオたちの目が、カーリーさんにまで向いてしまうかもしれない。人質にとったりして。牙を刺してくるかもしれない。あなたを巻きこみたくないんだ」

「そんな心配はいらないさ。危険なんて恐れては、記者が廃る! 情報を得るためなら、悪の秘密結社にまで乗りこんじゃうのだから。それに、ダルクちゃんだけの問題じゃないんだよ。失敗すれば、シティがゾーク・ネクロファデスに滅茶苦茶にされるのかもしれないのでしょ? 首を突っこまないで。遊星にそう言ったらしいけど、そういうわけにはいかない。もう、シティみんなの問題だよ。大丈夫! お姉さんに任せてちょうだい。上手く情報を回しておくから。ついでに、特ダネをゲットかしら!」

 アウスなみに大きな胸を、ポンと叩いた。分厚いレンズの奥からは、頼もしそうな双眸が輝いている。よくよく見ると、とても美人さんだ。衣装のセンスで、台無しになっちゃっているけど。





【エピソードSP2-ダルクとアウス・その1】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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