スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

CROSS-110 悲しき疾走決闘! ダルクVSアウス

【遊戯王カード】 ユベル PTDN-JP006-N【遊戯王カード】 ユベル PTDN-JP006-N
()
コナミデジタルエンタテインメント

商品詳細を見る

 今章も残り3戦となりました。

 ボクの瞳は、人間の精神にとって猛毒だった。人間たちから隔離されながら育てられた。いろいろな人外をヒータが連れてくれたけど、最高の親友になれたのはアウスだ。【イースの偉大なる種族】が少女に憑いた存在だという。その精神生命体は肉体を上手く操作できず、ボクがリハビリに協力していくことになった。最初こそは嫌われていたが、次第に仲良くなっていった。しばらくすると、ヒータがいなくなる機会が多くなったように覚えている。

「ダルクが成長するために準備をしているのさ」

 そんなことを言っていた。広大な森中の屋敷で、2人きりですごす時間が占めていった。牧歌的で楽しい時間だったと思う。アウスは研究所などに呼ばれていたけど、ほとんどの時間は家にいた。いっしょに動物さんの世話をして暮らしていた。2人で話しあった科学内容は記録されて、ミスカトニック大学に送られた。何かの参考になるという。ときどき、ボクも論文を書かされていた。

「少しは人間に慣れてきたけど、ここが一番落ちつくの」

 2人でテラスに寝転んでいたとき、アウスが呟いた。ぽかぽか陽気に照らされながら、ボクは頷いた。幸せなメモリーを築けたけど、今がよりハッピーだ。たくさんの人間と交われて、どんどん世界が広がっていく。デュエルモンスターズを通じて友人も増えていった。それでも、隣りにはアウスがいてほしい。ボクにとって、最愛のパートナーだから。





 《デーモン・ビーバー》の両目が赤光した。悪寒が背中を貫いていく。アニーを抱きかかえて、真横に跳びこんだ。ちょうど彼女のいた空間が、ぐにゃりと歪んでいた。ボクが助けなければ、少女の内臓がどうなっていたか分からない。アウスはアニーを殺そうとした。

「みんな、逃げて!」

 アウスから放たれる毒気にも当てられて、子供たちが悲鳴をあげる。雑賀さんも誘導してくれている。アウスが何かしないように取押さえた。露出された両肩を押していく。温かい感触を懐かしく感じてしまう。艶かしく唇が歪んだ。アウスがニヤリと笑いだす。

「あいかわらず、ダルクくんは優しいね。あんな女を助けるなんて。いいわ。消すのは後にしたあげる。どうせ、ネオドミノ自体を消滅させるつもりだから」

 どういうこと? つい、力が抜けてしまった。両腕が伸びてきて、アウスが起きあがる。力いっぱいに抱きしめられる。こんな表情のアウスは初めてだ。グリーンとオレンジのオッドアイが、ボクを捕らえている。紅潮した頬が、すーっと近づいてくる。熱すぎる吐息。強引で暴力的なキスを押しつけられた。破滅の光が、ボクを焼きつくす。

「ダルクくんがネオドミノに来てから、私に向ける視線が少なくなった。精霊や遊星たちばかりに意識が向けられて、私は寂しくなってきたの。2人きりで暮らしていたころが幸せだった。ネオドミノなんかいらない。ダルクくんが興味を持ちそうな世界は、何もかも消していくよ」

「アウス。何を言っているの? そんなことを考えていたの?」

「うん。ダルクくんは、私だけを見ていればいいの。誰もいなくなった世界で、たっぷりと愛しあおうよ。少しだけ待っていてね。まずはネオドミノを無にするから」

 見慣れている笑顔が歪んだ。《デーモン・ビーバー》の両目が輝きだす。ボクを抱きしめていた力が、ふっと消滅した。アウスがいなくなっていた。ここから別場所へと空間転移したのだろう。クリクリー! ハネクリボーが頬を突いてきた。アウスは悪いものに憑かれているだけ。そう励ましてくれているようだ。分かっているけど、あのセリフは深層心理から来たものだろうか。知らないうちに、アウスに寂しい思いをさせていたかもしれない。ジャックが近づいてきた。

