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CROSS-H Ⅰ2社侵略

遊・戯・王5D's 4 (ジャンプコミックス)遊・戯・王5D's 4 (ジャンプコミックス)
(2012/06/04)
佐藤 雅史

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 ライナは穏やかになっています。ヴァイロン、ちょっとだけ始動!

 とある平行世界にて。

 高層ビルディングの上階ホール。壁一面を占めている窓ガラスを背にしながら、少女が微笑んでいた。修道服をまとい、ヴェールを被っている。シスターのごとき装いだ。ダルク・ウェイトリィを知る者がいれば、双子の姉妹かと見紛うだろう。体格から顔立ちまでが、瓜二つである。違いはといえば、純白の髪色に、薄桃色の両瞳ぐらいであろうか。酷似しているのも無理はない。ライナはダルクの母親であり、容姿のベースとなったホムンクルスである。ダルクの本名がヴルトゥーム・ウェイトリィであるかのように、彼女にはラヴィニア・ウェイトリィという真名を有している。

 外見こそは12歳ぐらいであるが、その実は42年を生きている。オバサンと呼ぶと叱られるので、誰もが口にしない。錬金術師ノア・ウェイトリィが造りだしたホムンクルスは、不老の特性を秘めている。内に秘めた年輪は、白皮膚から染みだしており、熟した色香を漂わせている。彼女が嫣然なる笑みを向けている先には、髪長い青年が対峙していた。

 天馬夜行。ペガサス・J・クロフォードの意志を継ぎ、仲間たちと協力しながらも、インダストリアル・イリュージョン社を運営している。兄である天馬 月行へのコンプレックスからR・A計画を敢行したが、遊戯たちの活躍により阻まれたようだ。闇を乗りこえ、ラフ・ダイヤモンドは磨かれつづけている。苦労のすえに得られた日常も、突然にして侵略されてしまった。I2社ビルの存在するニューヨークそのものが、闇霧により覆いつくされたのだ。街の人々は眠りへと堕とされ、残った決闘者もライナにより倒されていった。夜行が視線をずらすと、双子の兄である月光が伏していた。彼もライナに、闇のデュエルで敗北したようだ。すぅすぅ寝息を立てている。

 対立する2人を眺めているのは、ジョゼフ・カーウィンにウルタール。デュエル・モンスターズに関しては熱心でないが、ライナを観察しているうちに、ルールやカード効果を吸収していった。彼女の上達ぶりには、感嘆するばかりである。路上決闘者を相手にしながら、デュエルを覚えた。数日が経過したところで、彼女の成長速度は飛躍したようだ。I2社に集まっていた元カード・プロフェッサー13人を、あっけなく破った。パーフェクト・デュエリストと謳われた天馬月光すらも、勝利できなかった。余裕を称えているライナに対して、夜行は鋭眼を刺していく。

「貴様らが何者かは知らないが、負けるわけにはいかない。魔法カード《デビルズ・サンクチュアリ》を発動する。《メタルデビル・トークン:攻撃力0・Lv1》を特殊召喚。魔法カード《レベル・アワード》を発動し、《メタルデビル・トークン》をレベル8に変更する」

「魔法カード《スターレベル・シャッフル》を発動。《メタルデビル・トークン》をリリースし、墓地から同レベルの《神獣王バルバロス:攻撃力3000・Lv8》を特殊召喚!」

 《おろかな埋葬》により墓地送りにされたモンスターだ。頭部が天井にまで達しそうな獅子戦士。右手にはスピア、左手にはシールドを握っている。鋼のたてがみを広げながら、威嚇するかのように咆哮した。暗黒に染められた大窓を背景にしているライナは、笑顔を揺るがせない。

