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CROSS-N アトラク=ナクアの暴走

遊☆戯☆王5D's ヴォーカルベスト遊☆戯☆王5D's ヴォーカルベスト
(2012/09/19)
TVサントラ

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 次回から新章に入ります。

 松明の輝きにより、玉座が闇に浮かびあがっている。足音が鳴ると、ファラオが視線を下した。ゆっくりと蜘蛛怪人が歩いてくる。アクナディンをはじめとする神官団が、警戒態勢をとりだす。いくつもの複眼が周囲を舐めわたしている。蜘蛛顎が開閉を繰りかえしている。グロテスクな容貌をしているものだ。ファラオが息を吸いこんでから、怒鳴りだした。

「アトラク=ナクア! 俺の邪魔をしておきながら、どういうつもりで戻ってきた!?」

「アウス・ピースリーを助けにきた。ダルクに再戦を挑みたいが、ダチがさらわれている状況は辛いよな。心からの真剣勝負もできそうにない。だから、俺様が手伝うと決めたんだよ。こいつを助けたら、ダルクは楽しくデュエルができるはず。わくわくするよなぁ!」

 アウスは石柱に縛られていた。鎖を幾重にも巻かれている。顔面蒼白に苦悶を漏らしている。ぼたぼたと脂汗が流れおちていく。ズタボロとなった白衣には、嘔吐物がこびりついている。アトラク=ナクアが近づいて、メニューウィンドウを開きだした。

「おいっ! 何をしている?」

 とてつもなく凶暴残虐な旧支配者だと、ナイアーラトテップから聞かされている。絶大な力をも抱いている。身構えながらも、ファラオは慎重そのものだ。

「うっせーっ! 黙ってろや! まずは治療をしてやるんだよ」

 奇妙に踊りつづける立体文字。アトラク=ナクアは意味内容を理解している。旧支配者アザトースが構築したシステムのおかげで、細かい芸当ができるもんだ。黒鎖のみを消滅させて、慎重に石畳へと横たえた。アイテムコマンドを実行。キラメキが瞬いて、静かに降りそそぐ。彼女のライフポイントは完全回復したはず。それでも、苦痛が引く様子もない。

「無駄なことだ。ライトニングが遺した【破滅の光】。さらには、ユベルから採取した魂の欠片。それらを《超融合》させておいた。あいつらは最期まで使えたよ。アウス・ピースリーは闇のデュエリストになりつつある。貴様の力をもってしても、止められないぜ!」

「それなら、こいつをダルクの場所に運ぶまでだ。奇跡の友情パワーとやらで、何とかなる可能性もあるからな。最後まで諦めねぇぜ!」

「今の段階で、アウス・ピースリーを持ちさるのは困る。ダルク・ウェイトリィには、最高の絶望を与えたいからな。彼女を置いておくがいい!」

「てめーの命令なんか聞かねぇよ。ボケがっ! 俺はあんたが嫌いなんだよ。そうだ。このRPG自体を潰してやる。聞いたぜ。ゾーク・ネクロファデスをゲーム終盤に降臨させて、虐殺祭りをするそうだな? シティには活かした決闘者がわんさかいる。そいつらを消しちまうのかよ? ふざけるんじゃねぇっ! 殺されたら、デュエルができなくなるじゃねぇか!」

「血の宴を楽しみにしている。貴様! それを邪魔するというのか!?」

 アトラク=ナクアがメニューウィンドウを操作していく。旧支配者特有の特殊能力を発動させるために。四方八方から蜘蛛糸が伸びていき、神官たちを縛りあげる。抵抗しようにも、力そのものを奪われている。それ以前に、名状しがたき恐怖が指先をも動かせなくしている。

「しばらく、大人しくしとけや。ちょっくら、ゾーク・ネクロファデスを転がしてくる。俺が倒したデュエリストも成長して、強くなるかもしれない。不動遊星やクロウ・ボーガンは、さらなる壁へと高まっていく。楽しみなんだよ! そいつらとデュエルをやるのが! シティのやつらは俺が守る! てめーごときに、誰一人として殺させない! ふざけたRPGをぶっ壊す!」

 蜘蛛邪神の怒りが玉座へと迫っていく。アトラク=ナクアがファラオを掴みあげて、勢いよく殴りとばした。矮躯が石床に叩きつけられ、情けなく転がっていった。無数の蜘蛛糸がファラオを縛りあげていく。全身を拘束されて身動きできない。

「貴様……。気が触れたのか?」

「俺はいたって正常なつもりだがな。ゾークを消したら、デュエルを挑ましてもらう。神殺しのデッキを組んでおいた。てめーは嫌いだが、決闘者としてはリスペクトする。最高のデュエルをしようぜ! アウスを巻きこむわけにはいかないか。ここに置いていこう」

