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TF-141 ドン・サウザンドの最期

「霞の谷の回廊」永続罠
①:このカードがフィールドに存在する限り、相手モンスターは自分フィールドの風属性モンスターを可能な限り攻撃しなければならない。②:自分フィールドの風属性モンスターは、モンスターの効果対象にならない。


 ラスト・デュエルとなります。アニメとは設定も変わっています。というか、めっちゃ更新が遅くなりました。

 サウザンドはエリファスに命じられて、人間界へと赴いた。

 アストラル界の使者は、高貴なる魂を回収する使命がある。アストラル・ワールドのランクアップを目指すため。サウザンドは機械的に義務を果たしていた。人間に憑いては、指示通りに魂を招いていく。ある意味で死神めいたルーチンワーク。

 サウザンドの心は何色にも染まっておらず、純粋無垢であった。エリファスから命じられた通りに、仕事をこなしていく。人間への感情移入などしない。人間とのコミュニケーションもありえない。道具みたいな存在と言えようか。そんな自分への疑問など抱きようもなく、永き安定が続いていた。そのまま続けば、悲劇も起こらなかったであろう。



 アストラル界の使者を、人間は認識できないはず。その少年は、サウザンドを視認できていた。白き精霊体が動きまわると、視線で追いまわしてくる。双眸を星のように輝かせて、嬉しそうに話しかけてきた。サウザンドは機械的に応えてみる。イレギュラーな事態であるも、人間との会話を禁じられていない。コミュニケーションが少しずつ積まれていく。

 サウザンドに好奇心が芽生えた。

 友達という語感が理解できなかった。表情の変化についても分からなかった。触れあっていくうちに、観察結果が積まれていく。サウザンドは少しずつ、人間を感じられるようになった。自覚こそは無かったが、少年が指摘してくれたのだ。


「サウザンドは本当に、よく笑うようになったね」


 それが少年最期の言葉となった。命を分け与える能力を使いすぎたせいか。サウザンドは胸をかきむしるように慟哭した。あまりの夭折にもかかわらず、少年は満たされていた。物言わぬ魂を、サウザンドはアストラル世界へ届ける。


 エリファスはサウザンドを追放することにした。


 サウザンドの得た感情は、アストラル・ワールドを汚染すると見做された。それはランクアップを阻む混沌であり、エリファスが嫌悪するものである。汚染区域ごと、排除対象を切り離した。それだけに飽き足らず、アストラルを放って始末させようとする。サウザンドは叫ぶ。我が居場所を奪わないでほしいと。必死の抵抗も虚しく、アストラルとの激闘の末に封印された。追ってきた少年の魂が身代りになってくれなければ、サウザンドは完全消滅したであろう。

「許さんぞ、エリファス! このバリアン世界にて、我は復活する! そして、汝に復讐を遂げる!」

 怨嗟は混沌を湧きあがらせる。



 これが、ドン・サウザンドの過去ですか。それが、私に執着していた本当の理由でしたか。ネオドミノを覆っている混沌は、彼の恨みが生みだしたもの。アストラルという清浄世界の神に追放された。天使様は故郷へ帰るために、独りぼっちで陰謀を巡らせていた。悲しい存在だと分かったけれど、躊躇などしていられない。



【4ターン目:ドン・サウザンド】LP2150、ドローフェイズ後の手札1枚

(フィールド)
ウィン:《憑依装着-ウィン:攻撃力1850・Lv4》が攻撃表示。《真六武衆-シエン:守備力1400・Lv5》&《真六武衆-キザン:守備力500・Lv4》&《六武衆の師範:守備力800・Lv5》が守備表示。永続魔法《六武の門:武士道カウンター+0》が発動中。魔法&罠カードゾーンにカード3枚をセットしている。

ドン・サウザンド:《ヌメロン・ウォール:守備力0・Lv1》が守備表示。


「我のターン、カオスドロー!」

「カウンター罠《強烈なはたき落とし》を発動します。そのカードを捨ててください!」

 カオスオーラをまとった右手で、カード創造をしてきた。そんなの関係ないっ! ドローカードを使わせずに墓地送りです。それでも、ドン・サウザンドは哂っている。


「《強烈なはたき落とし》の対策をしてないと思ったか? 通常魔法《ヌメロン・カオス・リチューアル改》が手札より落されて、《ヌメロン・イリュージョニスト》と《ヌメロン・ビッグハンド》が墓地に存在する。これらのカードをレベル10扱いとして、オーバーレイ・ネットワークを構築する。このエフェクトは、けっして無効にされない!」

