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CROSS-90 ダルク復活! ハッピー・フェニックスの奇跡

遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX ヴォーカルベスト遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX ヴォーカルベスト
(2012/09/19)
TVサントラ

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 平行世界の物語。

 彼を護るため、ボクは怪物になった。



 再会したばかりの遊城十代は、ほんの子供であった。カードの精霊が視認できるようで、ボクを感じとってくれた。言葉こそ交わせなかったけど、それだけで無上の喜びに浸れたものだ。童美野町に引越したものの、新たな友人を得られない。精霊が視えることで、嘘吐き呼ばわりされたのが原因であろうか。自分の世界に篭りがちな少年であった。

 童美野町に暮らしだして、すぐにも放火事件が起こった。野次馬どもの背後から、十代は劫火を見上げていた。家々を飲みこむだけでなく、夜空も侵食しようとしている。消防員に助けだされた老夫婦を目にして、十代は胸底から悲しんでいた。犯人は数日後に逮捕された。占いを当てるために、自称・超能力少年は自作自演をしたという。


 童美野町には、小悪党がはびこっていたようだ。


 小学校からの下校途中であろうか。童美野高校の不良に絡まれた。目的はレアカード。恐喝的な態度をちらつかせながら、デュエルを挑んできた。十代が圧していたが、卑怯にも暴力を振るってきた。その頃、ボクの力は弱まっていた。蹴られている十代を助けられない。見ているしかできなかった。そんな十代を助けるように、武藤遊戯が決闘を叩きつけた。城ノ内と本田が押さえこみ、不良は暴力行為を封じられている。《ブラック・マジシャン》で《ワイルド・スパイダー》を撃破しての圧倒的勝利。この事件をきっかけとして、十代は遊戯たちと仲間になっていく。

 十代に笑顔が浮かんできた。遊戯たちとの交流が、彼本来の明るさを引きだしたようだ。デュエルを通して、学校にも馴染んできた。十代が大人になるまで見守っていく。それがボクの役目なんだ。彼が幸せになっていくことが、ボクの悦びである。十代は決闘大会にも出場しだした。アドバイスを仄めかす必要もなくなっていき、バトルシティでは予選突破まで果たしたものだ。


 ボクは不安だった。遊戯に這入りこんでいる存在が。


 武藤遊戯は人格が激変することがあった。普段の彼こそは、心地よくなるような優しさを抱いている。反転するように、ソイツは闇を吐きだしていた。十代が意識を失っているときに、ボクは見ていたんだ。残酷すぎるダークデュエルを。相手を苦しめることに快楽を抱いていた。文化祭実行委員長の魂が、ゆっくりと焼かれつくした。好色な視線に気づいたせいか、杏子が密かに恐怖していたようだ。十代を守るためにも、ボクは闇遊戯を警戒していた。

 バトルシティの決勝戦で、ソイツは本性を露わにした。マリク・イシュタールを敗北させ、デュエルタワーから突きおとした。海馬瀬人も意識不明に陥っている。3枚の神を手にしたソイツは、高々に宣言しだした。青空が暗黒に染められて、瘴気が大気を覆いつくす。


「記憶のピースがそろった。思いだしたぞ! 俺はファラオだ! 暗黒のファラオだ!」


 武藤遊戯の魂が喰われていく。彼に呼応するかのように、顔無きスフィンクスが降臨した。次元の裂目が開いて、グロテスクな魔物が侵入してきた。決闘塔から消えさったファラオは、エジプトにて大邪神ゾーク・ネクロファデスを復活させたようだ。世界のいたる場所で、殺戮ゲームが行なわれた。みんなが壊されていく。ボクは存在を賭して護ろうとしたけど、十代は生残れなかった。愛しい十代は、何も語りかけてくれない。ボクは叫んだ。

「いらない! 十代のいない世界なんか、いらない! 何もかも消えてしまえっ!」

 呪詛を最期に、ボクは消えようとしていた。異様な気配。振りかえると、黒衣に包まれた存在が立っていた。性別や年齢が分からない。全身を黒焔で包みこんでいる。そいつは語りかけてきた。私に協力してくれるのならば、君の力になろうと。それが指を突きだすと、ディスプレイが浮かんだ。不可思議な立体文字が泳いでいる。闇が流れこんできた。心底から何かが泡立ってくる。こんな世界なんか消滅させて、ボクたちの愛で埋めつくしたい。ボクは十代を食べた。



