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CROSS-125 卑劣なる魔術師ジョゼフ・カーウィン

遊☆戯☆王5D’s DVDシリーズ DUELBOX【3】遊☆戯☆王5D’s DVDシリーズ DUELBOX【3】
(2009/03/18)
宮下雄也、星野貴紀 他

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 ベクターも引くほどの悪役かな。

「罠カード《補充要員》を発動。自分墓地から攻撃力1500以下の通常モンスター3体を回収する。これで、《エグゾディア》が完成するぞ! 私の勝ちだ!」

「そろわせねぇよ! 手札から《D.D.クロウ》を捨て、あんたの墓地から《封印されし者の右腕》を除外するぜ! 伝説のモンスターは拝めなくなったが、ひとまずは助かったようだな」

「私が負けただと……。私の最強デッキが……」

 爬虫類のような両目を剥きながら、決闘者が崩れていく。除外対策はしていないようだ。《エグゾディア》は特殊勝利をもたらしてくれる。制限カードである各パーツが欠ければ、敗北は必至となるだろう。右手甲のスフィンクスサインが揺らぎだした。スフィンクスの使徒は敗北すると、元いた世界へ戻されるようだ。空間が渦巻いて、決闘者が吸いこまれていった。
 


「クロウさんは強いのです。《エクゾディア》に勝っちゃいました」

「応援ありがとな。これでも、けっこうヒヤヒヤしていたんだぜ」

 得意気な笑顔を見せると、クロウがブラックバード号に乗りだした。私も背中に乗せてもらう。D・ナポレオンもしがみついてきた。通りにはデュエルゾンビがあふれている。それだけでも困ったさんなのに、スフィンクスの使徒までもが襲いかかってくる。周囲を見渡せば、数十人のゾンビが倒れこんでいる。私とクロウでやつけたのだ。起きあがらないうちに、クロウがアクセルを踏みこんだ。

「アルマもやるじゃないか。大人しそうなのに、容赦なく攻めていくタイプなんだな」

「クロウさんほどじゃないですよ。《BF》には敵いません」

 デュエルゾンビを生みだしているポイントには、遊星とジャックが向かっているようだ。私たちは別方向へと疾走している。イカスミを混ぜこんだ綿菓子みたいだ。空全体を覆っている大陸雲が、魔神のごとき顔容を成していた。ゾーク・ネクロファデスが降臨する兆候かもしれない。ダークネスの指示に従いながら、D・ホィールが一般車道を進んでいく。

 一般車道には自動車が乱雑に止められている。隙間をぬぐいながら、器用にブラックバード号が走っている。頼もしい背中をしているんだな。厳しい環境にも負けないで、子供たちの面倒を見てきたんだ。こんな状況だというのに、あまりにも意識を緩めすぎていた。D・ナポレオンが騒ぎだすまで気づかなかった。衝撃波が襲ってきたことに。


 視界一面が真白に塗りたくられた。


 私たちは交差点広場に倒れていた。クロウのテクニックで避けられたけど、ブラックバード号は横倒しで転がっている。爆風により吹きとばされたようだ。ダークネスがバリアを張ってくれたのか、予想以上に損傷はしていない。クロウも立ちあがれるようで安心なのです。

「アルマ! 大丈夫か!?」

「この程度で怪我なんてしませんよ。平気なのです」

 一息を吐くと、クロウは前方を睨みつけた。襲撃者はこいつなのですか。ハンサムな金髪青年であるが、双眸は醜悪そのものだ。子供時代に叩きつけられた罵倒が、泡となって浮かびあがってくる。心臓が捻られそうだ。こびりついたトラウマを吹きとばすように叫ぶ。

「ジョゼフ・カーウィン! あなたもファラオとグルだったのですね!?」

「久しぶりと挨拶をしておこう。ファラオはナイアーラトテップと契約した存在である。我らの駒にすぎない。アルマ・ウェイトリィ。君は自分自身の肉体を取りもどしたようだね。これはこれは興味深い。ヴルトゥームがいれば計画は完遂される。ヨグ・ソトースの仔としては劣っているが、アルマは研究対象として回収したいものだ。世界の根源と結びついた存在であるからな。それなりに利用できる。ついでに、頭の悪そうなシグナーも頂いておこう」

「あいかわらず、むかつく野郎だな。胸糞が悪くなるぜ!」

「小汚いカラス風情が吠えあがるな。この世界の原理に基づいて、闇のデュエルとやらで勝負してやろうではないか。ただのカードゲームかと思えば、この世界群では魔術のごとき働きをしてくれる。探究心がそそられるよ。2人がかりで挑んできたまえ」

「いいぜ! そのデュエルを受けてやるぜ!」

 タッグパートナーと頷きあった。クロウだけでも倒せそうな相手だけど、ジョゼフは妙に自信満々だ。嫌な予感がしてしまう。闇属性使いという共通点もあり、クロウとは相性もいい。デュエルゾンビとの戦いを通じて、コンビネーションも高まっている。私自身に刻まれているトラウマが問題であろうか。ダークネスが見あげてきた。ジョゼフの罵倒により劣等感塗れになってしまった。乗越えなければいけない。お兄ちゃんに追いつくためにも。



