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CROSS-135 暗黒のファラオ

遊戯王 1 (集英社文庫―コミック版)遊戯王 1 (集英社文庫―コミック版)
(2007/04/18)
高橋 和希

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 ユベル(平行世界ヴァージョン)の過去話と共通している部分があります。

 大神官セトがディアディアンクをかざして、厳粛に祈りはじめた。古代エジプトでの決闘盤であろうか。魔物彫刻の施されたウェジュが起きあがる。そこから、《青眼の白龍》が召喚された。力強さだけでなく、美しさにも満ちあふれている。ブルーアイズから注がれる眼差しには、恋人への想いがつまっている。その威容にファラオがたじろいだ。

「キサラ……」

 石造りの神殿が、松明により照らしだされている。キサラはエジプトでは珍しい白色人種であった。青眼は大空のように澄んでおり、銀髪は月のように輝いていた。奴隷として虐められていたところを、セトが助けだしたようだ。アクナディンの反対を押しきってまで、2人は惹かれあった。蜜月というものは、あまりにも短い。キサラは産まれつき体力もなく、流行病に耐えられなかった。少女の魂は《青眼の白龍》となり、愛する男性を見守りつづけている。

 青年は悲しみに沈んでいたが、時間をかけながらも乗越えていった。いつのまにか、表情に慈悲というものが宿りだす。その眼差しが眩しすぎた。ファラオはディアハに敗北してしまった。先代ファラオだけでなく、兄までをも失くしている。ファラオに祭りあげられた少年は、あまりにも未熟すぎる。彼を鍛えあげるためにも、大神官たちは必死になっているようだ。

「《オベリスクの巨神兵》さえ召喚できるようになれば、ディアハで勝てるのに……」

 ファラオは落ちこみながら、愚痴を零した。親友の弟に、マハードがアドバイスをかけだす。アテムは仰っていた。弟は自分よりも才能があると。《小さき毛玉のカー》と通じあえれば、どこまでも強くなれると。マナが駆けよってきて、ファラオを抱きしめるように慰めてくれた。アテムの幼馴染であり、マハードを慕っている少女である。明るくて太陽のようだ。ファラオは彼女に、ほのかながらも想いを抱いていた。いずれは結ばれたいとさえ願っていた。



 アヌビスたちが、耳打ちあっていた。セト様こそがファラオにふさわしいと。アクナディンが叱りつけたものの、内心では愉快そうであった。ファラオは弱々しくて頼りない。セトへの支持は、密かにして高まっていくばかり。従者どもが慇懃無礼に接してくる。ファラオは劣等感に苛まわれていた。そして、焦りすぎた。エル・クルナ村出身であった占星術師が、魔導書を隠しこんでいたようだ。偶然にして、ファラオが倉庫から見つけだしてしまった。

 ナイアーラトテップを呼びだす魔法陣が、そこに記されていた。

 邪悪なる占星術師も、その魔導書を慎重に扱っていたようだ。危機感が薄いせいであろうか。ためらいもせずに、ファラオは魔法陣へと祈りをこめた。何事も起こらず、たんたんと時間だけが過ぎていく。ファラオが落胆しだしたとき、名状しがたき気配が迫ってきた。手先が震えだして、死への恐怖がせりあがってくる。神獣が浮かびあがっていた。三重冠をかぶっており、顔部分は空洞となっている。そいつは、顔無きスフィンクスと名乗った。

 顔無きスフィンクスはファラオに興味を抱きだした。とてつもない魔力を眠らせていることに。ファラオは契約を果たして、絶大なる魔力を解放つ。ディアハでセトを敗北にまで追いこめた。しかし、魂を代償として失うことになる。顔無きスフィンクスが、愛玩用ホムンクルスというものを召喚してくれた。底無しの快楽に溺れていくなかで、少年は壊れていった。少女人形だけでは飽きたらず、さらった子供までをも欲望の生贄にしだした。

「あなたは何をしておられるのですか!?」

 人払いの結界が張られているはずなのに、マハードが広間に入ってきた。そこに広がっていたのは、血の狂宴であった。こんな姿を見られたくない。快楽から目覚めたファラオは、魔力を暴走させてしまった。気がつけば、愛玩用ホムンクルスたちもマハードも息絶えていた。マナが師匠についてきたようだ。彼女は悲鳴をあげて、動かなくなったマハードを抱きしめる。ファラオが声をかけるも、拒絶されてしまった。状況を理解しだしたマナは、憎悪と罵倒を吐きだした。徹底的な言葉に刺されたとき、ファラオはマナの首を絞めていた。

