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CROSS-79 黒焔の使者

遊戯王5D's SOUND DUEL 03遊戯王5D's SOUND DUEL 03
(2011/02/16)
TVサントラ

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 悪魔的なバクラであります。

「私のターン、ドロー。《血塗られし黒貴族》で裏守備モンスターを攻撃!」

 カミューラの攻撃命令を受けて、《血塗られし黒貴族》が黒馬を走らせた。《血塗られしレイピア》を夜空に煌かせて、《メタモル・ポット:守備力600》を突きさす。蜘蛛の巣状にひびが広がっていき、《メタモル・ポット》は爆散した。モンスターが破壊され、バクラが哂いだす。

「《メタモルポット》のリバース効果を発動。お互いのプレイヤーは手札全てを捨て、デッキからカード5枚をドローする。手札を増やせて幸運じゃないか。逆転のカードでも引けたか?」

 デッキ破壊が加速していく。手札を注視するも、反撃につながるカードはない。《ハリケーン》といった魔法除去カードは、デッキから除外されている。《生者の書ー禁断の呪術》があるが、モンスターゾーンは埋めつくされている。3枚の下級モンスターも召喚できない。残るのは《妖かしの紅月》のみ。このトラップで守るしかない。

「カード1枚をセットして、ターンエンド」

 《死札相殺》により、デッキのカード5枚が墓地へと吸いこまれていく。残りデッキは7枚へと追いつめられた。バクラの双眸がぎらついている。《呪いの双子人形》の祝福により、カミューラのライフが2900ポイントまでに回復した。



【7ターン目:バクラ】LP1700、ドローフェイズ後の手札6枚

(フィールド)
バクラ:永続魔法《暗黒の扉》&永続魔法《死札相殺》&永続罠《洗脳解除》が発動中。

カミューラ:《カース・オブ・ヴァンパイア:攻撃力2000・Lv6》&《屍肉を喰らう狼男:攻撃力2700・Lv7》&装備魔法《血塗られしレイピア》を装備した《血塗られし黒貴族-孤独なるヴァンパイア:攻撃力3000・Lv9》が攻撃表示。《ゾンビトークン:守備力300・Lv1》2体が守備表示。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。


「俺様のターン、ドロー。魔法カード《ポルターガイスト》を発動。マジックゾーンにセットされたカード1枚を手札に戻す! 何を企んでいるのかは知らねぇが、無駄なことだ!」

 悪戯するかのように、ゴーストが《妖かしの紅月》を投げとばした。カミューラの手札は5枚にまで増える。単にトラップを除去しただけでは終らない。

「魔法カード《手札抹殺》を発動。互いのプレイヤーは手札全てを捨て、その枚数分だけドローする。これで、貴様のデッキは2枚にまで削られた」

「モンスター1体を裏側守備表示でセット。そして、魔法カード《トライアングル・マジック》を発動する。自分フィールドのカード3種類を1枚ずつ破壊だ!」

 トライアングル状のスパークが、バクラのフィールド中空で回転をしだす。紫電を漏らしながら、セットモンスター《ネクロフェイス》を焼きつくす。除外されていたが、《ホワイトホール・ポット》により手札に戻っていたようだ。《暗黒の扉》も《洗脳解除》も破壊光に滅された。

「コストは大きいが、それなりに得られるんでね。相手墓地からカード1枚を手札に加えるのさ。俺様が選択するのは《幻魔の扉》だ。《ネクロフェイス》は墓地に送られず除外された。互いのデッキからカード5枚を除外。デッキ破壊は完成した! もう何をせずとも、俺様の勝ちは決まりだ。それでも、貴様の心臓に突きたてた剣を、さらに奥深く刺しこんでやるよ。ズブズブとなぁ」