 アウスを繭で包みこみ、アトラク=ナクアは悠々と去っていく。松明に照らされた化物が、ファラオの視界から薄らいでいく。一瞬だけであるが、甲冑をまとった青年姿に変化した。気のせいかもしれない。ファラオはにやついた。他の旧支配者やナイアーラトテップが許さないであろうから。彼らの計画は止められるはずもない。必ずや制裁されるであろう。



 アトラク=ナクアが記憶を掘りかえす。ぼんやりしているメモリーを。ヨグ・ソトースに精神を這入りこませたころは、暢気に冒険をしていた。アザトースが構築したシステムを楽しんでいた。ノーデンスに幽閉されたと知るまでは。

「ゾーク・ネクロファデスか。さすがに、ソロでやるにはハードすぎるかもな……」

 神妙に呟く。仲間たちは深遠に眠っている。旧支配者は無数にいるが、その大半は永遠世界で精神を壊している。ハイパーボリア大陸にあるヴーアミタドレス山。その地下洞窟でヨグ・ソトースのシステムについて独学をしていた。気が狂いそうになるほどの永遠。ダチのため、永すぎる救出活動に沈んでいた。顔無きスフィンクスから誘われて、この世界に這入りこんだ。ヨグ・ソトースからの脱出イベントが行なわれるという。

「シティでは、調子に乗りすぎたな……」

 しょせんは箱庭世界の自動人形にすぎない。その程度に考えていた。だから、倒しては蜘蛛糸で張りつけられた。シティで暴れまわっては、積もりすぎたストレスを発散していた。数々のデュエル、特に不動遊星とのバトルで思いだした。こいつらは生きている存在だと。すっかりと実感を忘れていた。装備コマンドを実行して、長剣を顕現化させた。握りしめるだけで勇気が湧いてくる。

「ゾーク・ネクロファデス! 俺様とタイマンをしろや! 祭りは始まっているんだぜっ!」

 先制攻撃。巨大神殿に突入して、銀剣を振りかざす。アトラク=ナクアは違和感に触れた。大邪神が反応を示さない。指先すらも動かさない。あまりにも静かすぎる。どうなっていやがるんだ? 生気すらも感じられない。慎重に近づいていき、足先に触れてみた。

「こいつ死んでいやがる……」



「これ以上、勝手な真似をしないでほしいね」



 足音が静寂を破った。アトラク=ナクアが振りかえる。黒衣をまとい、黒焔に包まれた旧支配者が立っていた。アウス・ピースリーをさらった張本人。思いかえすも、こんなヤツはいなかった。化身(アバター)だけなら、いくらでも変更登録が可能だ。アトラク=ナクア自身も蜘蛛形態に設定している。さっきは初期化身に戻そうかと考えたが、すぐにも止めておいた。

「てめー。誰だ?」

「さぁて、誰だろうな? ずいぶんとデュエルを楽しんでいるようじゃないか?」

「あぁ、最高のゲームだぜ。魂をかけたバトルが熱いからな」

 黒衣の旧支配者が、いくつものディスプレイを開いている。不可思議な立体文字が濁流している。用意されたコマンドを実行しているのではない。この場でプログラムを組んでいる。こんな芸当ができるヤツは限られている。ぞっとする冷感を抑えながら、アトラク=ナクアがメニューウィンドウを開く。バーが動かない。ERROR表示が点滅しているのみだ。

「抵抗されると厄介だからね。大人しくしてもらうよ。忘れていないか? どういう手段を用いても、私たちはヨグ・ソトースから脱出しなければいけないんだ。世界がいくつ滅ぼうが関係ない。無数の知的生命体が死のうが問題ない。みんなを助けるだけの義務が、私にはあるんだ!」

 小柄であるが、押し迫ってくるものがある。

「それでもな……」

 アトラク=ナクアが向かっていくも、遅すぎたようだ。噴きだした黒焔が蜘蛛怪人を焼きつくしていく。それぐらいなら耐えられるが、背後に次元の裂目が広がっている。遠慮もなく、黒焔の威力が急増していく。剣に握ったまま、アトラク=ナクアが押し流されてる。肉体は高熱に焼きつくされ、少しずつ削りとられていく。意識も薄らいでいった。何かが記憶に引っかかる。



「すまない……。あんたも絶対に助けるから」





【エピソードSP4-黒衣の旧支配者・FINAL】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

No title

アトラク=ナクアはすっかりデュエリストに染まったね。こういう勝負師の考えは好み
神殺しか、楽しみ
ここでRPGの原作のアバター設定が出てきたけど、これ駒でしかない人間は抜け穴かなにかしないと絶対勝てないよね
時の巻き戻しやシステム再構築はほどほどに、このチートに対する切り替えし手段もあるよね?
ゾークが死体とは、修正前とは展開が違う?

No title

 majesticさん、感想ありがとうございます。

 アトラク=ナクアは決闘者に染まりました。主人公たちに挑んできますが、正々堂々としたものになるでしょう。

 黒衣の旧支配者も行動がある程度制限されていますので、絶望的ではないかな。ゾーク・ネクロファデスについては最終盤で展開が変わります。
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