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TF-120 ウィンのロスト・メモリー

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コナミ

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 次回から新章に突入します。宮田ゆまが主人公の、アナザー・エピソードも書いていきます。

 ガレー船が青空を昇っていく。縞瑪瑙で舗装された大通りには、たくさんの人々が行きかっている。交易商人や船員でいっぱいだ。危険な奴隷商人もいるので、一人で出歩いてはいけません。ママが五月蝿いので、ウルタールの猫さんたちを連れている。言葉も喋れるだけでなく、ムーンビーストを倒せるぐらい強いのだ。ちっちゃいのに。

「あなたは偉大なる夢見人、ランドルフ・カーターの子孫です。自覚を抱いてください」

 だらしがない行動をすると、コイツらも喧しくなる。ランドルフ・カーターの物語は、ママから何度も聞かされている。ドリームランドを大冒険した人だという。彼の因子を読みこんで、神々は子孫を残したらしい。その末裔が私である。



 インクアノクで暮らしていたママは、セレファイスに招かれた。クラネス王の後継者と結ばれて、私へと連なる。クラネスはコーンウォールを再現したという地域で隠棲している。時間の存在しない場所であり、建築物は摩耗もしない。住人も不老を保っているという。私は子供のままかと不安だったけれど、成長できるようで安心できた。早く大人になって、ママのように飛びまわりたいから。ナス=ホルタース様への祈りを忘れず、光明都市で日常を過ごした。セレニアンやウルタールへ旅行もでき、楽しい記憶であふれている。


 私が産まれてから12年目のこと。ナイアーラトテップの軍勢が攻めてきた。


 私を守ってくれた猫さんたちは皆殺しにされた。神々の末裔はさらわれて、ドリームランドから連れ出された。星の知恵派教団は、ハスターの宿主を探していたようだ。ジョゼフ・カーウィンにより、私は旧支配者と融合させられてしまう。額に眼球が開いて、灼けつくような激痛に見舞われた。あまりの苦痛に、私の精神は壊れたようだ。ママはハスターとの融合に耐えられず、グロテスクな肉塊に変えられた。ナイ神父により、ウィンという名前を与えられたのを覚えている。ジョゼフの娘となった私は、償いきれない罪を重ねていった。


「私と闇のデュエルをしましょう。痛みが実体化するなんて、素敵ですねぇ」


 ダルク・ウェイトリィの当馬として、ネオドミノにて決闘をさせられた。苦痛を与えることに快楽を覚えてしまい、少女たちを襲い続けていた。ツァン・ディレさんも、宮田ゆまさんも被害者に含まれている。三眼の魔女と恐れられたウィン・カーウィンは、十六夜アキさんに倒された。ハスターから解放されるも、罪を拭いきれただろうか。親友は赦してくれたが、それでいいのだろうか?



「レベル10《旧支配者ロイガー》と《旧支配者ツァール》でオーバーレイ・ネットワークを構築! 《外なる神ハスター・シャドー:攻撃力4500・R10・O×2》をエクシーズ召喚!」

「自分ライフが0であるかぎり、このカードは効果対象にならない。ORU1体を取り除いて、神なる能力を発動するわ。相手モンスター全てをバウンスさせる。そして、最高攻撃力のモンスターのパワー分だけダメージを与える。《ドラグニティナイト―バルーチャ》を手札へ戻して、2000ポイントのダメージを受けなさい!」

 ハスターは怪人姿に戻っていた。仮面奥の腐りきった双眸が哂っているようだ。触手塗れの暗黒怪物が飛びあがり、飛膜を震わせてきた。《ドラグニティナイト―バルーチャ》が吹きとばされて、私へと衝突する。ライフが1000ポイントにまで減らされてしまい、痛みが私を覚醒させる。ハスターとデュエルをしていたんだ。不思議な力により、閉ざされた記憶を見せられていたのですか。ツァン・ディレさんが心配そうに、私なんかを応援してくれる。あれだけの苦しみを埋めこまれても、友達でいてくれる。このデュエルに敗北すれば、また乗っ取られてしまう。

 そんなの絶対に嫌だ。

「《外なる神ハスター・シャドー》のモンスター効果により、黄衣カウンターをプラスワーン。あははっ! 記憶を思いだして、ショックを受けてやんの。このデュエルは勝てそう。ターンエンド」



【8ターン目:ウィン】LP1000、ドローフェイズ後の手札4枚

(フィールド)
ハスター:《外なる神ハスター・シャドー:攻撃力5000・R10・O×1》&《黄衣の王:攻撃力2400・Lv10・黄衣カウンター+2》が攻撃表示。フィールド魔法《異界都市カルコサ》&永続魔法《戯曲-黄衣の王》が発動中。

ウィン:無し。


「辛いですけど、あなたには負けませんよ。私のターン、ドロー。《ドラグニティ-ドゥクス:攻撃力1500・Lv4》を召喚。この召喚により、《ドラグニティ-ブランディストック》を墓地から装備します」

