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CROSS-56 アウスの観戦記録なの

遊戯王5D's SOUND DUEL 03遊戯王5D's SOUND DUEL 03
(2011/02/16)
TVサントラ

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 補足的なエピソードかな。

 階段状の観客席に座りながら、決勝戦をチェックしていた。ただ観戦するだけではない。ダルクくんの相手となるデュエリストについて、情報を集めているのだ。シティの全人口が集中しているのかと勘違いするほどに、スタジアムは人であふれかえっている。晴れやかな青空で、ドームの天井は開けられている。吹きこんでくる微風が心地いい。隣りにはルカが腰掛けていて、さらに向こう側には氷室&矢薙が並んでいる。氷室は腕を組みながら、慣れた様子で解説してくれている。参考になりそうなので録音することにした。

 選手紹介で照れたダルクくんが、アキさんの後に隠れてしまった。その様子が大画面に、くっきりと映しだされた。私は双眼鏡で眺めていたけど、溜息をついてしまう。十六夜アキがダルクくんを、なでなでしていたのだ。前席に座っていた黒服男性3人が、ケラケラと笑っていた。いわゆるガラの悪そうなチンピラどもである。

「可愛い嬢ちゃんだなぁ。あれで決勝戦まで上ってきたってのが信じられねぇよ」

 アゴヒゲがベジタブル・ジュースをあおった。ダルクVSルアの決闘が始まると、3人は息を飲みこんだ。《ハネクリボー》と《ライフ・ストリーム・ドラゴン》が衝突する激闘。わずかな差で、ダルクくんが勝利した。デュエルが終ると、私は下階まで降りていった。嬉しそうに跳びついてきたので、ダルクくんを抱きしめた。十六夜アキの触れた部分を払うように、なでなでしていく。

「おめでとう。観ている方もドキドキしたの。これで準決勝まで進めるね」

「ありがとう。アウスが応援してくれたから、勇気が湧いてきたんだよ」

 しばらくの間、ベンチに並んで話していた。おめでとう! 優勝しろよ! 周囲からも声がかかってくる。カーリー渚が取材に来たけど、邪魔なので追っぱらっておいた。

「ボクは選手専用席で観戦するよ。近くで観たいからね」

 ダルクくんとは、しばらく離れることになった。たしかに、間近で観察するのが勉強にもなるだろう。寂しい時間が続きそうで残念なのだ。何となくべジタブル・ジュースが飲みたくなって、自動販売機で買っておいた。通路にてマリク・イシュタールを発見。D・ホィールのポスターを感心深げに眺めこんでいる。自分席に戻ると、黒服3人がガヤガヤと騒いでいた。

「ルアってチーム5D’Sのメンバーなんだよなぁ。チビスケであの実力なら、俺らでは敵うわけがない。ダルクは《クリボー》だけで、よく勝てたよな。これが日の当たるデュエリストってものか」

「次はチーム・ユニコーンのアンドレだぜ。WRGPでは迷惑をかけたよ。《ヒドゥン・ナイト-フック》を使わなければ、あいつらが優勝してもしれないのに。馬鹿なことをやってしまった」

「殴られる覚悟だったけど、よく許してくれたな。ユニコーンは度量が広いんだよ」

 ダルクくんが日に当たりだしたのは最近のことだ。ヨグ・ソトースの仔である副作用により、ずっと人前に出られなかった。人と触れあうようになってから、ダルクくんは少しずつ変化している。具体的にどこがと訊かれても困るわけだが。次の対戦は、鬼柳京介VSアンドレ。ダルクくんは鬼柳を倒したものの、相手はさらなる急成長を遂げているという。2人の紹介映像が流れていく。

「おいおい。俺の敗北シーンを、大々画面で公開しないでくれよぉ」

 黒服3人が、どっと吹きだした。ポップコーンがこぼれている。なるほど、3人はチーム・カタストロフのメンバーであるのか。アゴヒゲがニコラスであるらしい。予選ライディング・デュエルでの敗北シーン。3人が申しわけなさそうに、アンドレたちに謝りかけている。

