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CROSS-66 アバター・オブ・クトゥグア

遊戯王5D's SOUND DUEL 02遊戯王5D's SOUND DUEL 02
(2009/12/23)
Windows

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 ヒータはキャラ変更してあります。

 水を打ったような静けさが、スタジアムを沈みこませている。ヒータの視線を受けて、顔無きスフィンクスは消えていった。灼熱をイメージさせられるようなオーラが、全身からあふれている。遊星さんを超えるほどの体格。鍛えあげられた肉体をしているが、女性らしい柔らかさも感じられる。あまりにも鋭い双眸で、睨まれているバクラは冷汗を垂らしているようだ。

「何なんだよ。貴様は……」

 旧支配者クトゥグアの化身(アバター)だと、本人は名乗っている。ヒータはニックネームであり、真名ではない。バクラを一瞥しただけで、ヒータはボクに近づいていった。慣れていても、鬼顔には迫力を感じてしまう。ボクを支えてくれているアウスが悲鳴を漏らした。ヒータがボクに拳骨を入れたからだ。痛みは伝わらずとも、とてつもない衝撃が響いてくる。うぐっ!

「ろくな挨拶もしないで、この世界に来たんだろう? アウスに心配かけるなよ」

「ヒータ。そのことはいいから、ダルクくんを殴らないでほしいの」

「親としてのケジメだ。眼色が変わっているようだな。ダルクの恐眼には手を焼いていたけど、こうまで解消されるとは。なるほど、シグナーの奇跡というやつか。興味深いものだ。堂々と人前に出られるようになって、よかったじゃないか。何よりも、いい目つきになっている」

 今度は、頭を撫でてきた。優しい感触が押しつけられる。ヒータの表情がほころんでいく。アウスを苦しませたのは事実だから、叩かれても仕方がない。ヒータが手をかざすと、空中にディスプレイが現れた。ソリッド・ヴィジョンのようだけど、似て非なるものだ。彼女固有のスキルであろうか。混沌とした赤文字が、滝のように流れていく。

「操作可能領域が広がっているようだ。いい調子じゃないか。このペースで成長しろよ」

 ニヤリと口元が歪んだ。複数のディスプレイを弄っている。何をしているのだろう? ずっと昔から見てきた光景だけど、まともに教えてくれなかった。立体文字は不定形に踊っており、さっぱりと理解できない。複雑怪奇な図表までもが表示されている。遊星さんも、首を傾げているみたい。作業らしきものが終ると、ディスプレイを消しだした。気分よさそうに背伸びをしている。

「何をしていたんだ? そもそも、あんたは何者だ?」

「この世界で英雄と称えられている不動遊星か。自己紹介をする。私はクトゥグア。ヒータというネームもあるから、そちらを使うがいい。少しばかり、ダルクが世話になっているようだな。何者かを説明してもいいのだが、あんたは受けいれられないだろう」

 一拍だけ空いた。この世界について調査済みのようだ。

「ダルクの師匠あたりと理解するがいい。もっとも、ここ最近じゃ放置気味だったがな」

「ねぇ、ヒータ。ここまで来たということは、ゾークとの戦いに協力してくれるの?」

「戦ってもいいが、この姿では勝てないかもな。アバターを解放させるしかない。手加減ができないから、この惑星は間違いなく焦土になるぜ。協力はしてやる。あくまでも、ファラオを倒すのはダルクだがな。この世界では、カードゲームでバトルをするのか。ずいぶんと平和なことだ。私もデュエル・モンスターズに挑戦したくなった。なかなか楽しめそうだよ」

 ダークネスがクトゥグアを見上げている。ヒータが人差指を突きだすと、炎塊が爆発した。中からデュエル・ディスクが現れた。スカーレットカラーの鋭いデザインだ。デッキゾーンには、きっちりとカードが納められている。いったい、どんなデッキを使うのだろう?