「我自身、《GNo.EX ドン・サウザンド:攻撃力5000・R10・O×3》をエクシーズ召喚!」

「罠カード《ウィンド・バインド》を発動して、《GNo.EX ドン・サウザンド》の効果を封じます」

 かなり強引だけど、相手自身が乗りだしてきた。ORU1体を取り除けば、《ヌメロン・リライティング》をデッキサーチしてくる。それを捨てれば、モンスター1体の除外もできる。そうされる前に、特殊能力を封印しておく。《憑依装着-ウィン》の放った風精霊が、ドンサウザンドを縛りつけた。これで、モンスターを除去されない。


「ちょこざいな。我自身で《六武衆の師範》を攻撃する」

「教えてやろう。《ヌメロン・カオス・リチューアル改》により特殊召喚されたモンスターは、貫通効果を得るのだ。カード効果によってフィールドから離れない。バトルフェイズ終了時に相手フィールド・カード全てを除外して、1枚につき1500ポイントのダメージを与える!」

「永続罠《霞の谷の回廊》を発動します! 風属性モンスターへ強制攻撃してもらいます」

「さらにっ! 《親切なプチリュウ:攻撃力600・Lv2》を手札から捨てることで、《憑依装着-ウィン》を《GNo.EX ドン・サウザンド》と同じ攻撃力にします」

「何だとっ⁉」

 《六武衆の師範》の前に、《憑依装着-ウィン》が立ちはだかった。ロッドを振りあげると、聖風が渦巻きだす。《親切なプチリュウ》が風龍へと進化した。巨大竜巻が膨れあがり、ドン・サウザンドを呑みこもうとする。私そっくりな風使いが詠唱を早める。風龍が混沌邪神に噛みついて、相手も暗黒波により抵抗してくる。その攻撃力は互角であり、すぐにも両者尽きる結果となる。ドン・サウザンドが弾き飛ばされて、後方へと叩きつけられた。

「《GNo.EX ドン・サウザンド》が破壊されたので、バトルフェイズ終了時に特殊効果を使えなくなりますね。どれだけ、カードテキストに書きこんでいるのですか?」



【5ターン目:ツァン・ディレ】LP4000、ドローフェイズ後の手札2枚

(フィールド)
ツァン:《真六武衆-シエン:守備力1400・Lv5》&《真六武衆-キザン:守備力500・Lv4》&《六武衆の師範:守備力800・Lv5》が守備表示。永続魔法《六武の門:武士道カウンター+0》&永続罠《霞の谷の回廊》が発動中。

ドン・サウザンド:《ヌメロン・ウォール:守備力0・Lv1》が守備表示。


「ボクのターン、ドロー! 《六武衆》全てを攻撃表示に変更する」

「《六武衆-ザンジ:攻撃力1800・Lv4》を召喚! 《六武衆》2体以上が存在するので、《大将軍 紫炎:攻撃力2500・Lv7》を手札から特殊召喚する」

「《六武の門》に武士道カウンター2つが追加された。これらを取り除くことで、《真六武衆-シエン》を攻撃力3000ポイントにパワーアップさせるよ!」

 ドン・サウザンドが呆然とする最中、ツァン・ディレさんがターンを進めていく。赤鎧の大将軍様が、若武者を連れて進軍してきた。名前通りの紫炎が、《六武衆》たちを包みこむ。


「あんたは最高に強い決闘者だった。カオスドローに頼ったせいで、デュエルの腕を曇らせたんだ! デッキの可能性を信じず、カードを自分勝手に創造する。あんたの根性を叩きなおしてやるからね! 紫炎軍団で総攻撃よ!」

