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CROSS-60 地獄詩人 へルポエマー

遊☆戯☆王5D’s DVDシリーズ DUELBOX【2】遊☆戯☆王5D’s DVDシリーズ DUELBOX【2】
(2008/12/17)
宮下雄也、星野貴紀 他

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 準決勝も後半戦に入りました。

 ダルク・ウェイトリィの決勝進出が決まった。伝説とも謳われている《ハネクリボーLv10》での逆転劇。アンドレの築いた包囲網は打破られた。小柄な少女と《ハネクリボー》たちのコンビは絵になるもの。スタジアム全体が熱狂している。デュエルの要所が、球状画面で再生されている。

 準決勝も後半へと入る。対戦相手はマリク・イシュタール。ダークネスを倒しただけでなく、そのエナジーをも奪いとっている。狂気が露わとなった表情を思いだすだけで、身震いが這いあがってくる。シェリーは目覚めたようだけど、激しいトラウマが残っているようだ。気丈に振舞っていたものの、苦しみが生々しく伝わってきた。回復するのに時間がかかるだろう。ミゾグチさんが辛そうに吐露していた。闇のデュエルへの恐怖が、肌一面を刺してくる。ウィンやマリクは恐ろしい決闘者であるが、私自身もたくさんの人を傷つけてきたんだ。

「アキ。緊張しているのか?」

 背後から声をかけてきたのは、遊星だった。ゾーンたちとの約束を守るためにも、ずっとフォーチュンの研究に没頭している。できるだけ急がないと、未来は破滅に陥ってしまうから。モーメント制御システムは完成に近づいているようで、観戦しにくる時間もとれたようだ。

「相手が相手だからね。《ラーの翼神竜》を操り、ダークネスをも吸収したデュエリスト。向かいあうと考えただけで、震えが止まらなくなる。でも、逃げないわ」

 遊星が見守ってくれるから、勇気が湧いてきた。マリクに敗北してしまう怖気も、どこかへ吹きとんでいく。口数少ない男性だけど、想いはしっかりと伝わってくる。拳を突きあわせた。流れこんできた体温が、ことごとく不安をさらってくれる。遊星が、ふっと笑った。

「応援するよ。準決勝で勝てば、ダルク・ウェイトリィとの決戦だな。さっき、顔を合わせたところだ。慌てて逃げだしたようだが」

 彼女は遊星に恋をしている。そう感じていたけど、どことなく違和感が引っかかる。どちらかといえば、ジャックを見上げるルアのような気もしてくる。成長したダルク・ウェイトリィとの再戦が楽しみだ。そのためにも、マリクを倒さなきゃいけないね。

「そろそろ、試合が始まる頃合かしら。勝利してくるわ」

 気持ちよく見送ってくれたけど、かすかな溜息が聞こえてきた。覚束ない足取りで踏みだそうとするも、遊星は堪えてくれたようだ。向かう先には、闇が渦巻いている。敗北せずとも、闇のデュエルにより傷ついていくだろう。ウィンとの対戦を経たせいもあり、生々しく想像できてしまう。MCの呼びかけが流れてきた。高まっていく歓声を受けながら、試合場へと歩いていった。



「十六夜アキといったな。この世で最も恐ろしい闇のゲームを、貴様は体感することになる。ウィン・カーウィンが行なった程度のモノではないぞ。喜ぶがいい。苦痛と恐怖に泣きわめき、意識を失うことすらも許されない。極上のデュエルを、貴様は味わえるのだ」

 ロッドを突きつけてきた。陽炎のように、顔の輪郭が揺らいでいる。彼本来の闇に加えて、ダークネスが混ざっている。血走った双眸から睨まれるだけで、吐気がこみあげてきそうだ。

「ウィン・カーウィンは、いかれた女だった。愛も歪んでしまえば、憎悪よりも恐ろしいと実感させられたよ。あの女を苦しませてやりたかったが、敗者となっては仕方がない。貴様を闇の生贄に堕としてやる。今から始まるのは拷問だ。自らの苦痛を堪能するがいい」

 マリクから瘴気が噴きだしている。観客席も不安に包まれているようだ。選手専用席にいるダルクが、不安げな眼差しを向けてきた。いや、アルマ・ウェイトリィだろうか? 私の視線を、マリクが追っていく。彼女が抱えているD・ナポレオンを一瞥して笑いだす。

「ダークネスも無残なことだ。闇の根源も、ああなっては終わりだよ」

「よく喋るわね。いいわ。闇のデュエルを受ける。そして、あなたを倒す!」

 ぷっ。口元に手を当てて、マリクが吹きだしている。昼間なのに、闇霧に包みこまれて薄暗い。ダークシグナーとも違った闇臭が淀んでいる。焼けたペンチで精神を挟まれているようだ。プレッシャーを払い、対戦相手を睨みつけた。MCが開始宣言を放つ。