 ユベルの記憶が、ボクへと注がれていく。刹那に、長い悪夢を体験していたようだ。現実を確認しなおす。アウス・ピースリーを乗せながら、ダルク・ウェイトリィは疾走決闘をしている。対戦相手はユベル。《デモンズ・ポンド》の効果により、ボクのライフは失われた。

「ボクの勝利は決まった! もうすぐだよっ、十代! ヨグ・ソトースの仔を吸収して、全てをボクたちの愛で満たすんだ! 憎い憎いファラオを殺してね」

 《ユベル-Das Extremer Traurig Drachen》と一体化しているユベルが、狂気爛々とした視線を降ろしてくる。暗黒のファラオ? 顔無きスフィンクス? 漆黒のローブをまとっていた存在。何者だろうか? 気になることが多すぎるけど、デュエルは終っていない。不安そうな手つきで、アウスがしがみついてきた。クリボー号が衝撃流に圧されていき、コースアウトぎりぎりまで追いつめられる。このままだと、崖下にまで落ちてしまう。

「心配しないで、アウス。ボクは負けていないから。自分フィールドにカードが存在しない状態で、相手によってライフが0になった。手札から《ハッピー・フェニックス》を捨て、敗北自体を無効にする。次の自分エンドフェイズに負けちゃうけどね」

 ハピハピー! デフォルメされたフェニックスが、笑顔を花咲かせながら飛んできた。暗黒道が陽気に塗りかえられる。衝撃波を和らげてくれ、落下地獄だけは免れたようだ。姿勢を立直して、岩道コースを疾走していく。息を飲みながらも、ユベルが余裕を投げつける。

「ライフが無くなっても敗北しないとは、本当にしぶといねぇ。まぁ、いいさ。次のエンドフェイズで、君は負けるんだから。カード1枚をセットして、ターンエンド」

「《ハッピー・フェニックス》が発動したエンドフェイズ、自分ライフは4000ポイントにまで回復する。《虹クリボー》が手札から効果発動したエンドフェイズ、《ナイトクリボー:攻撃力300・Lv1》を墓地から特殊召喚する」



【8ターン目:ダルク】LP4000、ドローフェイズ後の手札2枚

(フィールド)
ユベル:《ユベル-Das Extremer Traurig Drachen:攻撃力0・Lv11》が攻撃表示。永続罠《デモンズ・ポンド》が発動中。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。

ダルク:《ナイトクリボー:攻撃力300・Lv1》が攻撃表示。。

スピード・カウンター:ユベル+1 ダルク+8


「俺のターン、ドロー。デッキは応えてくれたよっ! スピード・カウンターは5つ以上ある。《Sp-デッド・シンクロン》を発動。墓地のモンスターでシンクロ召喚を行う。レベル1《ベビー・アルパカ》とレベル4《アルパカマン・ブラウン》に、レベル5《アルパカ・ナイト》をチューニング!」

「伝説に謳われし、アルパカの先導者よ。聖剣を振りかざし、新たなる希望を切開け! シンクロ召喚! 《剣聖アルパカ・フリード:攻撃力3000・Lv10》!」

 墓地から《アルパカ・ガール》が飛びだして、《アルパカ・ナイト》にクラスチェンジ! 仲間たちのエナジーを借りて、《剣聖アルパカ・フリード》にクラスアップした。アルパカに乗りこんで、崖道を走っていく。《Sp-デッド・シンクロン》の効果により、エンドフェイズに除外されてしまう。このターンで勝負を決めるから、問題はないけどね。

 ユベルは心優しい精霊だった。悲劇に襲われ、黒焔を注入されてしまい、その魂は歪んでしまったようだ。ユベルの腹部では、少年が嘆いている。君たちを闇から解放するよ! ボクと併走している《剣聖アルパカ・フリード》に伝わって、大きく頷いてくれた。

「《剣聖アルパカ・フリード》で《ユベル-Das Extremer Traurig Drachen》を攻撃する。このカードがアタックする場合、相手フィールドのカードは効果無効となる。ダメージを受けてもらうよ!」

