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CROSS-61 神の使徒! ラーの翼神兵

遊戯王 デュエルモンスターズ Vol.23 [DVD]遊戯王 デュエルモンスターズ Vol.23 [DVD]
(2002/07/17)
風間俊介、津田健次郎 他

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 遊星は激怒するだろうなぁ。

 闇霧の渦巻くフィールドで、私はマリク・イシュタールと戦っている。狂気を体現したかのような表情を向けてくる。顔の輪郭がぶれて、いくつもの目が揺れているような錯覚に陥ってしまう。激痛と恐怖がわだかまって、今にも倒れてしまいそうだ。マリクのターンが始まった。

「俺のターン、ドロー。モンスター1体を裏側守備表示でセット。魔法カード《悪夢の鉄檻》を発動。2ターンだけ、お互いのモンスターは攻撃できなくなる」

 フィールドを閉鎖するかのように、鉄檻が降りてきた。息苦しさが増してくる。

「魔法カード《ソウルテイカー》を発動。表側表示で存在する《スプレンディッド・ローズ》を破壊する。喜ぶがいい。貴様のライフは1000ポイントも回復するぞ。俺からの慈悲だ。貴様と《スプレンディッド・ローズ》は感覚を共有している。魂を奪われる体験ができるんだよ」

 ぎらついた双眸が、じっと私を射抜いている。《スプレンディッド・ローズ》の胸から、魂が吹きでていく。生きたまま内蔵を奪われるような感覚であろうか。私と《スプレンディッド・ローズ》は絶叫をあげていた。立っていられず、地面をのたうちまわる。もしかしたら、一瞬だけ意識を失ったのかもしれない。震える手で支えながら起きあがる。マリクが笑っていた。

「そうだぁ。もっと叫びを聞かせろ。それが生贄のスパイスとなるのだ。ターンを終了するぞ」



【5ターン目:アキ】LP3000、ドローフェイズ後の手札4枚

(フィールド)
アキ:魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。

闇マリク:モンスター1体を裏側守備表示でセットしている。通常魔法《悪夢の鉄檻》が発動中。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。


「私のターン、ドロー。《夜薔薇の騎士:攻撃力1000・Lv3・チューナー》を召喚。このカードの召喚により、手札から《ギガント・セファロタス:攻撃力1850・Lv4》を特殊召喚する」

「レベル4《ギガント・セファロタス》に、レベル3《夜薔薇の騎士》をチューニング!」

「冷たい炎が、世界の全てを包みこむ。漆黒の花よ、開け! シンクロ召喚! 現れよ、《ブラック・ローズ・ドラゴン:攻撃力2400・Lv7》!」

 涙をぬぐって、痙攣する指先でカードを置いていく。紅薔薇が舞いおりてきた。右腕が温かくて、痛みが軽減していく。《ブラック・ローズ・ドラゴン》と目が合った。優しい眼差しだ。私と呼応して、憎悪にあふれていたモンスターであったのに。複雑な想いが去来していく。大切なパートナーと戦っていこう。《ブラック・ローズ・ドラゴン》のモンスター効果により、フィールドのカード全てを破壊。魔法カード《思い出のブランコ》を発動し、墓地から《ギガプラント:攻撃力2400・Lv6》を特殊召喚させる。《手札抹殺》で墓地送りにされたモンスターだ。直接攻撃に成功すれば、私の勝ちだ。

「永続罠《デモンズ・チェーン》を発動する。《ブラック・ローズ・ドラゴン》は効果無効となる。そして、攻撃も封じられるのだ。残念だったな」

 無数の黒鎖が、《ブラック・ローズ・ドラゴン》を縛りあげた。私の全身にも、みしみしと締めつけられる痛みが走っていく。苦悶の表情を眺めながら、マリクは悦んでいる。狙いどおりにいかないのは、デュエルにおいて日常茶飯事である。次なる対策を実行していこう。