『デュエル!』



【1ターン目:ジョゼフ】LP4000、ドローフェイズ後の手札6枚

「私が先攻のようだ。ドロー。魔法カード《闇の誘惑》を発動する。デッキからカード2枚をドローして、闇属性モンスター《ティンダロスの猟犬》を手札から除外しておこう。カード1枚をセットする。《サクリファイス・チルドレン:攻撃力0・Lv1》を召喚!」

 幼い少女が浮かびあがった。クロウが息を飲みこむ。マーサハウスにいたアニーちゃん? 不安そうに眺めまわしていたが、クロウを見つけると駆寄ろうとしてきた。しかし、リングに囲まれて身動きもできないようだ。ぶるぶると泣きだした。

「ここどこなの? 息苦しいよぅ。クロウお兄ちゃん! 助けてよ! ここから出られない!」

「ジョゼフ! これはどういうことだ!? 説明しやがれっ!」

「デュエルモンスターズは魔術の可能性すらも広げてくれるようだ。このガキとモンスターカード《サクリファイス・チルドレン》を融合してみた。面白いだろう? さぁ、遠慮なく攻撃をするがいい。カード効果で破壊をするがいい。《サクリファイス・チルドレン》へのダメージは、ガキへと伝わっていく。ショックで死ぬかもしれないなぁ。君たちが攻撃表示でモンスターを召喚すれば、私は《サクリファイス・チルドレン》で攻撃を仕掛けよう。それにしても、五月蝿いガキだ」

 ジョゼフがアニーを殴りつけた。苦しそうに少女が屈みこむ。お兄ちゃんも私も、こいつから暴力を受けたんだ。痛覚がなくとも、親代わりから殴られて苦しかった。クロウが怒号をあげ走りだす。ジョゼフが右手を突きだして、衝撃波を撃ちこんだ。クロウが倒れこむ。

「ふん! さすがは鳥頭といったところか。単細胞に突っかかってきやがった。地面に伏している姿は、実にお似合いだよ。教えておこう。デュエル以外の方法では、このガキを助けだせない。そういう風に魔術を組みこんであるのだ。忘れないようにメモしたまえ。ターンエンド」



【2ターン目:クロウ】LP4000、ドローフェイズ後の手札6枚

(フィールド)
ジョゼフ:《サクリファイス・チルドレン:攻撃力0・Lv1》が攻撃表示。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。


「ちくしょう! どこまで卑劣なんだ! デュエルを進めるしかないのかっ! 俺のターン、ドロー。モンスター1体を裏側守備表示でセット。カード2枚を伏せて、ターンエンド」

 アニーが縮こまっている。その頬が腫れあがっている。ぽろぽろと涙が零れている。クロウが歯軋りをしている。モンスターを攻撃表示で出せば、あの子を突撃させるだろう。《サクリファイス・チルドレン》へのダメージは、実体としてアニーを穿っていく。このためだけに、アニーをさらったのだろうか。マリク以上の最低野郎だ!



【3ターン目:ジョゼフ】LP4000、ドローフェイズ後の手札5枚

(フィールド)
ジョゼフ:《サクリファイス・チルドレン:攻撃力0・Lv1》が攻撃表示。魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。

クロウ:モンスター1体を裏側守備表示でセットしている。魔法&罠カードゾーンにカード2枚をセットしている。


「どう反応するか楽しみにしていたが、予想以上に大人しいじゃないか。気にせず攻撃していれば、君は勝てたかもしれない。こんなガキすらも犠牲にできないのかね? 私のターン、ドロー。永続罠《闇次元の解放》により、《ティンダロスの猟犬:攻撃力2500・Lv6》を特殊召喚する。異次元から呼びだされた《ティンダロスの猟犬》は、相手フィールドのカード1枚を破壊する」

 建物と地面が織りなす直角から、肉隗が湧きだしてきた。犬とは似つかないバケモノが跳びだす。どろりとした液体を、全身から滴らせている。何という悪臭であろうか。クロウも鼻を押えこんでいる。注射器のような口を伸ばして、仕掛けられたトラップ《ブラック・バック》を貫いた。

「儀式魔法《ヴォィニッチ写本》を発動。《サクリファイス・チルドレン》1体を生贄とすれば、あらゆる儀式召喚が行なえる。《サクリファイス・チルドレン》をリリースして、《異世界の肉食者:攻撃力2400・Lv6》を儀式召喚。セットモンスターを攻撃する」

 ヘドロが地面から噴きあがり、アニーを飲みこんでいった。少女の絶叫があがり、クロウが叫びだす。巨大肉隗が膨れあがる。いくつもの内蔵を貼りつけたようなグロテスクさ。大量の触手が波打っている。頭頂部から眼球が見下ろしてきた。ワンピースの少女が、うっとりとした表情で肉隗に座りこんでいる。彼女が微笑むと、次々と触手が撃ちだされた。

「《異世界の肉食者》が相手モンスターを戦闘破壊したとき、そのモンスターを墓地から除外する。自分ライフを1000ポイント回復させて、攻撃力を1000ポイントアップする。君を守るモンスターはいなくなった。《ティンダロスの猟犬》でダイレクト・アタック!」

