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CROSS-L ヒータ=クトゥグア

遊戯王5D's SOUND DUEL 03遊戯王5D's SOUND DUEL 03
(2011/02/16)
TVサントラ

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 旧支配者キャラの言っていることは、あえて意味不明にしてあります。

 彼女と出会ってから18年以上にもなる。ママの胎内にいたころから、近づいてきたクトゥグアを感じとっていた。ボクが産まれるのを楽しみにしていたようだ。初めて目にしたのは、ヒータの顔だった。すでに視力は澄みきっており、言葉も理解できていた。

「とりあえずは、無事に人型を成したようだ。ヨグ・ソトースへと接続させてもらうよ」

 人間でない産科医たちが騒いでいた。ママが集中治療室へと運ばれていく。それらを無視するかのように、ディスプレイを開いては操作をしだす。不可思議な立体文章が流れている。喜色に満ちているヒータであるが、眉をしかめだした。レッグホルスターから魔銃を取りだして、ボクへと放つ。看護士が悲鳴をあげだした。一瞬だけど、静寂の暗黒に包みこまれた。

「頭部を潰したが、瞬時にも修復したか。未完成品じゃないようで安心したよ。なるほどな。適度な刺激が操作可能領域を広げてくれるようだ。時間はかかるが、今さら問題もないだろう。ヨグ・ソトースに閉じこめられてから、狂いそうになる永さが経過しているのだから」

 ヒータが幸せそうに微笑んだ。血塗れになっているボクを撫でだす。クトゥグアの存在だけで、異形の産科医たちが恐怖しているようだ。触手を波打たせながら、かすなかな震えを隠せないでいる。ボクも挨拶を返した。すでに会話ができるようになっていたから。



 5歳までジョゼフ・カーウィンに育てられた。ナイアーラトテップと契約した魔術師だ。産科医にも来ていたのを覚えている。チョコレートもくれた。ヒータはナイアーラトテップの使徒たちと険悪なようだけど、【星の知恵派教団】とは協力態勢にあるようだ。ナイ神父とは友好関係にすらあるらしい。その伝を頼って、ボクを預けたという。

 基本的学術はマスターして、錬金術や魔導書解読まで学びだした。ジョゼフからは知識をたくさん得られた。ボクの性別を無断変更したせいか、アルマはジョゼフに嫌悪感を抱いていた。学問だけでなくマナーも仕込まれて、ボクは良好な関係を築いていた。蜜月は短いもの。魔術師は残酷すぎる存在であり、知識欲のために犠牲をもいとわない。人体実験に抗議すると怒鳴られた。大いなる偉業のためには、人命など塵芥にすぎないという。

「あんたの下では、これ以上の成長は見込めないようだ。領域が期待値まで上昇しない。ヨグ・ソトースからの脱出プログラムを組むだけの、データソースを得られない」

 抗議するジョセフを背後にして、ヒータに連れていかれた。むしろ、せいせいとした。ジョセフは大嫌いだから。アルマを無能者と罵って、彼女に劣等感を植えつけたのだから。友達になれそうだった少女を吸血屍人にしたのだから。もう、家族とも思わない。



 ボクからは特有の瘴気が湧きだしている。間違っても瞳を見てはいけない。魂を喰われてしまうのだから。脆弱なる人間の魂では、命の危険すらあるという。ママはホムンクルスだけど耐えられなかった。繊細なソウルを抱いていたからであろう。広大な森奥へと、ボクは隔離されていた。

「これは猫という生物だ。飼育方法を教えてやるから、世話をしな」

 突然のことだった。ヒータが屋敷に白仔猫を連れてきたのだ。ボクからの瘴気が減少するように、ディスプレイを開いては調整をしてくれている。猫さんは怖がっていたけど、だんだんと懐いてくれた。ぽかぽか陽気の芝生で、いっしょに遊んだ。数ヶ月で白猫は死んでしまった。泣きじゃくるアルマ。とても悲しくて、ジョゼフから習った蘇生術を施そうとした。