「カード1枚をセットして、ターンエンド」



【6ターン目:マリク】LP1700、ドローフェイズ後の手札1枚

(フィールド)
アキ:永続罠《デモンズ・チェーン》に拘束された《ブラック・ローズ・ドラゴン:攻撃力2400・Lv7》が攻撃表示。魔法&罠カードゾーンにカード2枚をセットしている。

闇マリク:モンスター1体を裏側守備表示でセットしている。通常魔法《悪夢の鉄檻》&永続罠《デモンズ・チェーン》が発動中。


「俺のターン、ドロー。カード1枚をセットして、《メタモル・ポット:攻撃力700・Lv2》を反転召喚。リバース効果を発動する。お互いのプレイヤーは手札全てを捨て、デッキからカード5枚をドローする。手札は充分に補充できた」

「魔法カード《死者蘇生》を発動。相手墓地から《ギガプラント:攻撃力2400・Lv6》を特殊召喚する。なるほどな。危ないところだったよ。このモンスターで敗北するところだった。闇の生贄として使わせてもらうよ。《悪夢の鉄檻》を墓地に送り、手札から《マジック・イーター:攻撃力1900・Lv4・チューナー》を特殊召喚する。これで、3体のモンスターがそろった」

 《トラップ・イーター》が赤くなったようなモンスターだ。表側表示の魔法カードを墓地に送って特殊召喚するモンスターか。シンクロ召喚を行なうのではないだろう。神の鼓動に、シグナーサインが共鳴している。両腕をクロスさせ、マリクが詠唱していく。

「3体のモンスターをリリースして、《ラーの翼神竜:攻撃力5100・Lv10》をアドバンス召喚する。リリース素材のパワー合計が、神の攻撃力となるのだ!」

 幾条もの光があふれだし、太陽のごとき黄金球体が変形していく。スタジアムを覆うように、巨大な不死鳥が舞いあがった。伝説の神が、私を見下ろしている。これまでの苦痛が生易しく感じられるほどだ。焼けつくように熱い。魂がじりじりと焦げていく。

「《ラーの翼神竜》と名のついたモンスターが存在するとき、手札または墓地から《ラーの翼神兵:攻撃力4000・Lv10》を特殊召喚する。神に仕える使徒だ。攻撃力だけならば《オベリスクの巨神兵》にも匹敵する。手札と墓地から1体ずつ特殊召喚する」

 頭部は《ラーの翼神竜》と同じであるが、人型の巨体をしている。黄金色に輝く肉体からは、もうもうと灼熱が噴きだしている。額から頬にかけて、汗が流れていく。気温が上昇しているような気がする。落ちつかない鼓動。冷汗かもしれない。このターンはしのげる。

「手札の《カースド・フィグ》を捨て、罠カード《ホーリーライフバリア》を発動する。このターン、私はいかなるダメージも受けない。モンスターも戦闘破壊されない」

「死を先延ばしにしたか。残されたわずかな時間で、あがくがいいよ。ターンエンド」



【7ターン目:アキ】LP3000、ドローフェイズ後の手札5枚

(フィールド)
アキ:永続罠《デモンズ・チェーン》に拘束された《ブラック・ローズ・ドラゴン:攻撃力2400・Lv7》が攻撃表示。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。

闇マリク:《ラーの翼神竜:攻撃力5100・Lv10》&《ラーの翼神兵:攻撃力4000・Lv10》2体が攻撃表示。永続罠《デモンズ・チェーン》が発動中。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。


「私のターン、ドロー。魔法カード《シンクロキャンセル》を発動。《ブラック・ローズ・ドラゴン》をエクストラデッキに戻し、墓地からシンクロ素材にしたモンスター、《夜薔薇の騎士:Lv3・チューナー》と《ギガント・セファロタス:Lv4》を蘇らせる」

「レベル4《ギガント・セファロタス》に、レベル3《夜薔薇の騎士》をチューニング! 再び現れよ! 《ブラック・ローズ・ドラゴン:攻撃力2400・Lv7》! シンクロ召喚により、モンスター効果を発動。フィールドのモンスター全てを破壊する。ブラック・ローズ・ガイル!」