「永続魔法《竜躁術》を発動して、《ドラグニティ-ピルム》を手札から装備します。装備モンスターは直接攻撃ができます。《ドラグニティ-ブランディストック》により、連続してね」

「《ドラグニティ-ドゥクス》でダイレクト・アタック!」

 鳥人の指揮官が号令を投げつけると、飛竜たちが突進していく。《外なる神ハスター・シャドー》はスルー。《ドラグニティ-ブランディストック》の豪速アタックがヒットして、槍のごとき角先が喰いこむ。黄色い襤褸布をまとった怪人が、全身をくの字に曲げた。《ドラグニティ-ピルム》も続いての突撃。怪人姿が硝子のように割れて、金髪少女が地面に叩きつけられた。黄衣カウンターはダメージが与えられるたびに減っていく。0になったことで、ハスターの敗北は決定した。

「そんな……。クリスタルが破壊されるなんて……。もう、アバターを変えられないよ……」

 よく分からない言葉を漏らしながら、少女が睨んできた。遊牧民ぽい衣装から、赤紋様の描かれた細腕が伸びている。メニューウィンドウみたいのを指先から出して、必死に弄っているようだ。デュエルが終了したことで、《異界都市カルコサ》が解除されだす。不思議空間が割れていき、海馬コーポレーションの屋上に戻ろうとしている。



 その瞬間、私は見てしまった。ゾーク・ネクロファデスが上空へと投げられたのを。ドン・サウザンドが両掌を上向けて、混沌たる衝撃波を放った。赤紫色の輝きが、大邪神を容赦なく貪りつくす。骨も肉片も残さない。大きな砂時計が現れるも、それごと粉砕した。



「どうやら、我は力を使いすぎたようだ。休息を取るとしよう」

「ウィンと言ったな? 実に興味深い。貴様を観察対象としておこう」

 私を見遣ると、ドン・サウザンドは混沌竜巻に吸いこまれた。どうやら、どこかへ逃げたようだ。大邪神との激闘によるものか、表情には疲労が溜まっていた。遊星さんたち3人ですらも、敗北にまで追いこめなかった。ゾーク・ネクロファデスも完膚無きままに滅ぼされた。シグナーもバリアンも唖然としている。厄介極まりない存在が、ネオ・ドミノに解き放たれたのだ。綺麗な夕日が差しこんでくるも、不安が胸内を抉ってくる。

「ゾーク・ネクロファデスでも負けちゃうとはね。ここは撤退するしかない。ハスターもボクに入りなよ。君の存在は不安定だ。そろそろ、限界だろう?」

「そうみたい。ウィンを諦めたわけじゃないからね。覚えていなさいよ!」

 ハスターに走査線のようなものが、乱雑に走りだす。赤紋様の刻まれた顔を、苦しそうに歪めだした。肉体が大気に溶けていく。睨みを強めてから、ウルタールの背中にある赤輪に跳びこんだ。ウルタールの猫と名乗ってはいるが、偽名なのは間違いない。少なくとも、あんなのは見なかった。キャンサーやヴァルゴの記憶映像で目にしたアイツだろう。

「インキュベーター!」

 私の呼びかけに反応してか、くるりと振り返ってきた。小首を傾げると、何も言わずに去っていった。キャンサーが追いかけるも、逃げられたようだ。



 温かさが覆いかぶさってきた。ツァン・ディレさんが抱擁している。じっくりと、背中が濡れてきた。

「ウィンの記憶だけど、ボクにも見えたんだ……」

 私も困惑している。家族も親友も皆殺しにされた。ジョゼフ・カーウィンに捕まって、拷問紛いの人体実験を受けた。3年近くも、ハスターと融合させられた。そんな自分自身の過去さえも、他人事のように感じてしまう。鮮明に思いだせるも、遠くから眺めている感じだろうか。

「これから、どうするの?」

「シティにいますよ」

 鼓動が衣服越しに伝わってきた。セレファイスに帰る気持ちはない。こんな私でも受け入れてくれる。ツァン・ディレさんを優しく抱擁した。



 ネオドミノからカオスが消えた。市民も闇から解放された。それでも、ドン・サウザンドは滅びたわけでない。ハスターやナイアーラトテップも動くだろう。バリアンの多くが撤退したとはいえ、油断はできない。日常が帰ってくるも、かりそめの平和に過ぎなかった。





【TF-その120】





 藤原雪乃が路地裏に倒れこんだ。彼女が手にしていたモンスターカードから、魔人の影が湧きだしてきた。赤い鉄仮面をかぶり、太陽盾を左手にしている。

「この世界に突入できたが、カードに幽閉されたようだ。充満していたカオスエネルギーを吸収し、ようやく戻れた。しかし、本来の力は封印されたままだ。この世界の原理に従い、デュエルとやらでエナジーを奪っていくのだ。完全復活した暁には、この世界を支配するのだ」

 魔人が次々と立ちあがる。

「我らショッカーが、この世界で最も迷惑な存在となるのだ!」

 異世界からの侵略者が、ネオドミノに蠢きだした。





【TFSP(アナザー・エピソード)に続く】




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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