「《神王機ウル:攻撃力1600・Lv4》を攻撃表示で召喚。このカードは、全モンスターに攻撃ができる。裏守備モンスターにアタック!」

 ライナのフィールドには、そのセット・モンスターしか存在しない。赤機体が空中浮遊しながら、猛突進。殴りつけたモンスターは《シャインエンジェル:守備力800・Lv4》。白翼の青年天使は、戦闘破壊されたことにより《ヴァイロン・プリズム:攻撃力1500・Lv4・チューナー》を呼びだす。そのモンスターも、あっけなく粉砕された。《神王機ウル》は相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えられないのが、まだ幸いであろうか。ライフポイントは減らない。

「フィールドは空いた。《神獣王バルバロス》でダイレクト・アタック!」

 獣状の下半身が駆けあがる。高々と掲げたスピアを、中年少女の胸へと突いていく。あんっ! ライナが、愛らしく呻いた。握りしめた両手で、胸を庇う。残りライフは、1000ポイントにまで激減していった。気を緩めないままに、夜行がエンド宣言を終了する。



【3ターン目:ライナ】LP1000、ドローフェイズ後の手札6枚

(フィールド)
ライナ:無し。

夜行:《神獣王バルバロス:攻撃力3000・Lv8》&《神王機ウル:攻撃力1600・Lv4》が攻撃表示。


 軽く溜息をついて、ライナが幼顔を上げた。その両眼はギラギラと輝いている。

「面白いレベル・トリック・タクティクスだネ。攻撃力3000のモンスターを呼びだすなんテ。私も負けていられないワ。私のターン、ドロー。《ヴァイロン・ソルジャー:攻撃力1700・Lv4》を召喚。装備魔法《ヴァイロン・マテリアル》と《ヴァイロン・コンポーネント》を装着!」

 天井が輝いて、黄金円が開いた。そこから、光輝なる機械天使が降りてくる。上半身のみのデザインで、宙に浮いているようだ。《ヴァイロン・マテリアル》により、600ポイントもの攻撃力上昇。《ヴァイロン・コンポーネント》により、貫通効果を追加された。

「《ヴァイロン・ソルジャー》の攻撃宣言時、装備カード数まで相手モンスターを選択して、表示形式を変更できるんダ。2体とも、守備表示になってもらうヨ! 《神獣王バルバロス》を攻撃!」

 《ヴァイロン・ソルジャー》の黄金腕から、波動が放たれる。《神獣王バルバロス:守備力1200》は、苦しそうに身を屈めていく。そこに聖光線が撃ちこまれ、《神獣王バルバロス》は焼きつくされた。攻撃力2300ポイントのでの貫通攻撃。夜行のライフは2900ポイントにまで削られた。

「魔法カード《シールドクラッシュ》を発動し、守備表示になっている《神王機ウル》を破壊するヨ。カード1枚をセットして、ターンエンド」

 大いなる圧力が、機体を木端微塵に吹きとばす。これで、夜行に従うモンスターは絶滅した。歯軋りする夜行に、ライナが上目遣いの視線を送りこむ。ぺろり。舌が唇上を、いやらしく這いまわる。観戦しながら、ジョゼフ・カーウィンが呟いた。

「なかなかの激戦のようだな。で、どっちが勝っているんだ?」



【4ターン目:夜行】LP2900、ドローフェイズ後の手札2枚

(フィールド)
ライナ:装備魔法《ヴァイロン・マテリアル》&装備魔法《ヴァイロン・コンポーネント》を装備した《ヴァイロン・ソルジャー:攻撃力1700→2300・Lv4》が攻撃表示。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。

夜行:無し。


「私のターン、ドロー。墓地から《神獣王バルバロス》と《神王機ウル》を除外して、手札から《獣神機王バルバロスUr:攻撃力3800・Lv8》を特殊召喚。装備魔法《愚鈍の斧》を、このカードに装備する。ダメージを与えられないデメリットは無効となり、攻撃力は1000ポイントアップする!」