「魔法カード《幻魔の扉》を発動。相手モンスター全てを破壊。相手墓地から《血塗られし黒貴族-孤独なるヴァンパイア:攻撃力2000・Lv9》を特殊召喚する。魂を生贄に捧げるんだったな! ならば、俺様が集めた死霊どもを生贄にしてやるよ」

「そんな。《幻魔の扉》も《血塗られし黒貴族》も奪われてしまうなんて……」

 巨大扉がバクラの背後から上がり、開放された。嘆きの死霊たちが、そこに吸いこまれていく。無数の触手が延びていき、ヴァンパイアたちを飲みこんだ。カミューラを守るモンスターはいなくなった。バクラの隣に、《血塗られし黒貴族》が並びたつ。

「手札1枚を捨て、装備魔法《D・D・R》を発動。除外された《ネクロフェイス:攻撃力1200・Lv4》を特殊召喚する。2体のモンスターでダイレクト・アタック! はははっ! てめぇー自身の僕によって、とどめを刺されるがいい!」

 カミューラの目前まで、黒馬に跨ったダンピールが迫ってきた。トラベラーズハットの下からは、寂しげな眼差しを注いでくる。背負った長剣で、容赦なくカミューラを斬りさく。《ネクロフェイス》の体当たりも受けて、カミューラのライフは0まで崩れおちていった。

「貴様は、闇のデュエルに敗北した。罰ゲームを受けてもらうぜっ!」

 敗者となった吸血鬼に、バクラが指を突きつける。死霊群がカミューラを包みこみ、絶叫を爆発させた。すとんと落ちたのは、カミューラそっくりな人形であった。それを拾いあげ、バクラが哂いだす。その足元には、カミューラのデッキが散っていた。

「誇り高きヴァンパイアとやらも、こうなっては終わりだな。貴様はディアバウンドの餌になってもらうぜ。《幻魔の扉》は俺様が使ってやるよ」



 異様な気配が近づいてくる。バクラは哄笑を止めた。遠くで暴れまわっているアトラク=ナクアではないようだ。旧支配者は相手にせずに、しばらく様子見にしておこう。そうバクラは考えている。自分自身の意思に反して、左腕が持ちあがった。ぎっちりとして、束縛された腕先を動かせない。何とか抵抗しようとするも、不可視のバインドを外せない。

「ど、どうなっていやがるんだ……」

 痛みを我慢して、視線を巡らせる。夜空下の屋上光景が回っていく。修道服姿の少女が、広げた右手を突きだしていた。いつの間に現れたのだろうか? ダルクそっくりな容貌で、雪のような髪色をしている。優しげな眼差しを浮かべているが、双瞳が憎悪に輝いている。

「誰だ、貴様!?」

「ラヴィニア・ウェイトリィだよ。ダルクとアルマの母親なんダ」

「母親だとっ? ガキにしか見えない」

「そういう風に造られているんダヨ。それよりも、あなたはバクラでしょ? 聞いたヨ。悪霊を使役して、アルマを襲ったそうじゃない。このRPGでは、デュエルが戦いの基本だと聞いていたのだケド。あの子は怖がりなのに、酷いことをしてくれたわネ。お仕置きさせてもらうヨ」

 中央病院にて、アルマ・ウェイトリィと十六夜アキを襲撃したことがある。そのことを言っているのだろうか? 聖母の笑顔を保ったままに、憤怒を露わにしている。ラヴィニアが右手を丸めた。暴走したエネルギーが、バクラの左腕へと注ぎこまれていく。枝を折ったような音が、静夜をかきみだした。悲鳴を飲みこみ、バクラが倒れこんだ。微笑んだまま、ラヴィニアが見下している。

「少しずつ壊してあげるワ。次は、右足がいいカシラ?」

 右掌を突きだしてきた。暴発する衝撃波。バクラが吹きとばされ、フェンスに全身を叩きつけられた。みしみしと金網が軋んでいる。激痛を我慢しつつ、バクラがラヴィニアを睨みつけた。胸に下げられている千年リングが、まばゆく光を吐きだす。