「馬鹿め。その程度の破壊効果が《ラーの翼神竜》に通用すると思ったのか?」

 紅薔薇の竜巻が、フィールド全体に荒狂う。《ラーの翼神竜》には通じずとも、《ラーの翼神兵》2体を崩すことができたようだ。さらには、セットされた永続罠《メタル・リフレクト・スライム》も破壊できた。攻撃を邪魔する手段はないだろう。

「速攻魔法《偽りの種》を発動。《イービル・ソーン:攻撃力100・Lv1》を手札から特殊召喚し、モンスター効果を発動する。このカードをリリースして、相手ライフに300ポイントのダメージを与える。そして、同名モンスター2体をデッキから攻撃表示で特殊召喚する」

 黒実が弾けて、顆粒がマリクを撃ちつける。ライフを1400ポイントにまで減らせた。

「魔法カード《フレグランス・ストーム》を発動。《イービル・ソーン》を破壊して、カード1枚をドローする。引いたのは植物族モンスター《アイヴィ・ウォール》。さらに1枚ドロー」

「永続魔法《超栄養太陽》を発動。《イービル・ソーン》をリリースして、デッキから《ローンファイア・ブロッサム:攻撃力500・Lv3》を特殊召喚。このカードをリリースして、モンスター効果を発動。デッキから《椿姫ティタニアル:攻撃力2800・Lv8》を特殊召喚する」

「私の墓地には、11体もの植物族モンスターがある。手札から速攻魔法《狂植物の氾濫》を発動。墓地の植物族モンスター1体につき、《椿姫ティタニアル》のパワーは300ポイント上昇する。攻撃力6100ポイントになり、神を超えたわ! 《ラーの翼神竜》に攻撃!」

 植物たちの加護を受けて、花女神にエナジーが集まっていく。それは優しい太陽だ。直径数メートルにも膨れあがったエネルギーボールが、太陽神へと放たれる。ごうごうと燃えさかる獄炎ごと、《ラーの翼神竜》は消滅した。1000ポイントの戦闘ダメージを受け、相手ライフは400ポイントにまで減少した。今度は、マリクが倒れこんだ。腹を押えながら、苦悶に呻いている。

「主がいなければ、《ラーの翼神兵》は復活できないわね。モンスター1体を裏側守備表示でセットして、ターンエンド。《狂植物の氾濫》の代償により、《椿姫ティタニアル》は破壊される」

 私はチーム5D’Sのメンバーだ。神が相手でも負けない。



【8ターン目:マリク】LP400、ドローフェイズ後の手札2枚

(フィールド)
アキ:モンスター1体を裏側守備表示でセットしている。

闇マリク:無し。


「今のは効いたぞぉ。《ラーの翼神竜》を倒すとは、さすがはシグナーとやらか。俺のターン、ドロー。どうやら、貴様の終わりがきたようだ。《ファントム・オブ・カオス:攻撃力0・Lv4》を召喚。墓地から《ラーの翼神竜》を除外して、このカードをラーに変える」

 ゆぅらりと立ちあがりながら、マリクが狂笑している。口元から吐瀉物が零れている。混沌が渦巻き、《ラーの翼神竜》が形成されていく。こんなモンスターがあったなんて。

「《ラーの翼神竜》が存在することにより、墓地から《ラーの翼神兵:攻撃力4000・Lv10》2体を特殊召喚する。実に楽しいデュエルだった。褒美として、紅蓮の炎で焼きつくしてやるよ。貴様の精神は灰となり、永遠の激痛に苛なわれるのだ」

 ロッドを突きつけてきた。その背後では、《ラーの翼神兵》たちが灼熱をたぎらせている。両腕が動かない。不可視の力に抑えられているかのように。

「サレンダーできないように、貴様の動きを封じさせてもらったぞ。灰になって、舞散れ! 十六夜アキ! 《ラーの翼神兵》は貫通効果を有する。裏守備モンスターに攻撃!」

「死ね」

 マリクが静かに呟いた。セットしたのは《アイヴィ・ウォール:守備力1200・Lv2》。《ラーの翼神兵》2体を相手にガードできない。私は敗北するようだ。巨拳が近づいてくる。遊星の叫びが聞こえる。意識が朦朧としてくる。彼が駆けつけてくるのは幻覚であろうか。クリクリー! 目前にハネクリボーまでが浮かんでいる。光壁が広がって、《ラーの翼神兵》の拳を阻んだ。