「どこかで見たかもと思えば、カタストロフのオジさんたちかぁ。反省しているみたいだね。できれば、クロウやアキさんにも謝ってほしいけど」

 クリクリー。飛んできたハネクリボーを、ルカがひざに乗せた。クリボンの精霊が、ハネクリボーにくっつきだした。精霊同士で気が合うようだ。毒気の含まれているルカの言葉に、3人がびくりと震えだす。そのタイミングでルアが戻ってきた。周囲の人たちが、次々と言葉を投げかけていく。

「ルア。試合結果は残念だったけど、ここまで上がれるとは立派だ。その調子で頑張れば、いずれはジャック・アトラスさえも倒せるようになるぞ」

「そうじゃ。そうじゃ。今でも氷室ちゃんを超えていると思うぞ」

「矢薙の爺さん。そんなことを言わんでくれよ。でも、反論できないよなぁ」

 力なく頷いて、ルアが座りこんだ。ルカが優しく寄りそう。鬼柳VSアンドレの決闘疾走。ルアはちらちらと、ダルクくんへ視線を送っているようだ。ライフ0ポイントになっても、鬼柳は復活して攻めこんでいる。鬼気満点の迫力に、観客席は波を打ったように静まっている。鬼柳が勝つだろうと予想していたが、見事に外れてしまった。アンドレはチームメイトと抱きあって嬉しそう。

「オレ、ずっと考えていた。どうやったら、ダルク姉ちゃんに勝てるようになるのか。鬼柳やアンドレを倒せるようになるのか。帰ったら、さっそく頑張るよ。デュエル・アカデミアの勉強もしっかりやって、ルールやカード効果を基礎から覚えまくる。もっと相手を観察して、戦略を練っていくよ。ダルク姉ちゃんと、また真剣勝負がしたい」

 力強さが双眸で燃えていた。ほのかに紅潮した表情。しっかりと握られた拳。ルカが少し寂しそうに、嬉しそうに笑んでいた。少年は成長して男になっていく。ミスカトニック大学で教授さんが言っていたのを思いだす。ダルクくんは、どうなのだろう?

「まったく。俺らが日陰に沈んでいた理由が、よーく分かったよ。ガキが頑張っているのに、大人が何もしないで他力本願じゃ情けない。ましてや人を傷つけてまでな。死ぬ価値もないと言われても、仕方がないもんだ。なぁ、ヘルマンにハンス!」

 3人が瓶入りのベジタブル・ジュースを一気飲みして、ぷはぁーっと息を吐きだした。楽しそうに笑いあっている。ずいぶんと和やかな雰囲気だ。ルアの視線を追っていくと、戻ってきたダルクくんがアンドレと仲良くしていた。頭をなでなで。微妙にイライラしてくる。

「ルアも男の子なんだね。ところで、セーラさんは出場予定なかったのですか?」

「私は超初心者なんだ。《ジェムナイト》を集めているけど、なかなか集まらないの。デッキも未完成」

「レアなカードばかりだから仕方ないね。シリーズ色が強いから、中途半端に所持しても使えないし。私は何枚か持っているけど、よかったらトレードしませんか?」

「余っているカードといえば、《ちっちゃな妖精 シュガー》や《クリボンの輝き-ラブリー・バリア》があるけど。《わがまま妖精 ミルモ》もあったか。それでもOKだったら」

「《クリボンの輝き-ラブリー・バリア》って、ビンゴじゃない!」

 冷静な子供だと思っていたら、両目をランランと輝かせている。取引は速攻で成立したようだ。そうこうしているうちに、プレイヤー・キラーとマリク・イシュタールの試合が始まった。ポスターを眺めていたときは、大人しい表情をしていたのに。まるで悪鬼のようだ。プレイヤー・キラーが時空渦に消えていき、《D・ナポレオン》がダークネスへと変化した。周囲がざわめきはじめる。

「どうなっているんだ? これって、いいのか? 普通にデュエルしているけど」

「大会側の演出じゃないのかな? 氷室ちゃん」

 充満しているダークネスに、ルカが怖がりだした。ルアが手を握って、妹さんを守っている。アルマが死んでいなければ、ダルクくんがルアみたいになっていただろう。彼女の性格から考えるに。マリクは勝利し、ダークネスから闇を吸収しだした。その残骸をアルマが助けだしたようだ。穏やかな雰囲気が、暗雲に包みこまれていく。