「ダルクもダルクなら、母親も化物だな。調子に乗るなよっ!」

 腫れあがっている左腕を庇いながら、バクラが立ちあがった。その背後では、精霊獣ディアバウンドがうっすらと輪郭を忍ばせている。ラヴィニアが嘆息して、どこからともなく古書を取りだした。鉄製の表紙をしており、異様に分厚い。

「これは【妖蛆の秘密】だよ。とてつもない精霊を扱えるのネ。あなたがその気なら、もう手足を折るぐらいでは終らないワ。妖魔たちは容赦しないからネ。再起不能は覚悟しなさい。好きなんダヨ。あなたみたいに生意気なオトコノコを虐めてあげるのガ」

 蠱惑的な視線を流してくる。バクラはゾッとするものに触れた。ラヴィニアは呼吸荒く、じっくりと興奮していたからだ。周囲空間が捻れていき、名状しがたき悲鳴があふれだす。バクラがディアバウンドを突撃させようとするも、壮絶なる黒焔が爆発しだした。バクラとラヴィニアが、ぴたりと動きを止める。叩きつけてくる熱風。屋上一面が真黒に燃えさかっている。

 長身の人影が、2人を見下ろしていた。



 漆黒のローブに包まれている。フードから覗かれる、美麗なる口元。バクラは息を飲みこんだ。アトラク=ナクアと似たような気配をしているが、比較できないほどの畏怖を放っている。その肩には、奇妙な四足生物が乗っていた。ぴょこんと降りて、大きな尻尾を波打たす。

「ウ、ウルタール……」

「ラヴィニア・ウェイトリィ。勝手な真似をされたら困るよ。このRPGにおいて、バクラは優秀な駒なんだ。そんな魔導書を取りだしてまで、壊さないでくれるかい? ダルクに何をするつもりか、ボクたちを見張るのもいいけどね。余計なことまでしてほしくないよ」

 子供のような声音をしている。そのセリフは、バクラを怒らせるのに充分なもの。ラヴィニアも歯軋りを鳴らしていた。円らな赤瞳を、ぐるりとバクラに向けてきた。顔はあるようだが、表情が変化する様子もない。それが暗黒生物の不気味さである。

「初めまして、バクラ。自己紹介をするよ。ボクはウルタールのネコ。ナイアーラトテップの使徒さ」

 ナイアーラトテップ。その名を聞いて、ジョゼフ・カーウィンを思いだした。さらに、顔無きスフィンクスが脳裏を過ぎる。どちらも、いけ好かない連中であった。最大限の警戒を抱きながら、バクラが探りを入れていく。こいつらに対する疑念は、飽和状態まで膨らんでいるのだ。

「ナイアーラトテップだと? てめぇら、何を企んでいやがる!?」

「そうだねぇ。まずは、この世界の成りたちから説明しようか」

 尻尾がくるりんと回転した。屋上全体に広がっている黒焔が、ちりちりと皮膚に喰らいついてくる。炎自体が生きているかのようだ。バクラは左腕を抑え、ウルタールを見下ろした。

「終らない生命に、永遠と積もっていく記憶。旧支配者は退屈していたらしい。そこで、ある活動を始めたんだ。ヨグ・ソトースという無限のフィールドに、無数もの箱庭世界を創造しだした。箱庭といっても、高次元宇宙を成しているものだけどね。旧支配者は内世界を観察しては、暇を解消していったんだ。それにも飽きると、新たなる作品を際限なく創っていった」

「俺たちは、ボードゲームの駒みたいなもの……と言いたいのか?」

「旧支配者からすれば、そうだろうね。至福の時間は短かったようだ。旧支配者は精神を、ヨグ・ソトースの内側へと幽閉されてしまった。旧神ノーデンスによってね。ボクも詳しいことまで分からない。旧支配者は精神パーツを化身(アバター)に変えて、ヨグ・ソトースからの脱却活動をしている。もっとも、暢気に遊んでいるのもいるようだけど」