『デュエル!』



【1ターン目:アキ】LP4000、ドローフェイズ後の手札6枚

「私の先攻、ドロー。モンスター1体を裏側守備表示でセット。カード1枚をセットして、ターンエンド」

 伏せたのは《バイオレット・ウィッチ:守備力1200・Lv4》。戦闘破壊されても、守備力1500ポイント以下の植物族モンスターをサーチしてくれる。裏側守備表示とはいえ、私はカードと結ばれているようだ。モンスターへのダメージは、紐を通じてプレイヤーへと伝わっていく。今のうちに覚悟を固めよう。《棘の壁》は牽制役になってくれるだろうか。



【2ターン目:闇マリク】LP4000、ドローフェイズ後の手札6枚

(フィールド)
アキ:モンスター1体を裏側守備表示でセットしている。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。


「俺のターン、ドロー。魔法カード《手札抹殺》を発動。お互いのプレイヤーは手札全てを捨て、その枚数分だけドローする」

「ふははっ。いいカードを引いたぞ。墓地から《ヘルウェイ・パトロール》を除外することにより、手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスター、《バイサー・ショック:攻撃力800・Lv5》を特殊召喚する。このカードの特殊召喚により、セットカード全てを手札に戻す」

 拷問機械が向かってきた。私の両手足を拘束する。パチパチと紫電が弾ける。強烈な電撃が流れこんできた。一瞬だけ、意識が飛んだのだろうか。全身が焼けるようだ。気がついてみれば、拘束から解放されている。それでも、手先が震えたままだ。がたがたと。激痛が残っていて、涙が流れてきた。私のフィールドからは、ことごとくセットカードが消えている。

「《バイサー・ショック》をリリースして、《地獄詩人 へルポエマー:攻撃力2000・Lv5》をアドバンス召喚。モンスターもトラップも、貴様を守るものはフィールドに存在しない。闇に抱かれろ! 《地獄詩人 へルポエマー》でダイレクト・アタック!」



 禍々しい唄声が聞こえてくる。パパとママが、私を見下ろしている。とても微笑ましい表情だ。意識がぼんやりとして、足が着いている実感も湧いてこない。大窓からは、ぽかぽか日光が射しこんでいる。温かいリビングルームで、私は喜んでいた。忘れていた。5歳の誕生日なんだ。パパがデュエルを教えてくれるんだ。ぴょんぴょん跳びつくと、ぎゅーっと抱きしめてくれた。パパは大きくて優しくて、とっても大好きだ。デュエルを始めちゃおう。

 どうしてだろう? モンスターで攻撃宣言をしたら、パパが壁に叩きつけられた。窓も割れてしまい、家具も壊れてしまっている。ママが悲鳴をあげた。パパが心配で近寄ると、怖がるように退きだした。どうして、私から逃げようとするの? 怖いよぅ。私からモヤモヤがあふれだして、家が滅茶苦茶になっていく。どうなっているの? 助けてよ! パパが苦しそうにしている。

「来ないでくれ。まるで、化物のようだ」

 駆寄ろうとしていた足が止まった。ぽろぽろと涙が零れて、部屋中に響かせるように泣いていた。パパが大好きな気持ちに、ひびが入っていく。力が暴走して、さらに部屋が荒れていく。

「こんな化物は、大人にならないうちに殺した方がいいよなぁ」

 オジサンは誰なの? 別人のように怖い顔をしている。歯茎まで剥きだしにして、両目は悪魔のようだ。怖がっていたと思えば、立ちあがり、のしのしと歩みだしてきた。両手を突きだして、首を絞めてきた。そのまま、体を持ちあげられていく。とても息苦しくて、このまま消えていきそうになる。お願いだから止めてほしいよ、パパ。右腕が熱い。目覚めそうになるほど熱い。



 目鼻のない怪人が、間近に迫っていた。十字架に磔にされたようなデザイン。気味悪い唄を奏でている。胸部にも顔が複数あるようだ。そこからも、唄が吐きだされている。ぬめっとした《地獄詩人 へルポエマー》の両手が、私の首を挟みこんで持ちあげている。大きな口が哂っている。ぷつぷつと汚臭激しい唾液を跳ばしてくる。解放され、地面に叩きつけられた。

「ダイレクト・アタックは成功した。これで、貴様のライフは2000ポイントになった。いい悲鳴だったぞ。トラウマという悪夢を味わえたことを感謝しろよ。これがダークネスの力か。貴様が敗北すれば、終らない苦しみを与えてやろう。俺はダークネスのように優しくはない。闇と一体とさせない。永遠に苦痛を与えつづけてやる。カード1枚をセットして、ターンエンド」

 激しく咳きこんでしまう。涙を拭った。マリクと並んでいる《地獄詩人 へルポエマー》が歌いつづけている。心に恐怖そのものを刻まれたようだ。視線をぶつけるだけで、鳥肌が広がっていく。これでは駄目だ。気を引締めて、相手の墓地カードを確認していく。《ラーの翼神兵》というカードがある。カード効果を確認しようとしたが、モザイクがにじんで不可能となった。



【3ターン目:アキ】LP2000、ドローフェイズ後の手札7枚

(フィールド)
アキ:無し。

闇マリク:《地獄詩人 へルポエマー:攻撃力2000・Lv5》が攻撃表示。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。