「私は初心者だ。シティを探索しながら練習していく。実力がついたら、ダルクにも挑んでやるよ」

「うん、楽しくデュエルしようね。まだ訊きたいことがあるけど、いいかな? 顔無きスフィンクスがファラオに協力しているみたいだけど、何か知らない?」

「あいにく、ナイアーラトテップとは仲悪いんでね。本来ならば、協力関係にないといけないが。使徒どもは何を考えているのか知らないし、分かりたくもない」

「そうなんだ。この世界まで来てくれて、ありがとう。ヒーター」

 クトゥグアも異世界間を移動できる。どこかに消えていたヒータだったが、ここまで来てくれたんだ。力強い気分になる。ボクの頭を撫でてから、ヒータは周囲を見渡した。あれっ? いつの間にか、バクラがいなくなっている。アウスが来たときも去ったというし、なかなか慎重な性格かもしれない。スタジアム全体が圧迫感に飲みこまれている。精神を焦がされている気分だろうか。

「この壮大な舞台で、これだけの人数から賞賛される。ダルクにとっては初めての経験だ。人生の宝になるだろう。こういうのが積重なって、人間は成長していくんだろうな。邪魔者も消えてよかったよ。ダルク。疲れているようだが、気をしっかり持てよ。回復が早まる」

 ヒータは片手を振りながら、去っていった。



 ヒータが出ていき十数分。灰色雲に隙間が開いて、日光が差しこんできた。ぽかぽかと皮膚が温まり、気分がほぐれていく。重石から解放されたかのように、スタジアムが熱気を取りもどしていく。ざわめきが湧きたってくる。アルマも胸内から話しかけてきた。

『ヒータはデュエルするって言っていたけど、相手は大変だね。威圧感が半端じゃないですし』

『そうだね。でも、大丈夫だと思うよ。強いデュエリストも多いから』

『私なんかじゃ、緊張しっぱなし。プレイングミスしちゃいそうです』

『そうかな? ボクが眠りこんでいる間に、アルマも強くなったと思うよ。WDGPも終ることだし、アルマもデュエルしなよ。観察しながら勉強していたんでしょ? それを実戦で生かして、実力として身に着けるんだ。アルマの決闘を、ボクが見守っているから』

『デュエルしたいけど、ドキドキしちゃうよ。アキさんは大丈夫かな? マリクを倒したから、呪いは解けていると思うのですけど。彼女とぶつかって、もっとアキさんを知りたいのです』

『アルマって不思議な力があるみたいだね。アキさんを抱擁したら、苦しみが和らいだというか。ボクには使えないけど、ママの能力はアルマへと遺伝しちゃったのかな?』

『私にも、よく分からないのです。病院に行って、アキさんに逢いたいなぁ。お兄ちゃんも大丈夫ですか? 私が代わりましょうか? ダークデュエルによるダメージは受けていませんし、肉体操作を楽々できちゃいます。奥で休んでいてくださいよ』

『ありがとう。でも、大丈夫だよ。アルマやハネクリボーが癒してくれるし、WDGPには最後まで参加したいから。表彰式まで頑張るよ』

『何だか、本当にお兄ちゃんみたいになってきたね』



 控室にて、ボクは横になっている。アウスに膝枕をされていて、彼女の温かみが染みこんでくる。シャワーを浴びて、疲労を温水で流しおとした。服も着替えたから、さっぱりとして心地いい。知らない人からすれば、2人きりの空間だろうか。アウスが背中を撫でてくれた。

 くっついているから、アウスの異変が伝わってくる。不安が過ぎる。

「ちょっとだけ、熱があるんじゃない? 顔も赤いし、風邪を引いているかもしれない」

「大丈夫だよ。むしろ、気分がいいぐらい。何でだろうね? こんな状態が、ずっと続いているの。この肉体に這入って8年になるけど、まだまだ未知なる領域があるみたい」

「酷くなるようだったら病院に行こうね。アウスに何かあったら、ボクも心配になるよ」

 頭を撫でられた。甘い吐息が降りてくる。幸せそうな微笑を浮かべており、しんどさは少しも感じられない。ボクの杞憂だったかな? WDGPに関する特別番組が、テレビに流れている。ボクとマリクの決勝戦が映されている。吹荒れている凄まじい黒炎嵐。アウスが動揺するわけだね。リモコンでチャンネルを変えていく。【光の結社】がどうのこうの。そんなニュースが放映されていた。大会に夢中になっていたけど、それとは関係なく世界は渦巻いているようだ。