 顔無きスフィンクスが手伝ってくれたおかげで、大邪神ゾーク・ネクロファデスを呼びだせた。エル・クルナの廃墟にて、ファラオは忌まわしい祭祀を行ないだす。マナを喪うことにより、ファラオは暗黒へと沈んでいく。何もかもを破壊したかったのだろう。大量殺人だぁ! セトが率いる王宮軍団は、多大なる犠牲者をだしながらも、ゾークを封印させられた。顔無きスフィンクスを追放して、ファラオのソウルを千年ピラミッドに封印できた。


 数千年後の日本にて。


 武藤遊戯が千年ピラミッドを組みたてた。ファラオへの封印は解かれて、遊戯と肉体共有をすることになった。天真爛漫な少年である。彼の周囲には、城ノ内や杏子という親友であふれていた。ゲームが大好きなようだ。明るい性格をしており、クラスメイトを引張ってる。そんな遊戯は、ファラオを受けいれてくれた。もう1人のボクとして。

「《サーチ・ストライカー》でダイレクト・アタック! クズはさっさとオネンネしなっ!」

 牛尾哲は風紀委員としての権力を振りまわしていた。虐めを解決するのはいいが、ボディーガード料金としてレアカードを要求してくるのだ。花咲は困っていた。プロレス好きな男子生徒から助けだされたのはいいが、大量に請求されていたから。牛尾に虐められているようなものである。武藤遊戯は牛尾をデュエルで倒して、花咲を救いだした。ファラオは驚愕するしかない。はるかなる未来世界でもディアハが行なわれていることに。

 遊戯の友人は増えていくばかり。名蜘蛛コージから助けだしたのが縁であろうか。遊城十代という小学生が慕ってきた。精霊ユベルが、ファラオに警戒心を抱いていたようだ。

 海馬コーポレーション。戦前から続いているという玩具会社であり、海馬剛三郎が社長を務めていた。彼の夢は、世界の子供たちを苦難から救いだすこと。剛三郎は肺癌により亡くなったが、海馬瀬人が受継いだ。傲慢ながらも心優しき少年である。ビッグ5にサポートされながら、子供たちのために邁進していた。デュエルを通じて、遊戯は海馬との友情を深めていった。ファラオは気がついた。海馬瀬人がアイツの転生体であることに。憎々しい! どいつもこいつも、笑顔であふれていやがる! 何もかもを壊してやりたい! ファラオの侵攻が始まろうとする。

「記憶のピースがそろった。思いだしたぞ! 俺はファラオだ! 暗黒のファラオだ!」

 バトルシティの決勝戦にて、ファラオは本性を露わにした。海馬瀬人を闇世界に沈ませて、マリク・イシュタールをデュエルタワーから突きおとした。三幻神をそろえたとき、ぼやけていた記憶は完全復活をした。武藤遊戯の魂を喰らって、肉体を強奪した。顔無きスフィンクスがタイミングよく戻ってきた。次元の裂目が開いて、グロテスクなモンスターがども侵入してきた。ファラオは大邪神を復活させる。宴の供物として、人類の大半が喰われつくした。



「ナビゲーションを呼びだすためのアイテムか。プレイヤーがアイテムボックスに収納しないでおくと、NPCが拾うこともあるからな。それを使って、顔無きスフィンクスを召喚してしまったか。どこの馬鹿が置きっぱなしにしていたんだ?」

「顔無きスフィンクスは、とんでもない愛玩用ホムンクルスを呼びだしたんだな。外見年齢は12歳前後。全身から快楽物質を染みださせる。肉体の自動修復が可能なうえでの、被虐な性格設定。こんな代物を思春期少年に与えたら、精神が崩壊するのも無理はないよなぁ。本人の欲望を叶えてやるためとはいえ、選択を間違えているよ」

 矮躯が黒衣により包みこまれている。黒焔が全身を覆っている。旧支配者の化身(アバター)が、顔無きスフィンクスにより呼びだされた。ファラオを観察しているのだろうか。何を言っているのか分かりにくいが、嘲笑っているようだ。

「あんたもウルタールと契約をして、ナイアーラトテップの使徒になれた。完全とはいえないが不老不死にもなれ、絶大なるパワーも得られたわけだ。おめでとう! 力の対価として、あんたには義務が発生する。ダルクの敵役として丁度いいねぇ。純情無垢な子供を成長させるには、下衆野郎は刺激になってくれる。それなりに働いてもらうよ」