 《六武衆-ザンジ》が特攻隊長らしく突撃して、薙刀を振るった。《ヌメロン・ウォール》のロックボディが、刃先を包んでいる気により爆砕される。これで、相手陣地からモンスターが消えた。ドン・サウザンドを守るものは無い。《真六武衆-キザン》と《六武衆の師範》の同一人物コンビがハイジャンプをして、剣閃を同時に走らせる。老剣士からの一刀が喉を斬り、若武者の放った一刀が袈裟斬りに決まる。侍集団の邪神退治は止まらない。

「馬鹿なっ……。我が小娘どもに……」

 《大将軍 紫炎》が大刀を薙ぎ払うと、紫爆炎が噴きあげた。《真六武衆-シエン》が黒羽を広げて、飛翔しだす。炎に包まれしドン・サウザンドを、頭上から一刀両断! 混沌色の光条が四方八方にあふれだして、黒き肉体が崩壊していく。ライフポイントは0になっていた。

「楽勝! 優勝! 皆勤賞! やったね」



 ドン・サウザンドの全身が剥がれていく。ミザエルさんが解き放たれた。放物線を描いて落ちてくる彼を、よっと受け止める。薄目を開けて、私を見上げてきた。この様子だと大丈夫みたいですね。ネオドミノを包囲していた、堕天使の恨みが晴れていく。これで、全てが終わるでしょうか?

「ツァン。私、一仕事をしてきます。まだ、救わなければいけない人がいますので」

「ウィン?」

 ミザエルさんを横たえた。ツァン・ディレさんが呆然と見遣ってくる。背中が熱いと思えば、どこまでも白翼が広がっていた。私は飛びだつ。収縮しようとしている混沌隗の中心へと向かって。手を伸ばすと、確かな感触があった。思いっきり引っ張っぱる。身にまとった呪いを落としきり、サウザンドは小柄な天使少年に戻っていた。

「汝は我を助けるというのか?」

「勘違いしないでください。あなたは多くの人に迷惑をかけました。償いをしてもらうためです」

 純粋無垢そうな双眸で、純白天使が見つめてくる。かつての少年と似ている私を。一時の感情に囚われての、愚かな行動なんだろう。それでも、ほおっておけなかった。死なせられなかった。その責任を、私は背負うことになる。



「君たちに礼を言いたいよ。ドン・サウザンドはエリファスに復讐するため、ヌメロンコードの欠片を模写した。そいつを手に入れられたからね」

 《GNo.EX ドン・サウザンド》のカードが落ちてきた。それを尻尾で掴みあげ、紅玉のような双眸で見上げてくる。油断をしていた。ナイアーラトテップの使徒、ウルタール。ヌイグルミのような愛らしい姿をしているが、鬼畜極まりないヤツだ。

「バリアンどもを焚きつけて、この世界へ誘導したかいがあったよ。じゃあね」

 ミザエルが起きあがろうとするも、ゆらりと倒れてしまう。ツァン・ディレさんが抱き支えた。私も追おうとするも、間に合わない。赤輪の描かれた背中を向けると、瞬時に消えてしまう。私も力を使い果たしたようだ。白翼が薄れていき、地上へと落ちていった。サウザンドが何かを唱えると、落下速度が緩まっていき激突だけは免れた。





【TF-その141】




 ウルタールが四足を回して駆けていく。ヌメロンコードの模写体を、クトゥグアへと渡すために。旧支配者どもは何かと利用できる。今は従っておこう。右前脚が何かに掴まれた。黄色いリボンに巻かれている。疾走を止められてしまう。バリアン少女に囲まれていた。

「そのカード、私たちに必要なの。頂いておくわ」

 ヴァルゴがマスケット銃を、小動物の額へと向ける。アンタレスが《GNo.EX ドン・サウザンド》のカードを取りあげた。ウルタールがナイアーラトテップの同胞群を呼ぶも、キャンサーが全員を斬り伏せていた。おっとりとした眼差しを刺して、金髪少女が笑顔を剥ける。

「あなたとのつきあいは長いけど、さようなら……ェ」

 何かの名前を呟いていたが、発砲音に塗り潰された。



「ウィンとのデュエルのせいかな。前世の記憶というのが戻ってしまったわ」




テーマ : 遊★戯★王 - ジャンル : アニメ・コミック

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