 私は敗北した。倒れないように踏んばったけど、視界が真白に染まっている。遊星やダルクの怒声が、遠くから聞こえてくる。大丈夫よ。私は立っているから。

「命拾いしたなぁ。この死にぞこないが。だが、後悔するよ。中途半端に助かったことに。闇のデュエルではな。敗者は罰ゲームを受けるんだよ。十六夜アキ。貴様に内在する精神世界で、たっぷりと苦痛を楽しみな。ダークネスにまみれるという精神拷問を味わうんだ」

 迫ってきたマリクの額で、ウジャト眼が光っている。ロッドをアゴに刺してきた。罰ゲーム。私は奈落へと堕ちていく。どこまでも深い闇に。黒薔薇の魔女めがっ! 私をなじる声が、深淵から聞こえてくる。辛い記憶が走馬灯のように流れていく。炎蟲が全身を埋めつくす。口中にまで侵入してくる。息苦しい。焼かれて、喰われて、皮膚が焼けただれる。マリクの哄笑が遠ざかっていった。





【エピソード4-WDGP決勝戦編・その19】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

No title

勝者には栄光を敗者には罰を、これが遊戯王。スリルや興奮を与えるにはこういう部分をちゃんと植え付けておく必要があるんだよね。マリクはイカれているように思えるが割とそこら辺を教えてくれるあたり重要なキャラ。
原作を知らないゼアル新規小学生が罰ゲームしてた頃の遊戯見たら確実にデユエルした奴は仲間だとか言わなくなる。
教育上よろしくないというが作品の質を下げてスリル感がなくなったゼアルは痛手すぎる、苦痛に歪んで悶えるとか表現上小学生が見ちゃダメなのかな?ジャンプでそういうのいっぱいあるから問題ない気もするが。
個人的にこういうブラックな表現はむしろ世の中での社会性を磨くから規制する必要がないと思う。
ぬるま湯に浸かった子供は成長しない。チームサティスファクションの回はそこら辺をよくわかっている。これを見ておけばデュエルとは何かが2話ちょっとで分かる。
5Dsがゼアル信者に叩かれている理由の1つが海外放送できないとかいうが、社会性や倫理観の逸脱を失ったアニメが喜ばれるわけもない。アニメは倫理観のある程度の逸脱があるから面白い。
ギアスやガンダムOOはまさにそれ。常識を覆すことこそアニメの醍醐味。
善人しかいない生真面目なアニメが人気ないのはそういうこと。どう思う?

No title

 majesticさん、レスありがとうございます。

 マリクはインパクトのあるキャラでした。何ちゅうイカレタ野郎だという第一印象でしたが、暴走ぶりが面白かったりします。しっかりと原作読んでから、マリクを描きました。アキさんにとって悲惨なデュエルになってしまいました。たしかに、マリクやバクラとは仲間になれませんね。

>>5Dsがゼアル信者に叩かれている理由の1つが海外放送できないとかいうが、

 とあるまとめサイトで見かけましたが、鬼の首をとったように発言していますね。子供対象な萌え表現も、やりすぎると規制されかねないものですが。海外じゃ厳しいと聞いています。無菌室での子育ては、ヤバイかと思います。現実は雑菌塗れですので。善人しかいない表現にするにしても、後付けのような改心展開のオンパレードはちょっとなぁ。

 遊戯王ゼアルは子供向けにしていたのですね。こういう遊戯王もありかなと思っていましたが、最近は怪しいものです。大きいお友達向けになってきたというか。雑破 業さんは始めたばかりですけど、ああいう回が続けばオワコンです。
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