「三眼の魔女だ! あんなのが大会に出場しているのかよ!?」

 十六夜アキとウィン・カーウィンが戦う。私たちと同世界から来た存在。ジョゼフ・カーウィンの娘。ライフレス・コンボには驚かない。鬼柳がすでにやっているから。彼女はよりにもよって、旧支配者を降臨させた。たとえデュエル・モンスターズとなっていても、ふりまく恐怖は絶大なるものだ。ヨグ・ソトースの仔であるダルクくんも、そうだった。ハネクリボーが聖光を降らせ、スタジアムの人々を守っていた。それでも瘴気濃く、倒れる子供が後を絶たない。救護班も駆けまわっていた。触手を振りまわす肉隗に、不快なるフルートの演奏。私ですら気分が悪くなってしまう。

「なぁ。明日は大丈夫かい? この調子だと観客が来なくなるんじゃねぇか?」

「さすがにソリッド・ヴィジョンでも、この演出は無理じゃろう」

 氷室と矢薙が心配していた。十六夜アキは勝利したものの、その場で倒れこんだ。アルマが彼女を抱擁し、不思議なパワーで回復させているようだ。暗い娘だったのに、ずいぶんと変わってきている。ジョゼフ・カーウィンがフィールドに上がり、ウィンを抱えていった。ダルクくんは5歳までジョゼフに育てられた。2人は何を話したのだろう? ここからでは聞こえるはずもない。



「よかったら、私たちの家に泊まりにきませんか? ホテル代も浮きますよ」

「それは嬉しいけど、いいのかなぁ」

「ダルクさんはルアを助けてくれました。お礼もしたいですし、歓迎しますよ」

 ルカの招待に、ダルクくんはOKサインを飛ばした。ルアが指先を弾ませている。クリクリー! クリボンがハネクリボーにくっついた。仲良しなことで。スタジアムにいた人たちが帰ろうとしているために、歩道を流れていく人群れが凄いことになっている。こちらに振ってくる声援にスマイル返しながら、ダルクくんがベジタブル・ジュースを美味しそうに飲んでいる。勧めるようにペットボトルを差しだすも、慌てながらルアが手をふりふり。警備員が声をかけながら近づいてきた。

「ここにいたか。十六夜から連絡が来てな。すぐにも元気に戻ったようだ。何でも、アルマのおかげと言っていた。明日の準決勝にも出場できる。それと、シェリーたちも目覚めたらしい。やばい大会になるかと警戒したけど、いいことが続くもんだな。あいつらも話が分かるようになっていたし」

「よかったぁ。アキ姉ちゃんが倒れたから心配したよ。ありがとう、クロウ」

 しばらく雑談を続けると、クロウは忙しげに仕事場へと戻っていった。ジュースを飲みきり、ダルクくんがペットボトルを鞄にしまいこんだ。洗って水筒代わりにするのだろう。通行人で密集していたが、やってきたカーリー渚の取材を受けているうちにマシになっていく。

「夕方まで時間があるね。どうしようかな?」

「デュエルをしようよ。デュエルしたそうな決闘者も、たくさんいると思う。広場でプレイしている人もいっぱいだし、ガンガンやれるチャンスだよっ!」

「それいいね。また、ダルク姉ちゃんとタッグを組みたい」

 そんな2人を、ルカが呆れたように眺めている。ここで負けると準決勝進出者として面目立たないけど、そんなことは気にしない。ファラオに勝つという目的は忘れていない。強くなるためにも必死で、なおデュエルを楽しんでいる。映像データの編集もついたし、後で参考にしてもらおう。

「そのデュエル。俺たちが相手になるぜ。準決勝進出者を倒して、日向へと昇っていく」

 チーム・カタストロフのメンバーだ。ぎらぎらした眼差しで、デュエル・ディスクを用意している。わくわくとした笑顔を浮かべながら、ダルクくんが返事をした。

「うん! よろしくお願いします」



『デュエル!』





【エピソード4-WDGP決勝戦編・その14】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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