 《異世界の肉食者》が捕らえたのは、伏せられていた《BF-銀盾のミストラル:守備力1800・Lv2》。大口に放りこんで、じっくりと咀嚼しだした。その攻撃力が3400ポイントにまで上昇していく。クロウのフィールドが空けられた。《ティンダロスの猟犬》が跳びかかってくる。心配はいらない。《BF-銀盾のミストラル》の精霊が、クロウを守ってくれているから。

「《BF-銀盾のミストラル》が戦闘で墓地に送られたターン、1度だけ戦闘ダメージを0にする!」

「さすがは下等生物。しぶといじゃないか。ターンを終了するぞ。エンドフェイズだ。儀式召喚の生贄にされた《サクリファイス・チルドレン:守備力0・Lv1》は蘇る」

 《BF-銀盾のミストラル》に弾きかえされた《ティンダロスの猟犬》が唸っている。光柱が昇りあがり、アニーが浮かびあがってきた。生気が表情から抜けきっており、涙跡が痛々しい。クロウが拳を震わせている。怒りで爆発しそうだけど、彼女を救うためにも冷静にならなければいけない。クロウは憤怒に染まっているからこそ、私がしっかりしないといけないんだ。



【4ターン目:アルマ】LP4000、ドローフェイズ後の手札6枚

(フィールド)
ジョゼフ:永続罠《闇次元の解放》により特殊召喚された《ティンダロスの猟犬:攻撃力2500・Lv6》&《異世界の肉食者:攻撃力3400・Lv6》が攻撃表示。《サクリファイス・チルドレン:守備力0・Lv1》が守備表示。

アルマ:魔法&罠カードゾーンにカード1枚をセットしている。


「私のターン、ドロー。モンスター1体を裏側守備表示で伏せておきます。カード3枚をセットして、ターンエンドなのです。どうしよう……。私では防ぎきれませんよぅ」

 大仰に慌てふためいた。ジョゼフは私を見下している。油断するがいいのです。アニーを救いだす準備は、可能なかぎり整えておきました。クロウさんに託します。



【5ターン目:ジョゼフ】LP5000、ドローフェイズ後の手札4枚

(フィールド)
ジョゼフ:永続罠《闇次元の解放》により特殊召喚された《ティンダロスの猟犬:攻撃力2500・Lv6》&《異世界の肉食者:攻撃力3400・Lv6》が攻撃表示。《サクリファイス・チルドレン:守備力0・Lv1》が守備表示。

アルマ:モンスター1体を裏側守備表示でセットしている。魔法&罠カードゾーンにカード4枚をセットしている。


「私のターン、ドロー。儀式魔法《センティネル丘の祭壇》を発動。《サクリファイス・チルドレン》をリリースして、《名も無きヨグ・ソトースの仔:攻撃力2600・Lv7》を儀式召喚する。リリースしたぐらいでは、このガキは死なないようだ」

「《ナイト・ゴーント:攻撃力1700・Lv4》を攻撃表示で召喚。モンスター効果を発動。このカードと守備モンスター1体をデッキに戻す」

 アニーが白目を剥きながら、ヘドロに喰われていく。黒悪魔が羽ばたきながら降りてきた。顔がないようで、皮膚はゴムみたいだ。セットしていた《暗黒界の番兵レンジ:守備力2100・Lv4》を抱えて、どこかへと飛びさっていった。

 丸太状の脚幾本に支えられながら、ゼリーのごとき肉隗が立ちあがる。たくさんの触手が踊っている。肉隗の天辺からは、西洋人の男性顔が哂いあげていた。こいつが《名も無きヨグ・ソトースの仔》なのですか。不愉快なプレッシャーに圧されてしまう。私の異母兄弟が敵対してくるから。

「《名も無きヨグ・ソトースの仔》でダイレクト・アタック!」

「ジョゼフ・カーウィン! 調子の乗りすぎて、油断しすぎなようですね。罠カード《聖なるバリア-ミラーフォース》を発動! 攻撃モンスター全てを破壊するのです」

 純白の輝きがモンスター3体を飲みこんだ。それでも、ジョゼフは嘲笑を湛えている。

「この程度で、私の戦略は揺らがない。発動され墓地に送られた《ヴォィニッチ写本》を除外して、《名も無きヨグ・ソトースの仔:攻撃力2600・Lv7》を墓地から特殊召喚する。ターンエンド。《サクリファイス・チルドレン:守備力0・Lv1》も復活する」

 《名も無きヨグ・ソトースの仔》がけたたましく咆哮した。アニーはフィールドに戻されると、うつむけに倒れだした。ちっちゃな背中がケイレンを繰りかえしている。限界も近いのだろう。ジョゼフがアニーを脚蹴りにした。仰向けにして表情を確認しているようだ。こんなに幼いのに、恐怖と絶望で染まりきっている。でも、生きているんだ。クロウに視線を送った。待っていてね。白馬の王子様が、あなたを絶対に救いだすから。





【エピソード7-最終決戦・その7】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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