「止めておきな。未完成な蘇生術では、仔猫の苦しみが増すだけだ」

 ヒータに止められた。ジョゼフが蘇らせた人間は化物になっていたんだ。小墓を盛って、そこに遺体を埋めた。代用すらも効かないのか。命について考えながら、静かに祈りつづけた。そんなボクを眺めおろしながら、ヒータが関心気に呟いていた。

「守るものがあると伸びるんだな。できれば、同等のニンゲンと交流をさせたいものだ」

 ヒータは多様な動物を連れてくれた。ちょっとした牧場も作ってくれて、アルパカなどの世話をした。瘴気が減少するように、ヒータが調整を続けてくれている。動物たちと遊べて、アルマも元気を取りもどしていった。ヌイグルミ製作を始めたのも、この時期からだろうか。

 ときどき、ヒータが旅行に連れだしてくれた。アルパカたちの世話は業者に任せて。狂気山脈にナコタス遺跡、無名都市など。ルルイエ神殿まで潜ったこともある。ヒータの親友であるクトゥルフが眠っていたが、エリア・マーシュという化身(アバター)になって、異世界間を放浪しているらしい。彼女について語りだすヒータは、優しげな表情をしていた。


「今度こそは成功しそうです。もう少しだけ待っていてください。教授は私が助けだしますから」


 あれは夢だっただろうか。とても儚げな声音をしていた。暗黒空に向かって、赤髪少女が小さく呟いていた。その後姿は、いつもよりも小さく見えた。その数週間後に、ヒータがアウスを連れてきた。最愛の家族であり親友となる女性を。





 黒衣の旧支配者により、アウスがさらわれた。8年間も一緒に過ごした親友なのに。彼女が危険に晒されている状況は、ボクの精神を蝕みつづけている。降りそそいだ黒焔により、アルマも深刻なダメージを受けている。アイツは何者なんだ!?

「黒衣の旧支配者か。生憎だが、私も記憶が薄れているんだ。覚えはない。このRPGには、ソイツが大きく関与しているのは確かだろう。ダルク・ウェイトリィを成長させる目的は同じだが、そいつは過激派なようだ。私の方法に遅さを感じたのだろうな」

 ステファニーさんが隠れながら見守っている。心底から恐怖しているような表情だ。クトゥグアの威圧感は半端なく、人々が喫茶店から離れていった。見事なほどに営業妨害になっている。ヒータがブルーアイズ・マウンテンを転がしながら、言葉をつないでいく。

「ダルクはヨグ・ソトースへリンクした存在だ。しょせんは助手なんでね。どういう原理かはプロフェッサー・アザトースでないと分からないだろうが、精神拡大をさせないと領域が広がらない。成長させたがっている旧支配者は数多いだろう。黒焔か……。接触をしてみたいものだ」

 含んだように笑んでいる。ジャック・アトラスなみの高身長で、鍛えぬかれた体格を誇っている。燃えあがるような眼差しを注いでくる。立ちあがり、ボクの頭を撫でこんだ。

「背後関係を調べてくるよ。ナイアーラトテップの使徒どもを使っているようだしな。それにしても、表情が引締まってきた。魂をかけた決闘は、ダルクを効率よく成長させてくれるようだ。狂気山脈やルルイエに連れていくよりもな。この調子で大きくなれよ。心配をするな。アウスが助かるように、私もできるかぎり努力をするから」

 訊きたいことが多いのに、そのまま立去ってしまった。霧散したという表現が正確であろうか。消えちゃった! ステファニーさんが驚愕していた。外世界からやってきた旧支配者。旧神ノーデンスにより精神を幽閉されて、脱出のために活動をしている。その目的でボクが造られたんだ。黒衣の旧支配者も目指している方向は同じものだろう。どうであれ、アイツは許せないけど。



「今の人。すっごく恐かったっ! マスターも逃げちゃった。信じられない……」

 ステファニーさんが胸を撫でおろした。

「ヒータっていうんだ。ボクを育ててくれた師匠だよ。いろいろな秘境にも連れていってくれた。いろいろなことを教えてくれたの。とても優しい女性だよ」

「うーん。そうは見えなかったけどなぁ……」

 ステファニーさんが呟きながら、チョコケーキを運んでくれた。





【エピソードSP4-黒衣の旧支配者・その1】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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