 ウルタールが遠くへと視線を伸ばす。その方向では、アトラク=ナクアが暴れていた。

「唯一、助かったのがナイアーラトテップ。同胞を救出するために、箱庭世界の住人たちに特殊能力を与えて、旧支配者を復活させる協力をさせている。それが、ボクたちナイアーラトテップの使徒さ。ボクたちナイアーラトテップが企んでいるのは、旧支配者の解放。君はとてつもなく優秀だ。どうだい? ボクたちの仲間にならないかい? 盗賊王バクラ」

「意味不明な神話、ありがとうよ。だがな、貴様らの仲間になる気はないぜ!」

「それは残念だよ。急に受けいれるのも無理だろうけど。それでも、ボクたちは君を待っている。気が変わったら、いつでもボクを呼んでね」

 自分たちが住んでいる世界は、旧支配者により組みたてられた箱庭。バクラにとって納得できる話ではない。苛立ちが高まり、攻撃欲へと転化する。バクラはディアバウンドを顕現させ、螺旋波動をぶつけようとした。焔で構成された黒海が震えはじめる。

 漆黒ローブが右手を突きだした。その指先からディスプレイが浮かびだす。黒炎文字が不安定に流れている。クトゥグァやアトラク=ナクアも使用していたモノだ。何かを操作しているのは理解できるが、踊りつづける立体文字を解読できない。暗黒の暴風が吹きあがる。視界全体が塗りつぶされて、何もできない。湧きだす脂汗は、骨折のせいだけではないだろう。

「ウルタールの説明は不完全だね。正確に言えば、世界創造をしたのは旧支配者の一部だよ。アトラク=ナクアあたりは、ただのプレイヤーにすぎない」

 そんな言葉が流れてきた。どういうことだ? バクラが考えこんでいるうちに、灼熱が消えていた。あれだけ燃えさかっていたのに、地面には焦跡を確認できない。涼風が静かに余熱をさらっていく。屋上にはバクラのみが残されていた。





【エピソード5-D・セブンスターズ・その13】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

No title

あら、ずいぶんとライナはキャラが変わったことで、過保護でありつつ壊れたような残忍面を持っていると。
デッキ除外はデュエルにおいて最も対処しにくい戦略の1つだからね。デッキ破壊の相手の墓地貯めすら克服したようなものだから。しかしネクロフェイス以外にデッキ除外を能動的にできるカードがないのが難点。
今回はデッキ除外で揺さぶりをかけて本命から意識を大きくそらせる上手さがあったよね。
幻魔の扉のように強力なカードを奪うというやり方は相手の意表をついて楽しいから盛り上がる。エクスチェンジやアマゾネスの鎖使いとかも。
最近、ヴェルズ・オピオンが環境で問題になっているね。インゼクターのように壊れではないにせよ。上級を丸ごと潰す広範囲のロックはランク4ゲーを加速させるから個人的に好きではない。
シンクロだけでなくほとんどの上級が活躍できないよというのはいかがなものだろう。なんていうの派手さを損なったっていうのかな。上級はやっぱ華があるから、シンクロ融合使いとしては嫌だな

No title

 majesticさん、感想ありがとうございます。

 ライナはダルク&アルマに優しくなっています。歪んでいる部分も引継いでいたりしますが。ヒータもですけど、修正においてキャラ変更が大きいです。

 《ネクロフェイス》全盛時代で思い知りましたけど、デッキ除外は恐いですね。今後、デッキ除外カードを作るとすれば、デッキ破壊よりも緩やかにする必要がありそうです。バクラは容赦しません。デッキ破壊が完了しても、《幻魔の扉》を奪って止めを刺しますので。

 《ヴェルズ》も暴れていますけど、このカードのせいなのですね。思いっきりエクシーズ推しです。制限行きでしょうか。
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