「ダルク。ネオドミノを消すと言っていたが、そんなことができるのか?」

「あの《デーモン・ビーバー》を見たでしょ? 空間を自在に操るための機械装置なんだ。あれらが大量発生したという証言もある。広域空間を消してしまえるかもしれない。俺が知っているアウスは、誰かを殺そうとしない。彼女に憑いているものから救いたい」

「ライトニングと同様の気配が生じていた。冥界神のごとく、操っているのだろう」

「一刻も早く急がなくちゃ。シティが危ないんだ。まずは、アウスを探すよ」

 ネットツールで情報収集するのは、時間がかかるだろう。パトロールに通報してみようか。牛尾さんなら分かってくれるだろう。クリボー号に乗りながら、思考をめぐらしていく。D・ナポレオンも機体先に乗ってきた。黒羽を突きだして、何かを示そうとしている。ダークネスには不思議な力がある。彼女の転移先が分かるのだろうか? アルマも目覚めており、不安そうにしている。



 ダルクくん、助けて……。抱きしめられたとき、そんな声がかすかに届いた。



 ダークネスのナビゲーターに従いながら、ハイウェイを高速疾走していた。サテライト地区の郊外へと向かっているみたいだ。ジャックもついてくる。じわじわと曇天が下りてきそうだ。向風が湿っていて、圧迫されるように重々しい。時間が淀んでいるかのようだ。

「最高の親友同士なのか。ならば、彼女を救えるのはお前しかいまい。デュエルで仲間への思いを通すんだ! 勝つことが勝利ではない。取りもどすことが、真の勝利だ!」

「ありがとう、ジャックさん。そのためのデッキも組んだよ。ファラオたちに負けられない……」

 山々が視界に浮きあがってくる。雲霞のごとく、《デーモン・ビーバー》らしきものが飛びまわっている。近づくにつれて、その姿が明確になってきた。アウスがノートパソコンを操作している。無邪気な仕草に不安を感じてしまう。ボクは腕をかかげて、大量の虹色球体を湧きださせた。ヨグ・ソトースの仔としての特殊能力だ。ジャックが呆然と見上げるも、疑問を挟んでこない。虹色球体を《デーモン・ビーバー》たちに撃ってみるも、どれも命中しない。空間が捩れこみ当たらない。

「ダルクくん? 場所を教えなくても来てくれたんだ。ここは最適だよ。邪魔も入らず、大量の《デーモン・ビーバー》を動かせやすい。もうすぐ、私たち以外は消えるよ。そこのジャック・アトラスとやらもね。シティは荒野になるの」

 ボクの聴力を知っているアウスは、遠くから小さく話しかけてきた。その声も大きくなってきている。D・ホィールを進めていき、すぐにもブレーキをかけた。アウスの近くで止まっていく。降りて、ノートパソコンを叩きおとした。疑問いっぱいの表情を向けてくる。

「もう、止めてよ! アウスはそんなこと、しちゃいけない!」

「それは私のセリフだよ。どうして邪魔をするの? 全てを、私たちの愛で埋めつくそうよ」

 悲しそうな眼差しは、すぐにも狂気に上書きされた。オッドアイが濁ったように錯覚してしまう。アウスの行動は揺れているように感じられる。とんでもない行動を吐きながらも、助けを求めてきたんだ。彼女の魂は、憑いているものに抵抗しているのだろう。ジャックの言うとおり、魂のデュエルするしかないようだ。アウスを取りもどすためにも。

「頼みがあるんだ。ボクとデュエルをして。負ければ、君に逆らわない」

「そういえば、ダルクくんと真剣デュエルをしていないわね。いいわ……」

 アウスは操作装置を仕舞いこんだ。中身が特殊空間になっており、大量につめこめる鞄にへと。ヘルメットをかぶり、アウスはD・ホィールに乗りこんだ。ライディング・デュエルが始まろうとする。2人でハイウェイへと走っていく。背後からは、ジャックも疾走しながら見守ってくれている。



『デュエル!』



【1ターン目:アウス】LP4000、ドローフェイズ後の手札6枚

「私の先攻、ドロー。手札から《サンダー・ドラゴン》を捨て、デッキから《サンダー・ドラゴン》2体を手札に加える。モンスター1体を裏側守備表示でセット。カード1枚をセットして、ターンエンド」