 フードが下げられて、レッドカラーのショートヘアーが露わになった。炎型の髪飾りをつけている。蠱惑的な少女だ。満面笑顔に苛つかされるものがあるが、ファラオは逆らえない。ゾークをも超える灼熱地獄が、彼女から伝わってくるから。



 とある異世界のニューヨークにて、ファラオはRPGのボスキャラを演じていた。旧支配者の台本通りに。大邪神を暴れさせて、ダルク・ウェイトリィに目撃させるのだ。ナイトシティの惨劇に興奮をかきたてられるも、それ以上のモノに出会えた。少女が虹色球体群を撃ちだして、ゾーク・ネクロファデスを倒してしまった。王宮軍団でさえ手こずったのに、瞬時に穴だらけにしてしまうとは。少女人形が七色に照らしだされている。ただただ、見蕩れてしまう。ゾークは復活を果たして、ゾーク・インフェルノを放ちだす。少女は吹きとばされて、瓦礫へと叩きつけられた。

「旧支配者ヨグ・ソトースの仔か。なるほど、人間とは違うわけだ」

 衣服がボロボロとなり、あちらこちらから玉虫色の泡を湧きださせている。恍惚とした表情を垂らせながら、肉体を自動修復させているようだ。ヨグ・ソトースの仔というが、特別製の愛玩用ホムンクルスとも考えていいだろうか? 少女が見上げだす。

「君は誰なの?」

「人々からは、暗黒のファラオと恐れられている。真名は教えてやらないが、この肉体は武藤遊戯という男のものだ。大邪神ゾーク・ネクロファデスの主と、自己紹介してやるぜ」

「ニューヨークの人たちが犠牲になったのも、君の仕業なの?」

「ゾーク・ネクロファデスを強くするためにな。餌になってもらったよ。面白いだろう? 貴様には、大いに興味がある。洗脳をくだして、我が手下にしてくれよう」

「そんな……。人間を犠牲にするなんて許せないよ!」

 愛らしい小鳥声で怒鳴りあげる。ダルクの怒りを引きだせたようだ。ネオドミノを舞台にしたRPGが始まる。操作領域を広げるために、ダルクを精神成長させなければいけない。この世界におけるデュエルモンスターズは、ほどよく魂を刺激してくれる。私自身も楽めるものだ。そう赤髪少女が漏らしていたように覚えている。どうでもいい。ダルクを玉座から観察しながら、愛玩用ホムンクルスの美味を思いだしていく。RPGは最終段階を迎えて、ファラオはダルクと闇決闘をしている。こいつの精神を燃やしつくして、俺のものにしてやるよぉ!



 ファラオの記憶が流れこんできた。吐気がこみあげそうになる。古代エジプトでのファラオは、武藤遊戯とは似つかない地味少年であった。こいつも犠牲者といえるだろう。黒衣の旧支配者が、はっきりと素顔を晒していた。心臓が動揺しだす。巨大砂時計が高速回転をして、時間が巻戻されていく。蜘蛛糸に締めあげられて、今にも割れてしまいそうだ。



【2ターン目:ファラオ】LP4000、手札0枚

(フィールド)
ダルク:魔法&罠カードゾーンにカード2枚をセットしている。

ファラオ:《神祖・オベリスクの巨神兵:攻撃力5000・Lv12》&《真・オシリスの天空竜:攻撃力5000・Lv12》&《真・ラーの翼神竜:攻撃力8600・Lv12》が攻撃表示。


 三幻神がそろっている。倒したはずなのに……。

「少しだけ時間を戻させてもらったよ。本当のファラオを見せてやる。希望から絶望の底へと落としてやる。貴様を完全敗北させて、徹底的な屈辱を刻んでやるよ。ファラオの名のもとに、神を束ねる! 我が名は暗黒のファラオ……」

 ファラオがカルトゥーシュを握りあげる。闇色に輝きながら、ヒエログリフが刻まれていく。


『ネフレン=カ!』


「それが、君の真名……」

 三幻神が《闇の破壊神 ダーク・ホルアクティ:攻撃力10000・Lv12》へと融合されていく。黒い鳥女神といった容貌であろうか。巨大スクリーンを通して、遊星さんたちの動揺が伝わってくる。ゾーク・ネクロファデスに乗りながら、黒衣の旧支配者が哂いあげていた。





【エピソード7-最終決戦・その17】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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