「これが神に最も近いモンスターだ! 《ヴァイロン・ソルジャー》に攻撃する」


『閃光烈破弾!』


 《神王機ウル》と融合を果たした《神獣王バルバロス》。両腕に装着したガン・ウェポンを、《ヴァイロン・ソルジャー》へと突きつけた。ウェポンの先端が開放されて、連なる銃口が露わとなった。火を噴き、轟音をホール全体に響かせていく。攻撃力4800。このままでは、ライナの敗北は決定するだろう。銃弾の雨は、《ヴァイロン・ソルジャー》を撃ちぬけなかった。光子の集合体と化した機械天使は、ことごとく弾きかえしたのだ。

「罠カード《光子化》を発動したヨ。光属性モンスターへの攻撃を無効とし、アタック・モンスターのパワーを吸収するノ。《ヴァイロン・ソルジャー》は攻撃力7100ポイントになっちゃったネ」

 神すらも超えたパワー。眩光を放ちつづける《ヴァイロン・ソルジャー》に、夜行はじりじりと後退していく。恐れを抱いているのは明らかだ。ライナの口が、ニヤリと緩んだ。

「動きが止まったようだけど、あなたのターンは終わりなノ?」



 天馬夜行は敗北した。《ヴァイロン・ヴァンガード:攻撃力1400・Lv4》を召喚された時点で、勝負は決まったものだ。《ヴァイロン・ソルジャー》の放った聖光により、《獣神機王バルバロスUr》は灰燼へと化した。《ヴァイロン・ヴァンガード》のダイレクト・アタックにより、夜行のライフは消滅した。これは、闇のデュエル。敗者から精神力が、ごっそりと抜けおちていく。

 膝を着きながら、夜行は呆然としていた。端正な顔からは生気が失われていた。敗北の代償により、精神が激しく衰弱しているようだ。ぼそりと、慕っている者の名を呟く。

「ペガサス様……」

 ウルタールがジョゼフの肩から降り、四速歩行で近づいていった。暗黒に包まれたナイアーラトテップの首領。大きな尻尾をぐるりと回して、円らな紅瞳でターゲットを見据える。

「ペガサス様? それが君の祈りなのかい?」

 口元がかすかにも動かない無表情。子供のような声で、たんたんと語りかけてくる。背に描かれた赤輪を眺めながら、ジョゼフは不気味なものを感じていた。どこかの異世界からやってきた怪生物。感情を有しておらず、プログラムされているかのように行動していく。つぅーっと冷汗が流れおちる。催眠術にかけられたように、夜行が力なく答えていく。

「ペガサス様に……逢いたい」

「なるほど。それが君の願いなんだね。叶えたい希があるのなら、ボクが力になってあげるよ。ただし、ボクたちの言うとおりに行動してくれたらね」

 ウルタールの両耳から触手が伸びた。広がった先端は黄金リングに囲われており、腕のようにも感じられる。それらが、夜行の胸へと吸いこまれていく。強烈な輝きが、ホールの隅々まで蝕んでいく。夜行は、ナイアーラトテップの使徒へと招かれるのであろう。それこそが、ウルタールの狙いである。ライナがつまらなさそうに、この一件を見下していた。



 同時刻。とある亜空間世界にて。

 ファラオが拠点としている神殿の広間。暗黒に覆われた石部屋を、松明が橙色に照らしている。顔無きスフィンクスが、獣腕を勢いよく石畳に打ちつけた。部屋全体が揺れて、床のあちらこちらから魔法陣が湧きだしていく。そこから、次々と男女が立ちあがった。異世界または、異時代から召喚された者たちである。顔無きスフィンクスによる洗脳を受けており、その駒としての働きを強制される。全員の右手甲には、スフィンクスを表したサインが刻まれていた。

「汝ラヨ。WDGPニ参加シ、邪魔ナ【シグナー】ドモヲ倒スガイイ」

 暗黒の底から響きわたるような重低音。呼びだされた者たちは、膝を着いて、従う意思を示す。その様子を柱陰から覗いていたマリク・イシュタールは、どうでもよさそうに吐きすてた。千年ロッドを握りしめながら、その場から去っていった。





【エピソードSP2-ダルクとアウス・その4】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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