 さすがは、アウスとしか言いようがない。機体性能が抜群に違いすぎる。クリボー号を駆使しても、追いぬかせそうにはない。このスピードフィールドは普通じゃない。ぞくぞくと嫌な気配が湧きだしてくる。敗者を飲みこもうと、化物が大口を開いているようだ。



【2ターン目:ダルク】LP4000、ドローフェイズ後の手札6枚

(フィールド)
アウス:モンスター1体を裏側守備表示でセット。魔法&罠カードゾーンにカード1枚がセットされている。

スピード・カウンター:アウス&ダルク+1


「俺のターン、ドロー。《アルパカマン・ブラウン:攻撃力1900・Lv4》を召喚。セットモンスターに攻撃するよ!」

 戦闘破壊に成功できれば、デッキから攻撃力1500以下の《アルパカ》を特殊召喚できる。着ぐるみのサングラスが、巨漢を突進させていく。《ジェムゴーレム:守備力2000・Lv4》が岩腕を振りあげて、弾きかえしてきた。宝石が埋めこまれているせいか、全身が煌いている。100ポイントの反射ダメージを受け、自分ライフは3900ポイントへと押されていく。

「《ジェムゴーレム》のリバース効果を発動。《ジェムナイト》を除く《ジェム》と名のついたモンスター、《ジェムドラゴン》をデッキから手札に加える」

「カード3枚をセットして、ターンエンド」



【3ターン目:アウス】LP4000、ドローフェイズ後の手札7枚

(フィールド)
アウス:《ジェムゴーレム:守備力2000・Lv4》が守備表示。魔法&罠カードゾーンにカード1枚がセットされている。

ダルク:《アルパカマン・ブラウン:攻撃力1900・Lv4》が攻撃表示。魔法&罠カードゾーンにカード3枚がセットされている。

スピード・カウンター:アウス&ダルク+2


「私のターン、ドロー。スピード・カウンターは2つある。《Sp-エンジェル・バトン》を発動。デッキからカード2枚をドローして、手札から《ジェムドラゴン》を墓地に送る。《Sp-カウントアップ》を発動。手札の《サンダー・ドラゴン》2体を墓地に送り、スピード・カウンターを合計4つアップさせる」

「スピード・カウンターは4つ以上になった。《Sp-スピード・フュージョン》を発動。手札の《ジェムナイト・クリスタ》と《ジェムナイト・ガネット》を融合して、《ジェムナイト・マディラ:攻撃力2200・Lv7》を攻撃表示で融合召喚!」

「《ジェムナイト》の融合召喚に成功したので、墓地から《ジェムドラゴン:攻撃力1600・Lv4》を特殊召喚するよ。《ジェムドラゴン》は、1ターンに1度しか特殊召喚できない。《ジェムナイト・マディラ》で《アルパカマン・ブラウン》を攻撃! このカードが攻撃する場合、相手はカード効果を発動できない。《クリボー》も使えなくなるね」

 スピード・カウンターを増したアウスは、より速く飛ばしていく。《ジェムナイト・マディラ》がマグマソードを振りおろしてきた。《アルパカマン・ブラウン》は斬られてしまい、燃えながら路面を転がっていく。300ポイントの戦闘ダメージを受けて、ボクのライフも3600ポイントまで燃やされた。

「《ジェムドラゴン》でダイレクト・アタック!」

「手札から《クリボー》を捨て、戦闘ダメージを0にするよ」

 クリーッ! 宝石塗れのドラゴンが体当たりしてくるも、巨大化した《クリボー》が受けとめてくれた。アウスが逡巡している。伏せカードは、《輝石融合》か《ジェムエンハンス》だろうか。もしかすると、追加攻撃をしようとしているのかもしれない。手札には《エンジェリック・クリボー》があるから、戦闘ダメージは無効にできるけどね。アウスもボクを観察している。気をつけなければ。

「モンスター1体を裏側守備表示でセットして、ターンエンド」

 アウスの背中が見える。背後から、奇妙な霊体が迫ってきた。何だろう、こいつは?





【エピソード6-古代神官の宴・その10】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。