「ダルクくんが消えてしまうかもしれない。決勝戦は観ていて辛かったよ。ダルクくんの精神が灰になって、肉体にアルマちゃんだけ残される。そんな不安でいっぱいだったの」

「ありえないよ。アウスやアルマを置いて消えたりしないから、安心して」

 起きあがって、ぎゅっと抱きしめた。絶対に君を離さないからね。早鐘のような鼓動が、アウスから響いてきた。数字を進めていくデジタル時計。ノックが鳴った。表彰式の時間だ。



 驚いた。大道芸人かと思えば、イェーガー市長だったのだ。情報は得ていたけど、すっかりと忘れていた。万雷の拍手に包まれながら、表彰式を迎えた。盛大なるファンファーレ。いくつもの球状画面には、ボクがアップで映されている。せっかく盛りあがっているんだ。元気いっぱいのスマイルを浮かべよう。イェーガー市長が恭しく礼をする。ボクもぺこりと返した。

「ダルク・ウェイトリィ。このイェーガー、あなたの素晴らしき優勝を称えさせていただきます。あなたのために優勝景品として、レアカードが用意されています。好きなカードを選択してください」

 甲高い声をしている。厳重にガラスケースへと収められたカードが、台車により運ばれてきた。警備員たちも、きっちりと見張っている。アンドレが欲しがっていた《ペガサスの涙》もある。獣族のサポートマジックだ。ボクのデッキにも入れられる。別のセットが輝いていた。《ハッピー・フェニックス》と《ハッピー・ドラゴン》の2枚組。ハピハピー! 精霊さんの声が輪唱してくる。

「おやおや。そのカードを選びましたか。あなたに相応しいモンスターだといえましょう。究極の守護モンスターです。敗北からすらも、主人を守ってくれますから」

 他にも魅力的なカードが目白押しだ。それでも、決意は固まった。《ハッピー・フェニックス》と《ハッピー・ドラゴン》を仲間に迎えよう。飛びだした精霊たちが、ハネクリボーに挨拶をしている。デフォルメされて、可愛らしいデザインだ。頬が緩んでしまう。

「ありがとう、イェーガー市長。この子たちを、大切なパートナーにします」

 にっこりと笑顔が返ってきた。新たなる精霊さんが、ボクに懐いてきた。トロフィーも渡されて、表彰式も終盤へと近づいていく。莫大な賞金まで貰えた。今夜のディナーは奮発しちゃおう。アウスには贅沢してほしいからね。ルアたちも誘ってみようかな。



 取材タイムも終ると、茜色が射してきた。顔無きスフィンクスが乱入したりして、予定時間が遅れたせいもあるかな。観客も帰っていき、人ごみも薄れている。待ってくれていたアウスに跳びついた。ヒータの言ったとおりだ。気をしっかり持ったせいか、すっかりと疲労も回復していた。





【エピソード4-WDGP決勝戦編・FINAL】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

No title

ヒータをお姉さんから完全な親代わりに変えたわけね。修正前より冷たいというか厳しい感じ、お色気お姉さんの感じとは全然違うね。話し方が硬いけど故意的? もう少し柔らかいほうが親身な感じになりやすい。
そういえばスキルスタンというカードを使っていたけどブレイクスルースキルという上位互換がOCGで出ていたね。これからの展開の大筋は同じ?だけど新しいOCGカードでデュエル描写も少しずつ変えていくよね?
ヒータのデッキは変わる? 炎王の未判明が分かったら使わせてもいい気がするんだけど。エクシーズ関係ないし。似合うし。あと数週間の辛抱。

No title

 majesticさん、感想ありがとうございます。

 シリアスっぽくしました。彼女はダルクに親としての愛情は感じても、萌えたりはしませぬ。口調は意図的です。正体がクトゥグアともあり、根からの善人というわけでもないです。

 《スキル・スタン》については、私も困っている最中です。下位互換のままでも問題ないのですが、ぶつかった時に考えてみます。

 ネタ自体を抜いていきますので、巨大ロボネタのカードは無くなります。炎ストラクやコスモブレイザーのカードなどを使用。特に中国っぽい雰囲気のない彼女ですが、炎星はどうしようか思考中です。1章ではデュエルあまりないかな。
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