「カード全体を無効にする!?」

 セットカードを仕掛けても、《剣聖アルパカ・フリード》には通用しない。聖剣がオーラにより伸びあがる。十数メートルに達したところで、相手モンスターへと斬りかかった。一閃! 胸部の巨顔が歪む。幾条もの閃光が、《ユベル-Das Extremer Traurig Drachen》からあふれだす。ダイヤモンドのように固まっていた黒焔核が霧消し、ユベルも塵と化していく。2600ポイントものライフが、光へと飲みこまれていく。消えいく瞬間、愛しそうに十代を撫でていた。



 空間全体が揺らめいていく。気がついてみれば、ハイウェイを疾走していた。どのぐらい時間が経過したのだろうか? 夜空では小星が瞬いている。ユベルが伏せていたトラップは《次元幽閉》だった。《Sp-デッド・シンクロン》を引けなければ、こうして走っていられない。

「アウス。体調は大丈夫? このまま、病院まで飛ばすからね」

 こくりと額を埋めてきた。周囲を見渡すも、追手はいないようだ。どうして、対戦相手の記憶が流れてくるのだろうか? ユベルのいた世界は、ゾーク・ネクロファデスによって滅ぼされた。武藤遊戯に憑いていた存在は、ボクの知っているファラオであろうか? ダークローブをまとっていた怪人。ユベルに能力を与えるだけでなく、何かを吹きこんでいた。何者なんだ?

『お兄ちゃん。神妙にしているのです。何かを見たのですね?』

 語りかけてきたアルマに頷く。無事に帰れたら、じっくりと教えよう。黒焔の使者は、ディスプレイに特徴的な立体文字を浮かべていた。ヒータやアトラク・ナクアと同じだ。メニューウィンドを弄っては、物理法則を超越した現象を引きおこしていく。もしかすると、旧支配者の化身かもしれない。炎使いならば、ヒータと同類の可能性もあるはず。彼女に訊いてみよう。



 突然にして、D・ナポレオンが騒ぎだした。前方から波動が地走ってくる。津波を連想させるような勢いで迫ってくる。まともに衝突すれば、ただでは済まされないだろう。クリクリー! ハネクリボーがバリアを張ってくれたが、あまりにも威力が大きすぎる。ボクとアウスは投げだされた。アウスを抱えこんで、路面上へと着地する。クリボー号がゴロゴロと転がっていく。ハネクリボーのおかげで、D・ホィールの損傷は少ないようだ。

「ア、アウス! 怪我はないっ!?」

「私は大丈夫だよ。で、でも……、アレを見て」

 眼鏡が外れている。不安そうに視線を固めている。何者かが大剣を振りさげていた。白仮面を装着しているせいで、表情をうかがえない。両目が熾火のように燃えさかっている。尖った全身鎧に包まれており、異様な威厳にあふれている。カードの精霊であろうか? 異形の人影が浮かびあがってきた。その数が、ゆらゆらと増えていく。

「俺は覇王。ダーク・セブンスターズ最強の決闘者だ。ダルク・ウェイトリィといったな? 貴様を倒し、我が糧にしてくれよう」

 ここで更なる刺客に襲われるとは。えぐられた路面には、レンズの割れた眼鏡が転がっていた。





【エピソード5-D・セブンスターズ・その24】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

No title

今回は過去の掘り下げがメインだったかな。平衡世界だから人間関係の経路もだいぶ変わってくると。このユベルの役目は強さを印象付けるよりも情報を与える役割に回したわけね。ここで覇王とは息をつかせぬ急展開、ダークセブンスターズはこのまま一気に倒す予定?

No title

 majesticさん、感想ありがとうございます。

 十代が遊戯と幼少時に出会っていたり、暗黒のファラオが復活したりと、違う物語の遊戯王DMでした。暗黒のファラオ関係の伏線にしました。狂気が少なめな分だけ、アニメよりは大人しいユベルになってかな。まぁ、ダルクを追いつめるぐらいの強さはありますが。

 このまま、ダーク・セブンスターズと勝負をつけますよ。アトラク=ナクアとの一区切りに、ライトニングが残っていますので、そちらを先に。
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