「私のターン、ドロー。《コピー・プラント:攻撃力0・Lv1・チューナー》を召喚。植物族チューナーの召喚により、《ダーク・ヴァージャー:攻撃力0・Lv2》を墓地から攻撃表示で特殊召喚するわ。《手札抹殺》の効果は、私にとっても有利に働いたようね」

「魔法カード《ワン・レベルアップ》を発動し、《ダーク・ヴァージャー》のレベルを1つ上げる。《コピー・プラント》のモンスター効果により、自身のレベルを《ダーク・ヴァージャー》と同値にする」

「レベル3《ダーク・ヴァージャー》に、レベル3《コピー・プラント》をチューニング!」

「聖なる森に潜みし、華麗なる棘の狩人よ。戒めの鞭を持ちて、今こそ姿を現せ! シンクロ召喚! 現れろ、《スプレンディッド・ローズ:攻撃力2200・Lv6》!」

「《スプレンディッド・ローズ》のモンスター効果を発動。墓地から植物族モンスター《ローズ・ウィッチ》を除外して、《地獄詩人 へルポエマー》のパワーを半分にする。さらに植物族モンスター《ツクシー》を墓地から除外することで、このカードの攻撃力を半分にして追加攻撃ができる。《スプレンディッド・ローズ》でダブルアタック!」

 《地獄詩人 へルポエマー》の攻撃力は、1000ポイントにまで落ちている。《スプレンディッド・ローズ》は飛翔して、グロテスクな怪人にキックを叩きこんだ。悲鳴を奏でながら、《地獄詩人 へルポエマー》が消滅していく。すかさず、マリクへの跳蹴がクリティカルヒット。1100ポイントもの戦闘ダメージが通る。ぶっとばされたマリクのライフは1700ポイントだ。モンスターの受けたダメージは、マリクにも伝わっていく。苦しそうに胸押さえていたけど、くつくつと歓喜しだした。

「気持ちいいよ。思いどおりに決闘が進むのは。《地獄詩人 へルポエマー》が倒されるのも、俺の狙い。特殊能力を発動させるためにね。このモンスターが死を迎えたとき、墓地でモンスター効果を発動するのさ。相手バトルフェイズ終了時に、相手は手札からカード1枚をランダムに捨てる」

 不気味なメロディーが這いあがってくる。セメタリーゾーンから伸びあがった腕が、手札の《バイオレット・ウィッチ》を墓地へと引きずりこむ。これぐらいは想定内だ。

「呪いの唄は、すぐにでも終らせてあげるわ。手札から《供養花》を墓地に送り、相手墓地から《地獄詩人 へルポエマー》を除外する」

 絶叫が輪唱しながら、地底から響いてくる。マリクの顔が曇った。ダルク・ウェイトリィを敗北に導いたカードだ。《地獄詩人 へルポエマー》は墓地からも完全消滅した。憎悪をみなぎらせた表情を、マリクが刺してきた。もう恐れはしない。

「女ぁ。なぶり殺しでは、すまないぞ」

「カード1枚をセットして、ターンエンド。《ワン・レベルアップ》により1枚ドロー」





【エピソード4-WDGP決勝戦編・その18】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

No title

ヘルポエマーは強力だけど使いづらいよね。除外されなければ攻撃牽制としては強いけど。
ワン・レベルアップは使い勝手がいいね。スターチェンジャーとかだと手札消費がキツイ。こういうカードがあると聖刻でもランク9が出しやすくなるんだが。ハートアースドラゴンを速攻で実質3枚消費で出せると効果的。
あいかわらず闇のデユエルは乗りがいい。マリクの再現度だけやたら高いぞ。
最近環境では増殖するGというカードが流行っている。どういうイラストかは知っていると思うが個人的にいくら効果が強力で必須と言われていでも生理的にデッキに入れたくない。
かと言ってまともなメタカードは大暴落くらいしかなく、専用メタとして入れるにはこれも抵抗がある。
この不衛生な環境をどうしたものか?
進撃の帝王をどう思う? アドバンス召喚の復権になるか否か? 帝はエクシーズ型のほうが強力だから、永続効果を持つアヌビス、虚無馬人、古代の機械巨人、アバターくらいが狙い目だと思うが……

No title

 majesticさん、感想ありがとうございます。闇マリクをはじめ、DMキャラはテンションが上がりますね。

 《地獄詩人 へルポエマー》は効果除去狙われそうで、なかなか難しそう。《ワンレベルアップ》は調整カードでしたが、使いやすいので何度も使っています。時間差がありますが、ドロー効果で回収も可能という。

 《増殖するG》は便利なカードですね。特殊召喚しないプレイヤーは少数派ですので。まぁ、はっきりと描かれていないだけマシかな。《ゴキポン》はデフォルメされているものの、露骨ですね。

 《進撃の帝王》ですか。帝デッキは守りよりもガンガンいきたいです。リリース素材や帝にカードをさくかと。《古代の機械巨人》には貫通も効きますし、協力ですね。
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